ヒッグス粒子とDelivery

 ヒッグス粒子とみられる新粒子が発見されたという衝撃的なニュースが7月4日の夕方テレビで流れた。

日経新聞電子版 2012/7/4夕方http://www.nikkei.com/article/DGXNASGG0401N_U2A700C1000000/
 欧州合同原子核研究機関(CERN)は4日、質量の起源で「神の粒子」とも呼ばれる素粒子ヒッグス粒子」とみられる新粒子を発見したと発表した。2つの国際チームが2010年から実験を重ねてきた結果。半世紀近く前に英国人博士(ヒッグス)によって予言され、唯一未確認だった素粒子の存在が、ほぼ確実になった。

 私は、ヒッグス粒子などは全く判らないが言葉だけは聞いたことがある。テレビでは、ヒッグス博士が出てきたので、まだ生きている人なのかと少し驚いた。また、ちょうど前日の3日に読んだ小説に次のように書いてあったばかりなのでびっくりした。

「昔はヒッグス粒子なるものが物に質量を与える粒子として考えられていた。
・・・・・・標準理論で導き出された粒子の中で唯一未発見だったのが、ヒッグス粒子だった。
・・・・・・ところが、発見できなかった。それらしきものが見つかったことはあったが、のちに違うとわかってな。」

○ 八杉将司「Delivery」(早川書店、ハヤカワSFシリーズJコレクション、2012年5月発行)
 このSFは2週間前の日経新聞の「目利きが選ぶ今週の3冊」で紹介されていたものだ。
http://www.nikkei.com/article/DGXDZO42810720Q2A620C1NNK001/
 このURLは会員専用で読者に見えないかも知れない。タイトル、評者等を述べると、「Delivery 八杉将司著 人工生命論から宇宙論まで」、評者は「ファンタジー評論家 小谷真理」、日経新聞2012/6/20夕刊だ。ミソは、この評者が星5つの評価をしていること。一般に星5つ(これを読まなくては損をする)は非常に珍しい、ということで書店で見つけ衝動買いをしてしまった。
 どういう本かというと、私は、子供が小さい時に読んだ本や映画の話をする時には、先ず何時、何処での話かを言えと言ってきた(この2つで相当のことが判る)。その伝で言うと、多分2-300年後の地球と月が舞台だ。2-300年後というのは、「月に人間が定住したのが200年前」と述べたところがあったからだ。書名は英語だが、中は日本語。SFの好きな人には面白いかと思う。
 ヒッグス粒子については、2008年のノーベル物理学賞を日本人3名(南部陽一郎小林誠益川敏英)が同時受賞した時に、刺激されて素人向けの解説書を何冊か読んだが、さっぱり判らなかった*1。私の願いは、今回のヒッグス粒子が、この6月初めに撤回された「光速より早いニュートリノ*2のようにならないことだ。

*1:例えば、京極一樹「こんなにわかってきた素粒子の世界」(技術評論社、2008年10月)では、こんなにも判らないものだと自信を無くした。

*2:例えば、「ニュートリノ、「超光速」撤回」http://sankei.jp.msn.com/science/news/120608/scn12060810170000-n1.htm