テレビ会議

 先週あるテレビ会議に参加した。この会議の中身は別にして、この機会にテレビ会議について勉強したので説明し、若干の感想を述べる。
 先ず、参加したビデオ会議の概要から。
 場所は、東京、岐阜、フランス(ツールーズ)、ドイツ(ハンブルグ)の4か所で、参加者は合計約30名、所用時間は約2時間半。参加者の3分の2はツールーズに集まり、私は、東京の某社の会議室に参加した6人のうちの1人だ。 私の役割は、かねて用意した1分ぐらいの原稿を読み上げる程度で、議論の技術的内容には立ち入らなくていい(実際専門的過ぎて立ち入れない)という割に気楽なものだったが、英語も判らない、中身にも 付いていけないので疲れた。全て英語だが、ドイツ語訛り、フランス語訛り、日本語訛りが入り乱れ、通信状態が悪い時も多かった*1
 東京の会議室には、10数人会議用の楕円テーブル、60-70インチ程度のテレビ、テレビ会議装置、スクリーン(プロジェクター投影用)等が備わっている。会議中は、テレビに画面が3つ出た(フランス、ドイツ、東京)。岐阜からの参加はトラブルがあって画面が出ず、声だけの参加だった。後で聞いたら、フランスのテレビ会議の機械とはメーカーが違うせいか繋がらなかったそうだ(フランスはポリコン、岐阜はソニーとのこと)。ちなみに東京で参加した6人のうち2人は別の町の会社の人で、元来はその町からテレビ会議にジョインすることを検討していたが、うまく行く自信が無く、出張して東京に合流したとのことだった。
 テレビ画面に加え、同じ程度の大きさのスクリーンがあって、フランスから送られるプレゼンの画面がパソコンからプロジェクターで映し出される。後で確認したところ、このパソコンの画面は、WebExと呼ばれるインターネットによるシステムでリアルタイムで送られる。映像が〓がらず音声だけで参加した岐阜も、このWebExは通じていて、プレゼンは見ていたそうだ。WebExは、インターネットを介してくるが、映像、音声の方は、ISDNのデジタル電話回線ということだ。
 音も映像も時々途切れる。テレビもスクリーンも大きな会議テーブルの端に座っていると見難い。テレビ画面は3つに分かれていて小さく、先方の様子がよく判らない。また、プロジェクターで投影されるスクリーンの画像が何故か非常に暗くて薄くてほとんど見えない。
 ということで、私にとってはフォローが難しい会議だったが、この機会にかねて関心があったテレビ会議について、ウェブで調べて見た。
(テレビ会議とは)
 広義のテレビ会議には、a)テレビ電話、b)ビデオ会議(単にテレビ会議とも)、c)ウェブ会議の3種類があるとのこと。
a)のテレビ電話は、つい携帯電話によるものを考え、2人でしか話せないと思う。しかし、固定テレビ電話機の多くは多地点会議に対応しているとのことだ。しかし、所詮電話機だから、多人数の会議には向いていない。
b)のビデオ会議(テレビ会議)は、繋がれる会議室の1か所当りの参加者数が複数である。各会議室にはカメラと大型ディスプレーがあり、ISDN等のデジタル電話回線を使う。無指向性のマイクとスピーカーは会議室で1つでいいので*2、発言者も発言しやすい。設備設置費用も高価だし、電話回線の使用料も必要だ。
c)のウェブ会議は、各参加者はマイクが付いたPCで参加し、回線はインターネットである。このウェブ会議システムはソフトが発展しており、PCの画面上で各メンバーの顔が並んだり、発言者の顔がクローズアップされるなど利便性が高い。最近はソフトをクラウド方式で提供するものも多いようだ。前述のWebExもこのウェブ会議システムの1つ。
 当然の疑問として、b)のビデオ会議をインターネット回線でできたら安価で便利だろうと思うが、そのようなシステムは無いようだ。大型ディスプレーの画像、音声をリアルタイムに送信するのは通信量が多く、デジタル電話回線を使わないといけないのかも知れない。私が参加したビデオ会議は、a)をベースにして、パソコンによるプレゼンはb)のWebExを使ったものだ。
 ウェブで調べると、テレビ会議の技術は進んでいるが、普及を妨げている問題点は2つだそうでこれが興味深い*3。 1つは「アイコンタクト」で、テレビ会議では顔が見える分だけ、視線が間違った印象を与えてしまう。2つは「見られているという意識」で、場合によっては録画されて残るという意識がコミュニケーションに悪い影響が与えると言われている。
(感想)
 冒頭のビデオ会議で私が感心したのは、私の参加した某大企業の会議室では、専門技術者がいないまま、ビデオ会議のセッティングが進んでいたことだ。すなわち、会議の内容に関する部署の社員が会議室に備えられているマニュアルを見て適当に設定している。その点でビデオ会議は進歩、普及したのだと思う。しかし、専門家ではないので、システムの技術的なことを聞いてもよく判らない。
 それにしても、今回はビデオ会議のシステムを十分に利用しているとは思えなかった。すなわち、カメラは発言者をズームするなどせずにずっと固定なので、画面が3つある中で各人は小さく、誰が発言しているか判らない。WebExによるプレゼンも何故か色が薄く殆ど見えなかった。(日本側の発言者の分については、プリントアウトがあらかじめ配られていたので助かった)。前述の問題点以前の問題が多かった訳だ。
 しかし、考えようによっては、あまり高度に利用すると、前述のアイコンタクト等の問題点が出て、会議が円滑に進まなかったかも知れない。私も、今まで何回か(日本人だけのものも含め)テレビ会議に出たことがある。出張の必要が無く手軽に遠隔者間の会議ができるということで高く評価していた。もっとも実際にしゃべるのは苦手だったが、適用された技術レベルは低かったので気軽ではあった。今後は、技術レベルも向上するだろうから、アイコンタクトなども考えつつ対応しなければいけなくなると思うとやや気が重い。

*1:このような会議の時は、「睡魔せん」という飴を舐めておく。元来は自動車運転中の居眠りを防ぐためのもの(http://www.beanscoffee.co.jp/lineup/suimasen.html)。 同種のものに「眠眠打破」もあるが、最近安価なフィルムタイプが無い。

*2:残響やハウリングを消すエコー除去対策技術の発展の成果とのこと。

*3:「ビデオ会議」中、3「問題点」。http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%93%E3%83%87%E3%82%AA%E4%BC%9A%E8%AD%B0