電線地中化

 2年前の弊ブログ「電線共同溝」(id:oginos:20110717)で、最寄駅前のバス通りで電線共同溝の工事が行われていることを紹介した。2011年の7月に共同溝が完成したが(後に判ったが第1期工事分)、その目的とする架線、電柱の撤去(=電線等の空中架線を共同溝へ移動)がさっぱり進んでいなかった。ところが、昨4月30日にそのバス通りを歩いて感激した。道路の片方だけだが、架線撤去の工事が行われており、その日の帰りには無くなっていた。

 撤去された状況は左の写真のとおり。参考までに、2年前の1期工事終了時の写真も右側に掲載する。写真を説明すると、道路の手前側はNTTの電話線のみで、道路の反対側は、東電の電力線(一番高い所に張られている3相交流の3本線)とCATV等の電線等だ。今回は手前のNTTの電話線の200メートルくらいの部分が撤去された。電話線もまだ全部ではなく、電柱上の黒い器具から道路の後ろ方向に100メートル分ほど残っていて、翌日以降撤去されていくのであろう。次に電柱の撤去が計画されている筈だ。
 以下簡単に、工事の経緯等を紹介し、更に若干の感想を述べる。
(2年前の第1期工事)
 先ず、世田谷区が電線共同溝(バス通りの両側の歩道の地下)の工事を行い、その完成後、各電線事業者(東京電力、NTT、ケーブルテレビ事業者等)がそれぞれの架線の撤去工事を行うものだ。世田谷区の工事区間は当初約200メートルで請負金額は約95百万円(各電線事業者の撤去工事費用は多分含まれない)、期間は2010年9月から2011年7月までだった(以上、路上の掲示板による)。これが冒頭の弊ブログで紹介した工事だったが、その完成後も架線、電柱は無くならず、次項の2期工事が始まった。
(第2期工事)
2011年11月頃から、第2期工事として約140メートル、請負金額約55百万円が追加された(区間の重複があり、区間の計は約300メートルか)。2012年の春頃には、この世田谷区の工事は終了したが、架線、電柱の撤去工事は一向に始まる気配が無い。それよりも2期工事分の共同溝の蓋部にクラックが生じたのを見て、私はどうなるかと心配していた。2012年6月に、そのクラックの写真を撮っておいた(今でもそのまま)。

(今回の成果)
 共同溝が完成しても、昨2012年は動きなしという状況だったが、今年になり、やっと共同溝を開けてケーブルを敷設する工事が断続的に見られるようになった。多分、先ず共同溝内に電線等を敷設して、各戸への配電等を確認してから、架線を撤去するのだろうと期待していた。それで4月末日になってやっと架線の撤去が実現した訳だ。
 ただ、今回の撤去はNTTの電話線のみで、道路の反対側の東京電力の電力線やCATVなどの架線の撤去は未だ手がついていない。しかし、共同溝内への電線の敷設工事が行われているのを既に見ているから、近々撤去工事が始まるのであろう。
(感想)
 世田谷区と各電線事業者との連携が悪いのか、たかが300メートルの工事なのに、3年近くと長い年月がかかるものだと感心する。一時は、原発廃炉で大変な東電が中心となって、完成した共同溝の棚上げを画策しているのではないかと疑っていた(もっとも全部撤去されるまで安心はできないが)。工事期間が長いと実害が目立つ道路補修などと違って、この工事は各事業者がマイペースで進められるのだろう。
 冒頭の弊ブログ(2011年)では、広義の耐震性の観点*1から、電線地中化に若干の疑問を呈した。しかしその後、上空の架線を何度も見上げるたびに、その乱雑さと醜さにうんざりするようになり、今回の電線地中化の実現が楽しみになっている。都市の景観上は、共同溝が必要と宗旨替えしたが、その普及には、資金と時間が掛かることも納得した。*2

*1:一般に共同溝は耐震性が高いと言われるが、仮に超大震災などで一旦被害を受けた場合は、復旧に時間が掛かる。

*2:今回の工事の例だと、300メートルで1.5億円。両側の歩道だから、片側換算だと600メートルで、1メートル当り25万円だ。これは共同溝の工事費だけで、架線の撤去、移設工事費は含まない。