納税証明書の電子交付

 妻のローンの保証人になるために必要な書類の1つに税務署から入手しなければならない納税証明書なるものがある。税務署に行って手続をしてもいいが、確定申告の際に用いたE-taxソフトを使えば電子納税申告書が可能というので、トライすることにした。
○4月4日(日)
 4日(日)の夜から始めたが、うまくつながらない。稼働時間を税務署のページでチェックしてほしいとある。確定申告の際は24時間可能だったのにと思って確認したら、普通の季節は平日の朝8時半から午後9時までとある。E-taxソフトの世界は、クラウドではなく、同ソフトが設定されたPCに固定されているはずので、平日の自宅でしかできない。朝は遅くなるので、夜早く帰った時にトライすることにした。
○6日(火)
 5日(月)は夜の予定があったので、6日(火)の夜にトライした。しかし、納税証明書の科目が何処を見ても出てこないうちに夜9時のタイムアップとなった。
 オフラインの間に、調べてみようと言うことで、E-Taxソフト(元来は国税庁のHPからダウンロードしたもの)についているマニュアル(全400ページ余り)を本格的に調べた。非常に判りにくかったが、判ったことは、最初のソフトの起動の際に出てくるオプションの1つの「追加インストール」を使って「納税証明書」関係のモジュールを追加インストールしなければいけないことだった。追加インストールの項目は実は多くて、「納税証明書」という項目を見つけるのにも結構時間を取った。
 追加インストールは、24時間稼動している(ような)国税庁本庁のシステムからダウンロードし、オフラインで可能な様式までは作成した。ちなみに、平日の8時半から夜9時までというのは、電子申請を受け付ける税務署のシステムの方だ。この違いも理解するまでは大変だ。
 このソフトで取得できる納税証明書には、a)電子交付とb)書面交付がある。電子交付は、必要とするローン相手の銀行に電子で送れるが、受け取った銀行の担当者の方があせりそうだ。書面交付にも2種類あり、書面の証明書を税務署に取りに行くのと、郵送してもらうのとがある。税務署に行くのは、手数料が安くなる(通常400円→370円)メリットがあるが、折角通信ソフトを使う意味が余りない。郵送は、Pay-easyという銀行決済システムで代金を支払うが、郵送料が付加される。電子政府のアリバイ作りのためのシステムのようで、便利でもなく、費用もそれほど有利ではないことが判ってきたが、行き掛かり上続けることにした。
○7日(水)
 早く帰宅し、覚悟を決めて、取り掛かった。丁寧にチェックして、夜8時20分頃、納税証明書の交付請求書を電子申請した(郵送による書面交付を請求)。この後は、請求金額をPay-easy(インターネットバンキングの1種)で送金すればいいと思っていたら、「職員の確認が完了次第、通知があるので、E-taxソフトのメッセージボックスを確認してほしい」旨のメッセージが出た。
 この意味は、「職員の確認」だから、翌日の勤務時間以降でないと次のステップに進めない、また自宅のPCでないとメッセージボックスを確認できない、ということだ。従って、うまく行って8日(木)の夜以降に通知を見てから送金し、翌9日(金)の勤務時間に先方からの郵送手続が行なわれるとして、当方に届くのは週末以降ということだ。電子申請にしては相当時間の掛かることだと覚悟した。
○8日(木)
 前日、かすかに期待していたのは、E-taxソフトのメッセージボックスには、通常のメールへの転送通知の設定をしてあるから、通知があれば夜まで待たずとも判るかも知れないということだ。しかし、E-taxソフトを設定しある自宅のPCでしか、詳細は読めないのではないかと覚悟していた。
 その期待していた転送メールは、朝9時半にきた。驚いたことに、国税庁のHPの「メッセージボックスの確認」ボタンから入れば詳細が読めるとある。IDとパスワードで入ると請求金額等全てが読めた。更にそこからインターネットバンキングにリンクできるボタンがあり、そこでは、振込先、振込み者等の入力が全て記入されていて、感激した。後は、銀行用のパスワード等を入力すればよいだけで、こちらの手続は、朝のうちに全て完了した。後は先方が納税証明書を郵送してくれるのを待つだけで、前夜覚悟したスケジュールから1日早くなることとなって一安心した。
 ここで、請求した納税証明書について説明。
 納税証明書その1 (申告所得税の平成21年分、20年分、19年分の3枚)(所得額を示す)
 納税証明書その2 (申告所得税の平成21年分、20年分、19年分の3枚)(納税額を示す)
 納税証明書その3 (申告所得税の1枚) (未納がないことを示す)
 合計7枚で、税務署に行けば、400円×7枚の2,800円かかる。
 今回の電子申請により、1枚が370円と割り引かれ、合計380円×7枚=2,590円プラス郵送料80円の2,670円で130円の節約だ。

○感想
 膨大な税の申告や各種申請等を電子化する壮大なシステムなので、簡単にはいかないのは理解できるが、もう少し何とかならないものかと思う。すなわち、a)使いにくい、b)判りにくい、c)経費面のメリットが少ない、d)システムの非稼働時間がある、の4点が大きな問題であろう。
 a)、b)はマニュアルやヘルプの機能の改善に取り組んでほしい。例えば、納税証明書の交付請求について、追加インストールが必要などのことが容易に判るようになっていてほしい。というのは、国税庁のHPの確定申告書作成コーナーのソフトが、使い勝手がよく素晴らしいので、なおさら不満に感じられる。自分は、2年前から電子申告をしているが、5000円の税額控除のメリットに対し費用を極力抑えようとして、解説書は本屋では買わずに対処してきたので、今さら買うのには抵抗がある。
 c)の経費面では、例えば、400円→370円は余りにもケチである。せめて半額以下にすべきであろう。d)のシステム稼働時間は、平日の夜9時以降もほしいが、土日にも是非稼動してほしい。個人の利用者としての切なる希望である。
 それから、「職員の確認」を経てからというプロセスも極力なくしてほしい。機械的な審査で仮請求額を計算し、間違っていたら送付の直前までに修正するとのプロセスにできないか。相当部分はそれで間違いなく進むのではないかと思う。
 詰るところ、このシステムは、電子政府のかけ声の下、電子化した項目数ないし電子化率を上げるためだけに電子化したと言ってもいいのではないか。トータルでの効率化とか合理化との指標のレビューの視点が抜けていると思う。
○補足
 今回税務署(世田谷税務署)には行かなくてすんだ。しかし、銀行ローンに必要な書類の1つに、固定資産名寄帳というものがあり、これは世田谷都税事務所に行かなければならず、同事務所は税務署の隣にある。ここにはわざわざ足を運んだ次第。

○10日(土)
 無事郵送されてきた。
 めでたし、めでたしというところだが、納税証明書の実物を見てがっかり。合計3葉。というのは、「その1」が3年分で370円×3枚払ったがこれがまとめて書かれていて1葉、「その2」も3年分で3枚分の料金を払ったが1葉、「その3」が1葉で、合計3葉だ。余りにも高い。
 「その1」を今日の1枚とした。しかも、見て判るように、内容が乏しい。「納付すべき税額」欄に記載してある額は、確定申告した額だけだ。私が実際に納付した所得税額はこの他に勤務先で納めた源泉徴収額がある。また、20年、21年が0となっているのは、医療費控除等で還付を受けているからだ。という意味からは、この納税証明書とは何か意味のあるものを証明しているのかといぶかしんでしまう。
以上