竹島・尖閣問題−与党的判断が可能か

 8月10日に韓国イ・ミョンパク(李明博)大統領が竹島に上陸した後、先週もこれに関連していろいろな動きがあった。14日(火)には、韓国イ大統領が天皇の謝罪を求める発言をし、15日の光復節の演説では従軍慰安婦等の歴史認識の是正を日本に求めたと言われる。日本政府は領土問題については看過できないとして、国際司法裁判所に提訴することを決めた。
 一方中国では、15日(水)に香港の活動家5人が尖閣諸島に上陸して、待ち構えていた日本の官憲に逮捕され、2日後に強制送還された。逆に、今日19日(日)には、日本の国会議員を含む150名余りが尖閣沖で戦没者の慰霊祭を行い、そのうち地方議会議員を含む10名が泳いで上陸した。これに対し、中国側は強く反発し、中国各地で反日のデモが起きているとのことで、今後の展開が心配される。
 韓国、中国との間のほか、日本はロシアとの間でも北方4島の返還という領土問題を抱えている。今までは、a)ロシアに対しては、4島一括返還、b)韓国(北朝鮮も)に対しては、竹島は日本の領土だから韓国が軍事占拠している現状は不法、c)中国(台湾も)に対しては、領土問題は存在せず、と言っているだけで、幸い事態は悪化せず、現状維持が続いていた。世界の安全と秩序を維持する責任を自認する米国の傘の中で、主張の実効性と影響に責任を持たなくていいという、「野党」の発言だったと言えよう。
 現在は違っている。第1に、米国は東アジアの安定維持に従来ほど積極的にコミットしなくなっている。第2に、韓国、中国、日本の世論は、近年着実に高まっており、各国政府は揃って、それを無視できなくなっていて、特に領土問題では妥協が極めて困難になっている(ロシアについても世論はあるが、その程度は不詳)。
 従って、領土問題に関する各国政府の対応は全て、相手国及び国内から直ぐリアクションを受ける。デモ、大使館、相手国企業への抗議活動、外交面の報復から更に軍事行動にまでヒートアップする恐れがある。すなわち「与党」としての覚悟と責任を持った対応が必要だ。上述のような国内状勢、国際状況の変化の中では、かつて長く与党であった自民党にでさえ運営が難しいと思われるのに、「政権野党」と皮肉られている民主党政権に、そのような「与党」的対応が可能だろうか。
 ということで、私はこれからの推移が非常に心配だ。考えてみると、私は領土紛争には詳しくなく、例えば日本政府が提訴を考えている国際司法裁判所についても詳しくない(仮に審理が受け容れられたらうまく行くのだろうか)。それで、今日新宿に行ったついでに本屋に寄り、領土紛争関係の本を探した。店内にある検索機で「領土」関係を見ても、領土紛争一般を論じたものはあまり無く、あっても在庫欄が×ばかりだ。取りあえず、携帯からアマゾンにアクセスして注文した。そのうち、各書店で領土紛争関係コーナーができるだろうと思う。
 ということで、今日は、勉強を始めたいとの私の意思表明だけ。
以上