振込め詐欺

 我が家に振込め詐欺の電話がかかってきて、危うくだまされそうになった。みっともない話だが恥を忍んで紹介する。
(成行き)
 4月9日の朝9時11分に自宅の固定電話に電話があった。最初の会話は世間話みたいだったが(実はよく覚えていない)、その声が、都内のアパートに数年来別居している息子に似ていたので、少し経ってから「○○か?」と聞いたら、「そう、判らなかった?」と言う。
 それからの息子の話は、「コンビニのトイレの棚にかばんを置いて忘れて出てきた、外に出てから気が付いて戻ったが無くなっていた。店員に聞いても判らない。交番には届けた。中に入っていたキャッシュカード、クレジットカードは取消しの手続きをした。他に財布や携帯が入っていて、今は人の携帯を借りて電話している。店の人や警察には、この家の電話を連絡先に登録したから、何か連絡があったらよろしく。失くした携帯はロックがかかっていて繫がらなくはなっている。しかし、その携帯に電話すると、家の電話番号が知られることになって、それも心配だから、電話しないでほしい。こちらから、2-30分ごとに電話する。警察からは携帯も止める手続きをしろと言われていて考えている。」
 私からは、「今日は何処の事務所に行くか? オフィスに電話しようか」などと言っていた。
(相手) いや昼に小金井(?)に仕事で行く。オフィスには電話しないでほしい。かばんには契約書も入っていて心配だ。
(私) 現金などだけ抜き取って、残りは返すとか捨てるとかと言うこともあるから、暫く様子を見て待っていたらいい(これは後述の私の経験から)。
 てなことを言っているうちに、妻が替りたいと言ったので、替った。
 (妻) 何時どこで失くしたの(今朝、新橋とか、飯田橋とか言ったらしい)。財布がないなら少し金を渡そうか。所で風邪っぽい声だが、調子はどう。
 次の妻の質問がクリーンヒットだった。「ところで我が家の犬の名前を言ってみて。」
これで、相手はいきなり電話を切ってしまった。
(電話の後)
 電話がいきなり切られたことについては、詐欺がばれたから切ったという説(妻)と、ふざけた質問をしたことで息子が怒って切ったかも知れないという説(私)と両方考えられた。私は、恥かしながら、電話の最中から電話後数分間ほどは、息子からの電話だと思い込んでいた。妻の方が早く、振込め詐欺だと言いだし、私もそのうち詐欺の可能性が高いなと思い始めた。
 しかし、本当と言うこともあるし、何せまだ金の依頼をされるという実害の可能性がある局面になっている訳ではない(何の依頼もされていない)から、昼の12時ぐらいまでは、息子の頼んだとおり携帯に電話せず、様子を見たらどうかと、私は言っていた。しびれを切らした妻は結局、10時45分ぐらいに息子の携帯に電話して、全くの詐欺話であったことを確認した。妻は息子に「それにしても今後気をつけてね」と詰らないことを言ったが、息子に「気をつけるのはそっちでしょ」と諭された。
(私の反省)
 私としては、反省すること大だ。あとから考えると、疑わしきところが多いのに、声が少し似ているようなこともあって(これは妻も同意見)、息子だと疑わなかった。多分、昔、自分も夜酔っ払って電車の中で置引きにあったことがあったからだと思う(翌日キャッシュしか抜き取られなかった鞄が無事出てきた)。かばんを盗まれたことについては、今自分は何も頼まれていないし、暫く息子に任せておいていいと思っていた。多分、金の依頼が出てきたら、恐らく騙されないと思う (元来自分はケチだから十分チェックする筈)。
 しかし、一番の問題は、妻も非難するように、怪しいと思い出してからも、息子の携帯に確認の電話をせず、12時ごろまで待とうと言っていたことだ。私の思ったことは、a)詐欺かも知れないが本当かも知れない、b)携帯に電話すると家の電話番号が知られて困ることになるかも知れないという話にはよく判らない所があるが、そういう風に思う人もいるかも知れないので、取りあえず本人の希望を尊重しよう(我ながら少し複雑な理屈)、c)2-30分ごとに連絡を寄こすと言っていてまだ来ないが、もう1-2時間ぐらい待ってもいいではないか、d)まだ実害が出る可能性がある局面でないから緊急にしなければならないことではない、などだ。
 しかし、今改めて考えてみると、1度信じたことは直ぐには変えたくないという心理も働いたのではないだろうか。そういう固執や頑固さは、老化現象だ。これが最大の反省。
(余談2題)
 妻が息子の無事(?)を確認してしばらく経った11時ちょうどに、偶然だが警察のコールセンターから電話があった。振込め詐欺の被害が世田谷区で多くなっているから、気をつけるようにとのことだ。早速今朝それに騙されそうになったと言ったら、警察署に届け出てほしいとのことで*1、その後警察に電話した。
 それから、翌4月10日の日経新聞夕刊の社会面に、「振込め詐欺、別の呼び方公募」との記事が出た。
http://www.nikkei.com/paper/article/?ng=DGKDZO53814100Q3A410C1CC0000
 従来にない親近感をもって読んだ。現金受渡しの手口が、従来の振込から2012年には手渡しが多くなった(68%)。それで名称変更することとし、警視庁(東京都)が公募したところ、10日の公募締切の前日で1万件を越える新名称提案が集まっているとのことだ。
 私の場合もそのまま行っていたら、どんな理由で金の工面を頼み、どういう受渡し方法を指定してきたのだろうかと想像すると楽しい(これは危険な考えだが)。手渡しは面倒だから、仮に本当に騙されたら、こちらからネット振込みを頼むかも知れない。
(対策) 
 振込め詐欺の電話は今後もあり得ることだし、年を取ったらちゃんとやれる自信もないから対策を考えた。電話機の録音アダプターを購入して、固定電話を全て録音しようと考えて、ネットで調べて、妻に相談したら猛反対された。自分の電話も全て録音されるのは嫌だと言う。電話でショッピングの時などにも安心できると私は思うが、引き続き折衝したい。取りあえず、親機でも子機でも録音できるタイプのものにすることはチェックした。

*1:コールセンターの電話番号は、我が家の電話機の記録によれば、0120で始まるフリ−ナンバーだった。しかし届け出の電話を受け付けないというのは、フリーナンバーの意味がなく変な感じがした。