犬の葬儀

 我が家の老犬が今週、17才3か月で亡くなった。かねて調べていた近くのペット用の葬儀場で葬った。以下、1)ペットの葬儀場、2)実際の葬儀(納骨室を含む)、3)その他(老犬ホーム等)について、説明する。
1) ペットの葬儀
 我が家の近くにあり、かねて目星をつけていたのは、妙法寺「大蔵動物霊園」といい、日蓮宗の350年の古刹、妙法寺の境内にある。http://ookura-ac.jp/
 余談だが、この妙法寺には、もう1つ名物がある。高さ8メートルの大仏像(「大蔵大仏」1994年建立)だが、不思議なことに、1日の中で回転して向きが変わる。側を走る都道の世田谷通りからは、顔が見える時間帯と背中が見える時間帯とがある。私は17年前に引っ越してきたときは、朝と向きが変ったので非常に戸惑った。余談ついでに、「大蔵」とは地名で、大蔵省とは関係が無い。
 閑話休題。この葬儀場の特徴は、a)本物の僧侶の読経付きの葬儀ができる、b)希望に応じ骨壺に納骨できる、c)火葬炉が敷地内にある、d)希望者には納骨室があり、お骨を預かってくれる、などの点であろう。
 ペットの葬儀には各種あるが、都市におけるものは火葬が前提のようだ。火葬のやり方は大きく、a)火葬場の固定炉で火葬するもの(大蔵動物霊園はこれ)と、b)火葬車が自宅等に来るものに分れる。ちなみに、富山にいる兄の所で10年ほど前に犬の葬儀をした際、家の周りに白黒の幔幕が張り巡らされ、来客を驚かせたそうだ。これは自宅で葬儀をした後、火葬場に運ばれたもので、c)と分類されるか。
2) 実際の葬儀
(コース)
 大蔵動物霊園の葬儀には、次の3コースがある。
a)合同葬儀(他家と合同で、供養、火葬、埋葬される)、
b)個別一任葬儀(個別の木の棺に入れ、個別に供養、火葬され、遺骨も返されるが、実際の葬儀は先方に一任する)、
c)立会葬儀(納棺から骨拾いまで全て家族の立会の下、僧侶の読経も併せて行われる)
 我が家は妻の希望に従い、立会葬儀をお願いした。値段は、葬儀のコースと体の大きさとの組合せで決る。大きさは7段階あって我が家のヨークシャテリアは、ちょうど真ん中の段階だ(最小はハムスター、文鳥など、最大はセントバーナードなど)。我が家の場合約6万円だった。
(葬儀)
 葬儀は、すべて手際よく、かつしめやか、丁寧に執り行われた。当方の参列者は夫婦の外、都内から馳せ参じた息子2人の計4人。
 最初に本堂の祭壇の前に、遺体を入れた木棺が据えられ、花等を入れて、僧侶の読経、焼香と続く。写真は木棺と祭壇。遺体自身の撮影は、私としては痛ましく感じたので省略。

(火葬)
 それから、木棺の蓋を覆い、建物の外に出て、墓地(本寺の境内の人間用の墓地)を通り抜け、別棟の火葬場へ。写真は、火葬炉の隣の祭壇の前に置かれた木棺。再度、僧侶の読経、焼香の後、火葬された。1時間弱の後、骨壺に収骨して終り。炉からの引出しが始まった時は、燃え尽きたかと錯覚したぐらい遺骨が少なく見えたが、小さいなりにちゃんとした骨格が残っていた。喉仏もあった。遺骨の撮影は、遺体以上に私としてはできなかった。
 合計約2時間15分ぐらいの所要時間。
 写真は、墓地の中に建つ大仏像。本堂と火葬場との間の移動の際に撮ったもの。

(納骨室)
 火葬炉で焼いている間に案内されたのが、本堂の地下にある納骨室だ。棚型、箱型、壇型で、かつ各種のサイズのものがある。スペースは小さいもので、縦20cm、横15cm、奥行き15cmぐらい(アバウト)。現在使われている各区画には、遺骨(骨壺)に写真、供物(玩具など)、水等が供えられていて、飼い主の想いと心遣いがうかがわれる。
3) その他
 我が家の老犬は、この1年弱老衰で目も見えず、耳も聞こえず、足も弱っていた。妻の献身的な介護で今まで寿命が延びたのだと思う(小型犬の17歳は、人間の90歳程度に相当するという)。
 たまたま葬儀の日の7月25日の日本経済新聞に「老犬ホーム広がる」*1との記事が出ていた。ペットの一時的保管を行う施設(ペットホテルなど)の中に、老犬の介護を長期に行うものが出てきたというのだ。認知症で夜鳴きが激しい犬には防音設備、寝たきりの犬には定期的に寝返りをうたせるという。また、犬専用の訪問介護を行うサービスも出てきた。食事介護や寝返りサポートに加え、弱りがちな後ろ足のトレーニングなども行うとのこと。飼い主も老齢になっているので、老老介護で苦慮するケースもあるとのことだ。
 妻は、犬がいなくなって淋しいが、これから飼うと老老介護になるのが見えているから、もう飼わないと言う。私はレンタルがあればいいかなと言うが相手にされない。聞いていた息子が、猫に触れられる「猫カフェ*2がいいと言う。猫カフェと似た「犬カフェ」があるかというとなかなか無いようだ。ドッグカフェは多いが、これは犬を同伴して入れるカフェということで、猫カフェとは意味が違う。
 ということで、17年にわたった我が家の犬との暮しは終ることに。長い間有難う。心から冥福を祈る。