JR各社のネット予約サービス

 以前の弊ブログ(id:oginos:20110824)へのコメントを見て、JR各社のネット予約の状況を調べることとした。ちなみに、その弊ブログは、ジパング倶楽部の利用ノウハウに関するもの。寄せられたコメントは、金沢市近郊(JR西日本管内)に単身赴任している私の友人からで、JR西日本のe5489システムを利用しているが、東京への出張の際等にいろいろ不満があるとのことだ。
 それで、JR各社のウェブページを見て、ネット予約を比較し、添付ファイルのようにエクセルの表にまとめた。以下、少し長いが、1)ネット予約の登場、2)ネット予約の現状とトピック、3)各社別の概況、4)その他の感想に分けて説明する。友人の不満への私の解決案は4)で述べる。
JR各社のネット予約比較表.xls 直
1) JRネット予約の登場
(ネット予約の定義)
 先ず、JR切符のネット予約の定義というかイメージを明らかにしておこう。定義は「指定席の予約をインターネットを介して行うこと」とする。その原初的形態は、「予約の後の実際の指定席券は駅のみどりの窓口で購入する」ことで、乗車券、自由席券は対象外、支払いは駅のみどりの窓口(一部の旅行代理店も含む)だ。当り前のように見える定義だが、除いているものは、駅にある指定席券売機。個人が直接操作して指定席券を予約でき便利だが、これは、後述のJRシステム社が全国ベースで運営するマルス(MARS)システムの端末であって、オープンなインターネットではない。
 その後、この原初的形態にいろんなサービスが付加されてきた。a)携帯電話からのネット予約、b)クレジットカードと連動した決済機能、c)各種割引、d)乗車券、自由席券の発売、e)ポイント・サービス、f)チケットレス、g)シートマップ(座席表)での個別の座席指定が主なものであろう。この他、ネット予約で可能になることは、発券(紙の切符への交換)までは変更、キャンセルを容易にすることだ。これについてもその程度には多様さと変遷がある。携帯電話での予約、チケットレスの場合は相当ぎりぎりまで何回でも可能になってきている。相当多様なので本稿では詳しくは説明しない。
 2000年のJR東日本の「えきねっと」、2001年のJR東海の「エクスプレス予約」が、JRのネット予約の始まりと言える。えきねっとは、全国の列車の予約が可能だったが、原初的形態での当初は使い勝手も甚だ悪かった。今では改善されたが、まだ使いにくいという声もある*1。「エクスプレス」は、東海道新幹線に限っているが、a)携帯電話からの予約、変更、b)決済機能等を備えた画期的なものだった。
 私がネット予約のイノベーションと感じている、エクスプレス予約モバイルSuica特急券の登場を振り返る。
(JR東海エクスプレス予約)
 「エクスプレス予約」は、携帯電話からの申込と変更が可能という非常に利便性の高いもので、東海道新幹線を利用するビジネスマンから圧倒的支持を得た(と思う)。東海道新幹線に限定されていて駅の数も少ないためもあってか、使い勝手がいいシステムになっている。駅の窓口で他の一般の乗客が長い列を作っている横で、エクスプレス予約の受取専用機(殆ど人が並んでいない)で素早く切符に交換できるのは快感だ。これは、2001年に全国の高速道路で登場したETCで、横の一般のゲートの長い列を横目で見つつノンストップで通過できる快感と優越感に似たものだ。知人は、一度でETC投資の価値があったと感激したそうだ。
 東海道新幹線の利用客の約2割がエクスプレス予約を経由しているとの記事*2を見たことがある。今ではもっと増えているだろう(現状の数字はウェブで見てもよく判らなかった)。
(JR東日本モバイルSuica特急券)
 これに次ぐイノベーションは、JR東日本の、管内の新幹線を対象にした「モバイルSuica特急券」だ(2008年3月15日)。紙の切符を一切必要とせずに、携帯電話を改札口でかざすだけで乗車できる。チケットレスについては、エクスプレスも同じ月の2008年3月29日にICカードを用いたチケットレス(EX-IC)を導入している。これは券売機で切符に交換しなくていいということで、上記の優越感を更に増してくれるが、カード入れから一々EX-ICカードを取り出すという煩わしさがある。携帯電話の方がワンモーションでポケットから出せてスムーズだ。もっともモバイルSuica特急券も1人分しか買えないという弱点がある。2人で並んだ席を取ろうと思うと、2台の携帯を並べて、座席配置図(シートマップ)を見ながら指定していかなければならない(私は未経験)。
2) 現状とトピック
 現在のJRネット予約は、JR各社で独立ないし一部連携して運営されている。以下、幾つかのトピックを採り上げ、概況を説明していく。
(運営主体)
 ネット予約システムの運営主体は、各JR社別に組織されている。JR四国だけはネット予約システムを持たず、JR西日本のシステムを利用している。例外は、JR7社(貨物を含む)の共同出資会社であるJRシステム社が運営する「JR Cyber Station」。後述するが、役割はなぜか限定的だ。
 新幹線予約について、在来線等予約システム(新幹線も予約できる一般的なシステム)とは別に特別なシステムを設けているのは、東日本、東海、西日本だ。おそらく、新幹線の利用客の多いことからサービスのレベルを上げたい、また駅数が限られることから技術的にも可能だという面があるからだろう。
 各社の在来線等予約システム(新幹線も可能)で予約できる列車は、全国の路線が対象であるものがあるが、切符への交換は運営主体のJR社の管内主要駅等(e5489の場合は、九州、四国を含む)に限られている(これが後述する問題の1つ)。各社の予約システムは、微妙又は大幅に異なり、またバージョンアップも頻繁なので注意が必要だ。
 前項で述べた、原初的形態から追加されたサービス7項目(携帯電話からのネット予約、決済機能(クレジットカードと連動)、各種割引、乗車券・自由席券の発売、ポイント・サービス、チケットレス、シートマップ)については、各社のシステムで対応が違う。また可能といっても使い勝手の面はホームページを見ているだけではよく判らない。概して、チケットレス、シートマップ以外は各社とも対応しているようだ。以下、適宜サービスの内容に触れていく。
(携帯電話からの予約とスマートフォンへの対応)
 ホームページを見る限り、携帯電話からの予約には各社とも一応対応している(一部制限がある)。問題は使い勝手だ。エクスプレス予約が好評だったのは、パソコン用画面と携帯用画面を分けて、携帯用画面については、会員の認証手順、列車の指定方法等を簡便化し、小さい画面でも必要なことができるようにしたことだった。
 携帯電話からの使い勝手は、ホームページだけを見ていてもなかなか直ぐには判らない。実際に使うことが必要だろう。ところで、東日本のえきねっとで携帯からの予約が可能になったようだが知らなかった。使ってみようかと思うが、残念ながらまだ私のスマートフォンに対応していない。
 スマートフォンについては、エクスプレス予約も(東海道山陽新幹線)もモバイルSuica特急券(東日本の新幹線)も暫く対応せず、いらいらしていたが、2011年7月23日から対応するようになった(弊ブログ id:oginos:20110511 参照)。不思議なのは、モバイルSuica 特急券Androidのみ、エクスプレス予約iPhoneAndroid両方対応となっていることだ。
 実際に私のAndroidスマートフォンからトライすると、モバイルSuica特急券は新しいアプリで、エクスプレス予約はブラウザ(携帯用に簡素化された画面)からの対応だ。両者ともいわゆる簡単ログイン(パスワードだけで、IDの入力が不要)なのは便利だ。対応に違いがある原因は、多分エクスプレスは予約だけの機能だが、モバイルSuica特急券の方はチケットレスの使用法があるので、ブラウザだけでは対応できないからだろう。
 他システムの状況はよく判らない。多分問題の1つは、従来携帯用に設計した画面と認証手順がスマートフォンではうまく行かないことだろう(弊ブログ id:oginos:20110511 参照)。従って、スマートファンからPC用の画面にアクセスすれば利用可能なことがあるが、使い勝手は悪い。スマートフォン用の画面を設定しなければいけない所以だ。
(チケットレス)
 チケットレスは、前項で述べた、東日本のモバイルSuica特急券、東海のエクスプレスICカード(何れも新幹線対象)の他、次のようなものが登場している。東日本では、在来線を対象としたグリーンSuica券(首都圏近郊普通列車のグリーン券)、成田エクスプレス中央ライナー(座席指定制の中央線通勤電車)がある。JR西日本京阪神エリアの一部の特急でチケットレスを導入しており、普通車大人席で予約できる(「チケットレス特急券」)。何れもICカードではなく、携帯電話を利用している。
 西日本の「チケットレス特急券」の大きな特徴は、複数枚の予約がチケットレスで可能なことだ(6枚まで可)。他のチケットレスは、携帯電話を利用して改札口を通るため1人(携帯1台)しか予約できない。使ったことがないから判らないが、西日本では実際どういう風に改札口を通るのかと興味がある(おそらく自動改札は駄目で、携帯の画面を見せながら、有人の改札を通るのかと想像する)。
 チケットレスでもう1つ注意しておくことは、乗車券とのセットの有無だ。東日本のモバイルSuica特急券、東海のエクスプレスICカードでは、乗車券とセットになっていて、かつ乗降車駅が新幹線の乗降車駅に限られている。従って、例えば新宿からJRに乗って東京駅から新幹線に乗り換える場合、新幹線分の乗車券はチケットレスの料金に含まれているが、新宿-東京駅間の乗車券は別途用意しなければならない。他の在来線のチケットレスは、特急券ないしグリーン券だけで、乗車券はセットになっていず、別途用意しなければならないようだ。モバイルSuicaICOCAを持っていない場合、やや面倒か。
 何れにしろ、チケットレスは、今後各社で展開が進むだろう。問題は複数席のチケットレス予約をどうするかで、現在のシートマップを見ながらそれぞれの携帯で予約するとか、JR西日本の(多分)携帯の画面を見せながら有人の改札を通るという方法ではなく、次のような方法の実現が課題(私の希望)だ。第1は、1台の携帯で複数人予約して、他者の携帯にFeliCa通信機能等を活かしてタッチして送信する。第2は、他者の携帯にメール送信する(離れている場合便利)。第3は、複数人予約したうちの何人かは指定席券売機(又はみどりの窓口)で切符に替えることを可能とする。第4は、これらの3つの全ての選択を可能とする。しかし、実現したにしても相当複雑な手続きになろうから、利用が増えるかは判らない。
(クレジットカード)
 ネット予約を利用する場合、あらかじめ利用者としての登録を必要としているのが大半である。例外はJR西日本のe5489で、ネット会員登録が望ましいが、無くても可としている。登録していない場合は、割引等のサービスが受けられない。非登録の場合、支払いは、その都度ネットからクレジット番号を入力するようである。
 会員登録の場合、支払い機能と連動しているので、クレジットカードの登録は欠かせない。この場合、JR各社が運営している特定のクレジットカードを利用させるか、一般のクレジットカードでも可とするかがポリシーの分かれ目である。ちなみに、各社の運営するクレジットカードは、東日本(VIEWカード)、東海(エクスプレス・カード)、西日本(J-WESTカード)、九州(JQカード)、北海道と四国は無いようである。
 クレジットカードの年会費、ネット予約の年会費(モバイルSuica特急券以外は無料)、特定クレジットカード会員への各種割引サービスとの関係で、各社工夫している。ちなみに一番強気なのは、東海のエクスプレス予約で、エクスプレスカードの会員(年会費1,050円)にならなければいけない。一番鷹揚なのは東日本のえきねっとで、VIEWカードを指定した場合の特典は無いようで、どのクレジットカードでも差が無い。
(割引制度)
 ここ2-3年、割引制度の拡大が進んでいるようだ。えきねっと割引は、ネットで予約して駅の指定席券売機で切符に交換した場合だけ、100円から700円(普通300円)程度の割引で魅力は少ない。割引の方法は、大きく2種類あって、第1が列車を限らないもの(チケットレスに多い)、第2が日付と列車を指定して割り引くものだ。後者のタイプは、空席の多そうな列車が多く、意図は見え見えだ。しかし、JR九州のページを見ていると、前者のものでも割引率が大きく、当地では一般に乗車率が低いのかと勝手に想像する。
 利用に応じたポイント・システムも多く見られるが、説明は省略。
(シートマップ)
 シートマップ(座席表)を見ながら空いている中から希望の座席を指定するもので、最近の流行だ。私などはあまり座席に拘りは無いが、パソコン用の電源コンセント(車両の端に付いている車両がある)がほしい人、チケットレスで並んだ座席を取りたい人、車外の特定の景色が見たい人など需要はありそうだ。
3) 各社別の概要
 以下の各社の順は規模順と理解してほしい。
(JR東日本)
 東日本は、予約とは関係ないが、最初にFeliCa(非接触ICカード技術。電子マネー等に利用)を利用したSuicaを開発したことで評価される。予約システムでも、えきねっとモバイルSuica特急券(新幹線)を擁して活発だ。最近でもモバイルとSuicaを活用した在来線へのチケットレスの展開が目覚しい。えきねっとのクレジットカードの登録でも自社系のVIEWカードを特別扱いせず、一般のクレジットカードを同列に扱っているのは評価される(Suicaでは多少異なる)。
 しかし、各システム間の連携が取れていない印象があって、複雑。例えば、在来線のチケットレスには2チャンネルある(ネットの入口が異なる)。中央ライナー(座席指定制の中央線通勤電車)、成田エクスプレスチケットレスは、えきねっとの携帯からの予約というチャンネルで、近郊在来線の普通列車のグリーン席のチケットレスモバイルSuica特急券(元来新幹線)という別のチャンネルだ。前者はスマートフォンは駄目だが、後者はスマートフォンOKというのも紛らわしい。
 VIEWカード、大人の休日倶楽部といった関連サービスにも積極的。大人の休日倶楽部のジパングは、えきねっと予約と連携し指定席券売機で発券できる(JR東日本管内の路線のみ)のは画期的だ(他社は用紙に記入して窓口へ行くことが必要)。更にチケットレスが適用されるようになると嬉しい。
(JR東海)
 JR東海は、新幹線の予約システムでは先行したが、在来線のネット予約では一番遅れている。同社は在来線のネット予約ができない唯一のJR社となっている(Cyber stationで対応とのことだが実際的でない)。同社の管内に住んでいる人たちは可哀そうだ。そのうち、最先端のシステムを用意するのかと思う。
 また、チケットレスも基本はICカードであって、携帯電話を利用するものは、連携相手の東日本のモバイルSuica特急券からアクセスするものだけだ。
 それに、ジパング倶楽部の割引対象からのぞみを除いていることは、前のブログ(id:oginos:20110824)で述べたが、私の友人の間でも、東海は老人に冷たいと悪評さくさくだ。
(JR西日本)
 JR西日本は九州、四国も巻き込んだ「e5489」(ゴヨヤク、ご予約)システムを運営しており、一番進んでいるような気がする。九州、四国の列車の予約はもちろん、九州、四国管内の駅でも切符交換が可能だ。東海と共同運営しているエクスプレス予約東海道山陽新幹線で、九州新幹線は対象外だが、「e5489」は、JR九州と連携して、山陽・九州新幹線の予約を行っている。
 また、JR東海の在来線やJR東日本のうち関東地方の新幹線、在来線も予約可能だ(東北地方、北海道は対象外)。この圏外については割引は一切無く、切符の受取りも圏外ではできない。JR西日本内の富山県、石川県では、東京を中心とした関東地方へのアクセスが絶対必要で、その観点からのJR東日本との提携であろう。
 JR西日本のHPでは、「JRおでかけネット」の名のページがあって、エクスプレス予約とe5489の2つのシステムへの入口が用意されていてその区別が明瞭で判りやすい。予約システムの会員の種類も、J-WESTカード会員(最高位)の他、J-WESTネット会員(一般のクレジットカードの登録で可、無料)、非会員(利用の都度、クレジットカードを指定)と分れており、利用者のことをよく考えている。各会員の比較は次のURLを参照。
http://www.jr-odekake.net/goyoyaku/credit_service.html
JR四国は、自社での予約システムは整備せずに、西日本に依存している。賢明な選択だろう。
(JR九州)
JR九州は、西日本との連携のほか、「JR九州Web会員」という自社のシステムも用意してがんばっている。各種の割引も用意している。
(JR北海道)
JR北海道も、「JR北海道予約サービス」の名で、一部の特急のようだがネット予約システムを用意している。
(JRシステム社)
 JRシステム社とは、みどりの窓口のシステムとして有名なマルス(MARS)を引き継いで運用している会社だ。JRシステム社は、JR各社の出資により設立。1997年から「JR Cyber Station」という予約システムを開始した。このシステムの基本はインターネットプロバイダーなので、フルのサービスを得るためには同社とプロバイダー契約(有料)をする必要がある。具体的には、空席照会は一般にオープンだが、フル・サービスの切符予約はプロバイダー契約が必要だ。全国どこの駅でも切符に交換できるが、割引は一切無い。
 このインターネットプロバイダー契約に加入しないといけないというシステムは理解できない。月1000円以上のプロバイダー料金が掛かるが大したサービスとは思えない。JR Cyber Station は、在来線予約システムを持たないJR東海と四国のHPで、予約システムとして紹介されているが個人の利用者はいるのだろうか。
4) その他の感想
(JR社をまたがる予約の変更)
 JR各社の現行システムの切符の受取り駅が各社の管内に限られているのは大きな問題である。例えば、冒頭で触れた友人が弊ブログに述べたコメントでは、金沢(西日本の管内)から東京(東日本の管内)に旅行する際に「e5489」で予約すると、出発後に帰りの切符の変更をしようとしても東日本管内の駅での受取りができないという問題が指摘されている。
 もっともな悩みで、基本的な解決策は、各システムの受取り駅を全国にすることだが、現時点でもある程度の解決策はある。すなわち、西日本の管内にいても、e5489と併せて東日本のえきねっとの無料会員登録をしておくことだ(携帯電話の登録も忘れずに)*3。それで、東京からの帰りの切符は、金沢にいる時にPCを使ってえきねっとから予約しておけばどうだろう。東京にいる時に、PCが使える環境であれば問題なく変更でき、東京の駅で受け取れる。携帯電話でも予約の変更が可能だが、変更できる列車に制限があるようだ(*3の脚注を参照)。その場合、携帯のPCサイトビューアーから一般のウェブサイトにあるえきねっとに無理にアクセスして変更できる可能性がある(保証はできない)。
(FeliCaの名前)
 全くの余談だが、JR各社で導入しているFeliCaカード(電子マネー)の名前が面白い。もともとは、東日本が開発した「Suica」で、これはスイスイと通れるという意味だ*4。東海の「TOICA」は、トウカイの文字順序を入れ替えたアナグラム、西日本の「ICOCA」は、関西弁の「行こか」であろう。九州の「SUGOCA」も「スーとゴー」と「凄か」の九州弁を合せたものか。北海道の「KITACA」は、「北」と「来たか」のもじりと推測できる。
 今FeliCaが無いのは四国だけだ。今後導入した場合、どういう名前になるか考えてみた。他の5社のカードが全て「Ca」で終っているから、JRグループの一体感を保つという観点から語尾が「か」であることも重要だろう。例えば、あったか、いなか、しんか(進化、真価)、つうか、のどか、ゆたか、など考えたが四国のローカル色が無い。それで「くうかい」などはどうだろう。「い」がくっついているのは相当問題だが、「くうかい」は、空海で、四国八十八ヶ所のお遍路さんの祖先だ。旅行を担う輸送機関のシンボルとして相応しくないか。
(予約システムの名前)
 予約システムの名前もそれぞれ凝っている。「えきねっと」(東日本)、「エクスプレス」(東海)、「e5489」(いーご予約)(西日本)、「JRおでかけネット」(西日本)。問題は、何れも全国的なシステムのようで、各社の域内対象という感じがしないことだ。私も数年前までは、「えきねっと」は全国ベースのシステムだと思っていた(切符を受け取れる場所が全国でない)。
 紛らわしさの原因は、多分2つあって、第1は、「えき」とか「えくすぷれす」とか鉄道に関係のある普通名詞を使っているので、特定の地域会社だけのシステムと思えないこと*5、第2は、JRというと、かつての国鉄のイメージがあって分割しても全国一体とのイメージがあるからであろう。しかし、それぞれの名称が普及、定着したから今さら変えるのは大変だ。むしろわれわれ利用者の側で、JRは国鉄でない、別々の地域会社だと改めて認識しなければいけないのだろう。いろいろ不便なことがあるがしょうがない。
 しかし、次に述べるように、やはり利用者本位でサービスの向上と連携を図ってほしい。
(予約システムの今後の展開の方向)
 JRのネット予約は、そのトランザクションの規模と要求される応答性から見て、航空予約や普通のネット通販などとは難しさのスケールが違うシステムであると思い、これが実現している状況に深く敬意を表している。かつ今後も改善されていくと思うが、その方向として期待していることを幾つか述べる。
 先ず、別々のJR会社とは言いつつも、線路は通じている。飛行機と競争する意味でも全国的なサービスの連携が望まれる。先ず現在の受取り駅を管内に限定しているのは改善してほしい。
 次に、チケットレスも在来線一般に拡大してほしい。複数席のチケットレス予約もほしい。また、乗車駅、降車駅が異なる人の座席予約が可能になってほしい。例えば、東京から名古屋に新幹線で2人で出張する際に、東京駅と新横浜駅から乗車する場合にも簡単に並んで座れるようにしてほしい。
 ジパング倶楽部についても、ネット予約と連携できるのは現在JR東日本だけだが、他のJR社もフォローしてほしい。かつチケットレス化も便利だと思う。65歳以上の人はネット予約などできないなどの偏見は捨ててほしい。

*1:例えば次のブログを参照。乗車券を別々に買おうとした間違いは知らなかったからでしょうがないが、えきねっとの手続きの煩雑さは、ネット通販等に慣れた人には勝手が違う面があるのだろう。「えきねっとの使いづらさは異常」 http://guhtara.blog.shinobi.jp/

*2:2007年の記事 http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/JIREI/20070724/278165/?ST=sp

*3:登録の手続きは、http://jreast.eki-net.com/guidance/shiteiseki/index.html 。携帯電話版JR指定席申込サービスの詳細は、http://jreast.eki-net.com/mobile/index.html

*4:「Super Urban Intelligent Card」というごろ合せが公式説明だが面白くない。

*5:その意味で、「e5489」は意味としては地域限定でないが、鉄道とは関係ない(変った)名前なので、内容を確認し西日本のものというイメージが強く残る。