公的個人認証の更新

 世の中、マイナンバーの通知が遅れているので大騒ぎだ。当初予定は11月末までに通知ということだが、届いていないところも多いらしい。世田谷区の我が家でも12/3時点でまだ通知は届いていない。私の悩みは、電子証明書(=公的個人認証)の更新だ。いろいろ考えた末、住民基本台帳カード(住基カード)上の電子証明書を更新することとしたが、そのために区役所(出張所)に3回も通う羽目になった。以下、その顛末と私の不満を紹介する。
1) 問題の前提
少し複雑なので、先ず問題の前提から説明する。

  1. 私の公的個人認証は、多くの人と同じように、住民基本台帳カード(住基カード)に搭載されている。主たる用途は確定申告の電子申告で、ほぼ年1回しか使用しない(確定申告以外で使用したことも少しある)。
  2. 私の住基カードの有効期限は2019年(有効期間10年)だが、電子証明書の有効期限(3年)はさる2015年2月に切れている。従って、このままでは私は2016年3月15日までの電子申告ができない。なお、この電子証明書の更新申請は、マイナンバーカード制度が導入されることから、本年12月22日までとされている。
  3. マイナンバーの通知後に申請手続きして、(2016年1月以降に)交付されるマイナンバーカードには、電子証明書が搭載される。

 マイナンバーカードは無料だが、電子証明書の更新は500円かかる。ということで、マイナンバーの通知があれば直ぐにカードの申請をしようと思っていた。しかし、マイナンバーの通知がこれだけ遅れると、カードの送付も何時になるか判らない。
 選択肢は3つある。

  1. 通知が来た後、マイナンバーカードを申請してその交付を待つ。間に合わなければ、止むを得ないが、紙で確定申告する。
  2. 端からあきらめて、面倒な申請はせず申告は紙とする。
  3. 12/22以前に、500円払って現行電子証明書の更新を行う。ただその後、マイナンバーカードの交付を受けると、住基カードを返還しなければならないので、無駄になる。

 どうでもいいことをいろいろ考えて、結果、3を選ぶこととした。500円は惜しいが、税務署に行く手間(往復440円のバス代も必要)や郵送の手間が面倒と考えたからだ。決めたら、締切り間際は混雑するだろうからと、早速変更手続きをすることとした。
2) 更新手続
 世田谷区役所の支所は歩ける距離にある。しかし、冒頭に述べた通り3回も通う羽目になった。
(1回目) マイナンバーカードに関する案内文書や、区役所のHPの公的認証更新に関するページを見て、持ち物は現在の住基カードだけだということを確認していた。ところが、区役所では住基カードの暗証番号が必要だと言う*1。暗証番号が判らない場合は、申請書類をプラス2枚合計3枚書かなければいけないというのでひるんでしまい、出直すこととした。
(2回目) 3年前の更新時*2の書類を確認し、暗証番号が2種類メモされていたのでそれを持って行った。ところが、この2種類の暗証番号は、a)確定申告の税務署用の暗証番号(英数字10数ケタ)とb)公的個人認証用の暗証番号(数字6ケタ)であって、今回必要なのはc)住基カード用の暗証番号(数字4ケタ)だという*3
 ひどい。公的個人認証の更新なのに何故住基カードの暗証番号が必要なのか。
(3回目) 改めて家の中を探したら、手帳に、住基カードの暗証番号がメモってあった。それで、暗証番号で無事簡単に更新できた。3年前の更新の時に、暗証番号をどうしたかは覚えていない。
3) 不満
 以下、若干の考察というか、不満を述べる。
(本人確認書類の必要性)
 暗証番号を忘れた人が更新するには、本人確認できる他の書類(運転免許証やパスポート等) を見せる必要があるとのこと(私は免許証を常時携帯していて問題ない)だが、非常に違和感がある。私の持っている写真入り住基カードの用途の1つは、かねて本人確認に使えるということだった。すなわち、運転しない人、海外に行かない人のための写真付き本人確認の決定版ということだ。それに、今回は住基カードの更新ではなく電子証明書の更新だ。写真入り住基カードは何よりの本人確認ではないか。
 と思ったが、wikiの「住人基本台帳カード」のページを見ると、住基カードは、不正使用や偽造の問題が過去にあって、本人確認の方法としては信頼度が落ちてきていると書いてあって驚いた(同項目中、「7.統一的な身分証明書としての実用性」)。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%BD%8F%E6%B0%91%E5%9F%BA%E6%9C%AC%E5%8F%B0%E5%B8%B3%E3%82%AB%E3%83%BC%E3%83%89 
例えば、大阪府の信用金庫では、過去の偽造カードによる不正使用事件のために、大阪府警察の要請により、住基カードを提示した場合は、更に別の本人確認を求めると公式に発表しているとのことだ。
唖然とした。本人確認に使えない欠陥商品を、1000円で販売しているということだ(電子証明は更に500円)。発行者(世田谷区)としては偽造防止対策に努め、所管内だけでも本人確認機能を通用させるのが、発行者としての意地ではないか。
(書類の持ち帰りの禁止)
 2回目の手続きの際、3種類の申請書を書いている途中で、時間が1時間くらいかかることが判り、予定があったので、また出直すことにした。再度書き直すのは面倒なので、書きかけの申請書を持ち帰ろうとしたら、それは駄目だと言う。他の申請と異なり、電子証明書の場合は、窓口で用紙を交付し、その場で記入してもらう決りになっているとのこと。用紙の取り合いになったが、先方に押し切られ(引き抜かれ)てしまった。非常に不満だ。
 区役所は、個人情報の取扱いは過剰に神経質だと思う。もう少し余裕をもって運用しないとマイナンバーカードも使いづらくなるのではないか。
(マイナンバーカードの利点)
 不満ではないが、マイナンバーカードの電子証明書の方が、住基カード電子証明書より使い出があるとのことだ。すなわち、住基カードの場合は、署名用電子証明書だけだが、マイナンバーカードの場合、これに加え、利用者用電子証明書の機能があるらしい(詳細は次のページ)。今回更新した電子証明書は、あと3年間有効だが、マイナンバーカードを申請することになるかも知れない(写真が面倒)。更新など無駄なことをしていたと思う。。
http://www.soumu.go.jp/kojinbango_card/kojinninshou-01.html 
 それから、小さな不満だが、12/19に使用期限の来る世田谷区のプレミアム商品券が残っていた。更新手数料500円の支払いに使おうとしたら駄目だという。区が発行した金券なのにと文句を言ったが相手にされなかった。

*1:HPをよくよく見ると、持ち物の注意として 「住民基本台帳カードの暗証番号を忘れた方や写真なしの住民基本台帳カードをお持ちの方は、運転免許証・パスポートなどの官公署が発行した写真つきの免許証または証明書が必要です」とある。私のは写真入りの住基カードだし、免許証も持っているので、深く考えずに問題ないと思っていた(言い訳だが、判りにくい表現だと思う)。 http://www.city.setagaya.lg.jp/kurashi/101/111/216/218/d00005353.html

*2:私の住基カードと公的認証は2009年に取得し、3年前に更新していた。

*3:3回目に行った時には、更に電子証明書の暗証番号も必要だった。