透明なトランプ

 毎日利用している地下鉄(東京メトロ)の駅に毎月置いてある広報誌「TOKYO METORO NEWS」の1月号をたまたま読まずに、かばんの中にツンドクしていた。次の2月号が発行されそうな時期になってきたので、捨てる前に一読したら、「透明なトランプ」をメトロで販売と書いてあった。
 「透明なのに数字が見えない!! おしゃれで不思議なカード」というキャッチコピーに惹かれた。表(数字が書いてある側)からは見えるが、裏からは透明になる特殊な素材であろうか。それともインクや表面処理剤が特殊なのであろうか。疑問は膨らみ、早速、東京メトロの定期券売場で販売と書いてあるので、霞ヶ関駅に買いにいった。
 定期券売り場には、一見して定年後の再雇用と思える年配の男性2人がいた。余談だが、昔定期券を買ったときはちゃんとした(?)若い社員が応対していたはずだが、最近は、切符の自動販売機で定期券も買えるから、定期券売り場の客が減り、このような体制になったのかと思った*1
 閑話休題、再雇用らしい担当者に買えるかと聞くと、オフィスの奥からいそいそと出してきてくれた*2。変ったものを売っていますねと言ったら、当人たちも(変なものを売らされて)当惑しているのか、相槌をうってくれた。
 900円でどんなものかと期待しつつ、家に帰って開封したががっかりした。トランプの材料は、普通の透明プラスチックで、不透明な小丸又は四角状のパーツが18個ほど並べられている。その表裏部分にトランプの表と裏の柄が印刷してあるのだ。表3枚(エース、クイーン、数札を代表して7)と裏の写真を撮った。

 特殊なハイテク技術ではないし、「不思議」でもない。考え過ぎだった。しかも、トランプとしては次のような問題点がある。

  1. 絵札に絵がなく、「A、K、Q、J」の文字だけで、しかも小丸(及び四角)状の複数のパーツに分割された文字なので見にくい。
  2. 数札も、普通は、その数のドットが適当な大きさで白地の上にあって見やすいのに、このカードでは、数を示すドットの付いた小さなパーツ、ドットの付かない白地のパーツ(裏に模様があるので不透明)、遠景が見える透明な地と3種類あってはなはだ見づらい。
  3. 表も裏も、18個の小さなパーツが散らばっているという似たようなパターンなので、表と裏の区別が一見しては判りにくい。これは、1ゲーム終った後のシャッフルの際の裏を揃える整理の際に、割に神経を使うことになり、不便だ。
  4. 紙製のカードと違って滑りやすく扱いづらい。普通のプラスチックカードも滑りやすいが、それ以上だ。
  5. ジョーカー札が2枚入っているがまったく同じデザインだ。普通は配色を変えるとか区別できるようにしてある。もっとも私は、2枚のジョーカーの区別が必要なゲームは知らないので、致命的な問題かどうかは判らない。*3
  6. 裏地のデザインがダサい。例の小さなパーツにメトロの8路線の電車の写真と路線記号(日比谷線なら「H」など)を並べてある。

 このカードの正式名称は、「スケルトントランプ」というらしく、ウェブで見るといろいろなデザインのものがある。それらと比較してもこの東京メトロのデザインは、最悪に近い。例えば、車のすばるのノベルティ景品だと思うが、次のスケルトントランプだと、上記の1から3の問題点は相当解消する。
http://minkara.carview.co.jp/smart/userid/1079311/car/856222/3904276/parts.aspx

 友人とトランプで遊ぶことのある家人に謹呈しようとしたが、要らないと断られた。

*1:自分も近年定期券売り場に行っていない。そもそも地下鉄の定期券売り場は改札口や券売機とは離れて、地下の薄暗く、不便な所にあるのが多くて、行きづらい。

*2:後でウェブを見たら、東京メトロでは、メトログッズと称していろいろなものを売っている。この定期券売り場でも商品の陳列棚を置いておけば、ひょっとしてもっと売れるのでは。

*3:2枚のジョーカーを区別するゲームはあるようだ。http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B8%E3%83%A7%E3%83%BC%E3%82%AB%E3%83%BC_(%E3%83%88%E3%83%A9%E3%83%B3%E3%83%97) (注、このURLは途中で分割された前の部分しかリンクされていないので、全部をコピーしてブラウザーに張り付けないと正しいページに行けません)