キャリーバッグの危険

 最近、かねてよくない家人との関係が更に悪化した。原因は、葬式で帰省した際に、2人で1つのキャリーバッグを、私が転がさず、手で持って運んだからだ。
 キャリーバッグを引っ張ることに関し、かねて私には疑問があり、
a) うるさい。特に滑らかな舗装ではない通路をグループで動いている時の騒音は耐えがたい。
b) 汚い。家の中に入れるのは、家に土足で入るのと同じで、それを許す神経を疑う。
c) 男としてカッコ悪い(これはそれぞれの美意識に依るか)
 家人は前からなぜかキャリーバッグを気に入っていて、何時も喜々として引っ張っている。こんな便利なものを毛嫌いするのが理解できないと言う。今回も私が手で持っていると、引っ張ってほしいと言い、断ると、終いにはバッグの取り合いになって、自分で運び出した。
 以上は取るに足りない夫婦間のいさかいで、私も重い荷物の時は不本意ながら引っ張る。ところで、最近私は更に2つの問題点も見つけた。
d) 危ない。
 キャリーバッグの危険については、ウェブでもよく話題になっている。突然方向転換(ストップも含む)して、人にぶつかって、怪我をさせるなどの事故が多い。今回の帰省の際にも恐怖を覚えた。新幹線ホームへの上りのエスカレーターで、私の前の女性が、後ろの段にキャリーバッグを置いて手も添えず、(後ろ向きのまま)手許のスマホを見ていた。私は思わずエスカレーターの手すりレールを握りしめた。
e) はた迷惑。
 危険という訳ではないが、新幹線車両の中にもキャリーバッグが多かった。迷惑なのは、飛行機に預けるような大型のスーツケースだ(こういうのはキャリーケースともいうらしい)。車内販売カートとのすれ違いは不可能、他の乗客とのすれ違いも大変だ。私が思うに、持って運ばなければならない時は、大きさにも自ら限界があった。キャスターが付き、容易に運べるようになったので、電車の中にも持ち込んでいるのではないか。大は小を兼ねるということで大型を安易に使っている。こういうのは宅配便で送ってほしいと思う。
 ついでだが、キャリーバッグは和製英語のようだ。ジーニアス和英辞典には辛うじて、roller [carrying] bag という語が出ていた*1。英和の方には無いから、造語のような気がする。キャリーバッグ自体、欧米の男には認知されていないのではないか。

*1:carry-onというと、機内持込みの手荷物のこと