ゴーイングマイホーム

 10月から始まったテレビドラマの中で1つ、楽しんで見ているものがある。ところが今週の週刊誌に、そのドラマの人気が無く早めに打切りの話もあるとの記事が出た。それでテレビ局に打ち切らないでとのメールを出した。返事は期待していないが、以下、そのドラマの内容を紹介する。
(ドラマの概要)
ゴーイングマイホーム」TBSテレビ(首都圏では6チャンネル)、毎週火曜日夜10時から1時間、2012年10月16日スタート
http://www.ktv.jp/goingmyhome/index.html
(主要出演者) 阿部寛山口智子宮崎あおい西田敏行吉行和子蒔田彩珠(まきた あじゅ)
(ストーリー) 主人公(阿部寛)は職場で仕事がややうまく行かない。その妻(山口智子)は著名なフード・スタイリストで忙しい。小学4年生の1人娘(蒔田彩珠)は冷めた感じで、学校でも友人や先生を小ばかにしており、家でも親にやや冷やか。阿部寛の父(夏八木勲)が長野の実家で倒れて意識不明になり、その妻(吉行和子)にも頼まれて看病に行く。その長野で森に棲むとの言い伝えがある「クーム」という小人を追いかけるというのがストーリーの枠組だ。
 もう少し噛みくだくと、フード・スタイリスト(CMや時々映画にも使われるための料理を作るという不思議なプロフェッショナル)の山口智子は、毎朝娘の蒔田彩珠に弁当を作っている。学校で友人が羨ましがるので、娘はその弁当をおかず単位に分け有料で売った。それが学校で問題になり、1週間の自宅謹慎になる。たまたま山口智子が映画撮影で1週間出張、阿部寛も会社から暫く休んでいいと言われ、それで、その父と娘が2人で長野の祖父の所に看病に行く(流れで、クームを探しに行く)というのが、第2回から第3回(10月30日放送)にかけての展開だ。
 山口智子が1996年のロングバケーション以来16年ぶりの連続ドラマに出演、監督の是枝裕和は今回初めての連続ドラマ挑戦で、かつ監督・脚本を手がけるというのが話題だ。キャストも豪華だ。
 私はたまたま第1回を見たが、たちまち引き込まれた。主な理由は2つある。
a) 小4の娘 萌江(もえ)(蒔田彩珠)のキャラクターがたまらなくいい。若干冷めた所があって、学校でトラブルを起こし、家でも冷素っ気ない言葉で親を煙に巻いている。しかし、実は両親や祖父母への細やかな思いやりも持っていて可愛い。煙に巻いた言葉の例を上げると、上述の弁当を学校で友人に売った理由を、心配した母親と父親に(別々に)問い詰められたが、素っ気なく「流れで」(その場の成行きでとの趣旨だろう)としか答えない。その素振りが最高で、見ていて微笑む(第2回)。第3回では、可愛さが前面に出る場面が多くて冷めた場面が少なく、少し物足りなかったが、それでもいい。とにかく、萌江ちゃんを降板させないでほしいというのが、TBSへのメールの内容の1つだ。
b) 憎まれ役がいないというドラマ設定がいい。阿部寛の会社の上司や取引先の社長など、憎まれ役がいない訳ではないが、それはあくまで後景だ。やや複雑で深刻そうな親族関係で、かつみんな少し口が悪い所があって、当初は心配になったが、実はみんな思いやりにあふれたいい人達で素晴らしい。例えば、主人公の母(吉行和子)が孫(蒔田彩珠)から、学校で謹慎になったという話をこっそり聞いて、「小学生で謹慎というのはかっこいいね。・・・何したの?・・・それでいくら貰ったの?」などと誉めていたが、最高のお祖母ちゃんだ(第3回)。
(週刊誌の記事)
 10月31日発売の週刊新潮11月8日号の新聞広告を見てびっくりし、早速買いに行った。タイトルは、「ひょっとしたら打切りもある視聴率8%で「山口智子」絶体絶命」だ。
 プライムタイムに放送されるドラマの視聴率が1桁台に落ちることを「シングル・ベルが鳴る」というらしい。16年ぶりの山口智子のこのドラマで早くも不吉な音が鳴り始めた。共演陣も豪華だから標準は15%だが、初回は13%、2回目が8.9%で振るわず、フジテレビ局内では不安が出ているとのことだ。
 打ち切られると、萌江ちゃんが見られなくなって淋しいので、TBSの番組のHPの意見欄からメールを打った次第だ。前述のa)とb)の2つを理由に上げて、丁寧に番組の存続をお願いした。このブログの読者の一部の人でも見てくれて、視聴率が上がればいいなと願っている。
 ただ、誰にでも面白いドラマだと自信をもって勧められるか、第4回目以降も面白いかと問われると、少し揺らぐ。私に勧められて第2回を見た妻は、子役は可愛いが、話は面白くないと、あまり評価してくれない。ただ、番組のHPにあるキャッチフレーズは、「クスっと笑えてちょっと不思議な、あったか面白イイ話」で、私は激しく同感している。
(難読名)
 番組の内容とは関係ないコメントだが、最近の子供の名前は極めて読みにくいものが多い。上記の役名の萌江(もえ)も難しいが、俳優名の彩珠(あじゅ)はどうしても読めない、ウェブで探し出すのも大変だった。子役で言うと芦田愛菜(あしだ まな)も難読名に数えられる。
 明治生命保険が毎年子供の名前ランキングを発表している。2011年生れは次だ。http://www.meijiyasuda.co.jp/profile/etc/ranking/
 これによれば、2011年の女子の名前のベスト10は、次のとおり。
(1位)陽菜、結愛、(3位)結衣、(4位)杏、(5位)莉子、美羽、結菜、心愛、愛菜、(10位)美咲
 「杏」は別として、何れも読み方は難しく、かつ定まっていない。読み方は同じHPの「名前ベスト10の読み方」http://www.meijiyasuda.co.jp/profile/etc/ranking/read_best10/ に出ている。同率1位の2つについて言うと次のとおりだ。
陽菜 ヒナ、ハルナ、ヒナタ
結愛 ユア、ユウア、ユイナ、ユメ
 同率5位のうちの1つの「愛菜」は前年の64位からの大躍進で、芦田愛菜に因んだものだろう。ただ、読み方は、マナ、アイナ、イトナ、ラナと多彩だ。「彩珠」は、2011年生れのベスト100には出ていない。
 同じHPには、大正時代以来のベスト10の変遷も掲載されている。上記のような難読名が多く登場してきたのは、21世紀日本の最大の特徴の1つだと思う。それがここ数年ますます加速されている。親子といっても名前を見ると、漢字文化圏であることが共通なだけで、異なる民族のようだ。しかも難読なので、振り仮名が必須で、アイデンティフィケーションも面倒だ。日本語の乱れ、ないし多様化というものがあるとすれば、これもその1つだと思う。