目指せ!富士山

 このタイトルは、今月Amazonで買った本、鈴木ともこ著「山登りはじめました(目指せ!富士山編)」(メディアファクトリー、2009年初版、12年17刷)の副題から採ったものだ。私が富士山登山をすると決めている訳ではない。以下、経緯を述べる。
(息子の誘い)
 今年の元旦に息子が年賀に来て、飲み食いしているうちに、富士登山に誘われたようだ。「ようだ」というのは、酔って忘れていたからだ。数日ほど経ってから家人に、あれはどうするの、断るなら早い方がいいと言われて、そういえばそんな遣り取りがあったかと、うっすらと思い出した。酔って前向きに考えると返答したらしい。
 改めて電話して彼の計画を聞くと、まだ具体的には考えていないが、時期は夏、パーティは取りあえず私との2名とのこと。孫(小学生2人)は考えていないらしいので少しほっとした(多分自分のケアだけで満杯になるだろうから)。何れにしろ私の方の可能性を検討して、この1月末までに、行く方向かどうかを連絡することとした。
(私の登山経験と健康状況)
 考えてみると、富士登山とは大変なことだ。高齢者の登山では、80歳で最高齢エベレスト登頂者となった三浦雄一郎(2013年5月)、70歳を越えても登山を続けた、女性初のエベレスト登頂者田部井淳子(2016年10月、77歳で死亡)などの例は有名だが、何れも生涯鍛錬を続けてきた人たちだ。これに対し、私の登山歴は学生時代だけで、友人に連れられて、富士山、立山剣岳谷川岳浅間山、その他若干だ。卒業後は全く無い。富士山には一応行ったが、苦しかった記憶しかない。
 その他の運動についても、卒業後は大したことはやっていない。特に高年になってからは運動嫌いで、スポーツジムなどは行かず、ゴルフもぶきっちょでここ10年以上やっていない。散歩だけは、10年以上毎日9,000歩を目途に歩いている。*1
 健康状況については、糖尿病(60歳ごろから薬を服用)はあるが、血圧は最高100程度で低め。2-3年に1度くらい風邪で2-3日寝込む程度で、概して健康と言えようが、富士山に行ける自信は出てこない。
 誘ってくれた息子の方は、今40歳で、富士登山の経験はあるらしいが、私と同じように登山経験は少ない。今回何故か衝動的に富士山に行きたくなったらしい。彼から来た年賀状を見直すと、唐突に「富士山に登ろう!」と書いてあった。
(検討内容)
 息子に検討すると伝えたが、その内容は大きく3点。1)本で調べる、2)友人に聞く、3)取りあえずトレーニングして身体の調子を見てみる。以下説明。
1) 本などで高齢者富士登山について調べる。
 AmazonGoogleで、「70歳 富士山」と検索してもあまり出てこない。取りあえずAmazonで、冒頭に記した「山登りはじめました(目指せ!富士山編)」を注文した。届いたのがコミックなので、ちょっとびっくりした。運動音痴だったOLが28歳にして初登山をし、それから登山の魅力を知り、富士山にまで登ったという話だ。登山に関する情報量がなかなか多く、参考になった。
 それから図書館に行き、マップルの旅行ガイドなど取りあえず2冊借りた。70歳の運動不足者の富士登山という課題に直接答えてくれそうな本は無く、行こうという踏ん切りはまだ付きにくい。
2) 友人に聞く。
 区の老人大学での友人(同年輩)に聞いても、激励だけはしてくれたが、安心して出かける気にはなれることは言ってくれない。
 たまたま大学時代のあるクラスから、クラス会の案内メールが来た。そのクラスには山歩きが好きな人が多かったのを思い出して、出席の返信メール(全員へ返信)のついでに、コメントを求めた。上記の私の登山歴、健康状態などを説明した上で、次を質問。
a) 70歳の(未熟な)高齢者には無理だから断わるべきか。
b) 夏の登山時期まで日にちがあるから、トレーニングすれば可能か。その場合どんなトレーニングが必要か。(登山可能と判断できる)達成レベルの基準はどんなものか。
c) 実際の登山の際は何に気をつけるべきか。特に、撤退の際の判断基準。
d) 今後の想定問答として、小学生が行くことについてはどうか(未熟な中高年2人の引率という条件下)。
 有難いことに、何人かから丁寧なコメントが来た。当然ながら私のクエスチョネールの全てはカバーされていないが有難かった。一番厳しかったのは、4年間ワンゲル部員だったという友人。いろいろなトラブルの例を示してくれ、私も粛然となった。暖かくなったらトレーニングをして様子を見ることとしたいと伝えたが、相当気落ちした。別の優しい友人は、「雨ニモマケ、風ニモマケ」の精神で臨めと激励してくれた。4回も富士山登山した友人がいて、60代後半と思しき人を連れて行ったことがあるとのことだった。これは心強い。
3) トレーニングをしてみた。
 高尾山*2などに実際に登山するのは、暖かくなってからにして、取りあえずデパートの階段を昇ることとした。我が家から手軽にバスで行けるデパートは、二子玉川高島屋だ。新宿の小田急デパートも入れて、4日間連続で試みた。1日目は6階分×3回。6階分というのは1階から7階まで階段を昇ったということ。降りはまだ足がもつれるといけないと思い、エレベーターで降りた。3回というのは、このような昇りを3回という意味だ。
 2日目は別のデパートで、(1階から13階までの)12階分×2回、3日目は6階分×4回、4日目は6階分×2回(用事があって時間切れ)。3月ぐらいまでに、12階分を10回ぐらい往復できるようになれたらということを仮の目安にしてみた。
(余談、客用階段が無い)
 余談だが、最近の商業施設には客用階段が無いようだ。高島屋がある二子玉川には、2011年に、高島屋とは別に新しく「二子玉川ライズ」という複合施設ができた(http://www.rise.sc/ )。8階建てぐらいの商業施設が3棟ある(他の施設もある)。探し回ったが、客用階段が無い。非常用階段はあるが、ドアがあってロックされている。そのロックに更に(非常の場合は打ち破ることとされている)透明プラスチックカバーがかけられているのもある*3
 ライズのこれら施設はバスの終点から近いので便利だが、階段昇りトレーニングには使えない。そのため、やや遠い高島屋でトレーニングする羽目になっている。この玉川高島屋の方も階段について似たような状況を見つけた。本館は1969年開業、現在屋上を含めて7階建てとやや低い。2003年に増築オープンした新南館は11階建てだが、8階以上に階段はなく、11階までのトレーニングはできない。客用階段が何故無いのかよく判らない。
 他の地域の施設については、まだ調査不十分だが、今日、新宿に行った。小田急、京王、高島屋の3店は、何れも立派な客用階段が何か所も判りやすい所にあった。新宿高島屋は新しく、1996年開店、2007年全面改装ということだ。上述の玉川高島屋新南館と時期が近いが、客用階段では大きく異なっている。

閑話休題。ということで、体力のアップと確認を目指して、暫くトレーニングを続けることとしたが、あまり自信はない。チャレンジという意識も余りなく、年寄りの時間つぶしという色彩が濃い。激励のコメントは謹んで遠慮したい。ただし、「2)友人に聞く」中の質問a)-d)に関するコメントであれば嬉しい。
 今日、前記のとおり、新宿のデパートに行って、3日ぶりに階段昇りをした。降りも始めた(往復)。人生降り坂は楽だ*4。成果は、階段7階分×1往復、12階×1往復、13階×1往復と過去最高だが、少し疲れた。この程度で音を上げていたら駄目かも知れないと若干弱気になった。
 それから、もし、夏に富士登山ということになれば、準備と並行して、かねて懸案の書斎等にある不要な本や資料などの整理を行うこととしたい。ガーベッジを残された家族は大変だろうと思うからだ。富士登山では何が起きるか判らない。下山後に症状が出ることもあるという。

*1:余談だが、昨年夏からは家人と一緒にポケモンGOをやっていてよく歩いている。チェックしたら、半年間で約500キロ動いている。ただ、正確にはこれは歩いた距離ではなく、GPSベースで移動した距離だ。もう少し細かくいうと時速10km以下での移動に限られるとのことなので、電車での移動は入らず、渋滞したバスでの移動は含まれるようだ。

*2:東京都八王子市、標高599m

*3:ロックを外して非常用階段に出ても、他の階で室内に戻られるか判らない。

*4:火野正平NHK「日本縦断 心たび」の自転車旅行でのセリフ。