高齢者向け教養講座

 4月から、ある市の老人向け教養講座に通いだした。本記事ではあえて匿名の市にしている。弊ブログの読者は私がどの区に住んでいるか判るから、その講座の正式名称を書いても問題ないと思える。しかし、その講座を運営する区の役人が不断にウェブを検索しつつ、講座の評判を調べているかも知れない。その検索に、私のこのアイロニカルなブログが引っ掛かって名前が特定されると、妙な目で見られよう。私の本意ではない。以下、a)講座の概要、b)入学式への違和感、c)講座の意義、d)受講生の自己紹介、などについて紹介する。
(講座の概要)
 その講座は○○大学と名付けられている。週1回のコースが5つある。各コースは、1時間半の授業と1時間の体育(必須)から構成され、年限は2年間だ。1コースの定員は30名で、参加資格は60歳以上。授業料は、年間14,000円。今年度の新入生は5コース計で137人。
(入学式)
 4月の上旬に入学式があった。相当仰々しくて嫌になった*1。市長(元国会議員)や市議会議長などの来賓が出席した。以下、仰々しさの例を幾つか。

  • 紅白の幕が会場にめぐらされている。
  • 開会は起立、礼から始まり、閉会も起立、礼で終る。国歌斉唱が続くかと怯えたが、それはなかった。
  • 在校生(2年制だから2年目の人)代表の挨拶、新入生代表の挨拶があった。ちなみに、新旧両代表の挨拶は、来賓の挨拶がやや定型的で詰らなかったのに対し、実際的で味のあるものだった。
  • 挨拶の他、参列者(市の関係者、講師等)の紹介があった。立ったついでに、殆どの人が、「入学おめでとう」と一言いう(もちろん来賓挨拶でも乱発される)。非常に抵抗を感じた。老人が暇つぶしの講座に入ることの何処がおめでたいのだろう。
  • もっとも他に言うことが無いのかも知れない。大体、来賓や参列する関係者は、受講生(学生というのは、私には抵抗がある)より年下だ。上から目線の挨拶には、流石に抵抗があるのだろう。

 この日は入学式というセレモニーだけで、事務的な連絡はおろか何も実質的な内容はない。そのためだけに受講生も含め、多くの人の時間を拘束するということの無駄が理解できない。ちなみに市長、市議会議長は、式典(40分ぐらい)の後の、5つのコース別の記念写真撮影に全て付き合っていた(この場所は市役所本庁とは離れている)。市長というのは暇なのか。こういうのに参列するなら、1つでも多くの小中学校の入学式に参列して、意義のあることをしゃべったらいいと思う(それも詰らない内容になるかも知れないが、人生の先輩として若い人たちに言えることはあるだろう)。
(講座の意義)
 講座関係者は、かねて講座の意義として、a)新しい仲間作りと、b)自主的な運営について繰り返し述べていた。a)は仲良くなってほしいということだ。学園祭があるのでその演し物を協力して企画し、演ずることで仲良くなれるという。私はそれを聞いて嫌になった。新たな人間関係を作るのや演し物への参加に気を遣うのは億劫だ。2つ目の自主的な運営のために、2年間で延べ19名以上のクラス委員を自主的に選んでほしいという。
 私は、大学(リアルな)の同期生と比較しても、最近ソーシャルな関係に億劫になっていると思う。面倒くさい気持が先に立つ。この講座でもこれからは、できるだけ後ろに下っていることにした。
(受講生の自己紹介)
 私のコースは、名称が「社会と○○」で、28人。入学式の次の週に第1回の授業の時に、1人3分程度の自己紹介をやらされた。名簿は予想通り、氏名だけのもので、住所、電話番号、年齢が無い。必要ならクラス委員が自主的に作ってくれとは事務局の言。
 みんなは、基本的に申込書を提出して入ってきた人たちだから、積極的な面があり、期待もしているので、自己紹介はまあ面白かった。饒舌で聞き苦しい人もいたが、一部そんな人がいてもしょうがない。
 年齢構成について60代が確か14人といっていたので、69歳の私は中間か。自己紹介の中で最高は85歳。男女はちょうど半々。いろんな人がいて、台湾から日本に来て40年という人、高卒で金型職人をずっとしていたので、今回の○○大学の学生証がもらえて嬉しいという人などが異色の双璧か。
 講師が冒頭に、最近関心を持っていて講座で取り上げてほしいような話題があれば話してほしいと言ったのに応えて、数人が、戦争への危惧に触れたのには、私もうなずけるところがあった。この世代は、戦後の教育の成果で、戦争や軍備への恐れがあるのではないかと思う。
 体操の時間があるのがいいと言っていた人が数人いた。民間のスポーツセンターなどと比較すると廉価か。私は、50音順で前の方で、自己紹介の中で、ぶきっちょだから体操の時間が嫌だと言った。それに対応しての発言かも知れない。
 友達作りの機会にというのは、主催者も推奨しているが、ある男性が、「このコースは女性が多いと聞いていて(昨年まではそうだったらしい)申し込んだが、男女半々なので少しがっかりした」と言った。そこまで言うかと唖然とした。

 まあ、いろんな人がいるから、見ていれば面白いかも知れない。それより、先生が何を教えようとしているのかがまだよく判らない。余り期待しないことにした。

*1:入学式というのは、ほぼ日本だけの行事だというのは、数年前の弊ブログ「幼稚園の入園式は必要か」(id:oginos:20120218)で述べたことがある。