新聞の変更

 日本経済新聞を購読して、40数年経過した。少し気分を変えたいと思い、替えることにした。大した話ではないが、この機会に新聞に関し、幾つか感想を述べる。
1) 視野
 日経だけだと視野が狭くなってくる。複数の新聞を取ればいいのだろうが、金もかかるし、家のゴミも多くなる。40年前の勤務先の上司で、若干変ったところがあるが尊敬もしていた人がいて、「家で日経を取っていては駄目。世の中が見えなくなる」と言っていた。私などは、多くの凡人と同じように、一般紙では産業界の動きが判らないと考えていた。引退後の今では、産業界の動きを追う必要もなくなってきた。
2) 奇数段組
 日経の難点は、紙面の段数(1頁内)が15段という奇数であること。紙面を半分に折りたたむと真ん中の8段目が折り目にかかり、読みづらい。この伝統的な15段を固持しているのは今では日経ぐらいで、他の朝日、読売などは2008年から12段に移行している*1 *2 *3。もっともこの他紙の移行の目的は、折りやすさよりも、高齢者等の読み易さのための文字の拡大を意図しているようだ。私は偶数段であればよいのだが、何故か14段というのは見かけない。12段だと、もう1回折りたたんでも折り目にかからず読み易いという声があるのかも知れない。
3) どの新聞に替えるか
 いざ替えるとなるといろいろ迷う。朝日新聞は進歩的、読売新聞は保守的で、実は私はどちらも好きではない。しかし、毎日新聞東京新聞産経新聞はページ数が少ない(その分値段も安いが)。
http://commyclass.hatenablog.com/entry/2014/10/07/103218 
 結局朝日にしたが、理由は、今の日経と同じ販売店であって、最近少し恩義があることだ。話せば少し長くなるが、数か月前から夕刊の配達ルートが変ったらしく、従来5時頃に配達されていたのが、5時半にならないと来なくなった。通勤せずに夕刊配達を待っている身としては寂しい。販売店に言うのも大げさかと迷っていたが、半月ほど前、たまたま配達員が家の郵便ボックスに夕刊を入れているのに出会った。少し早く配達してくれないかと頼んだら、少し考えて承諾してくれた。5時15分には入れてくれるようになって感謝している。というのが恩義の内容だ。この販売店を全く解約するのは悪いなと思う。
4) いつから替えるか(連載小説)
 替える時期として気になったのは連載小説だ。朝刊、夕刊の連載小説は、この40数年間ほぼ欠かさず読んできた。現在の連載小説は、朝刊が伊集院静琥珀の夢−小説、鳥居信治郎と末裔」、夕刊が川上弘美「森へ行きましょう」だ。何れも面白いが、朝刊の鳥居信治郎伝は内容がある程度想像できる。読むのを止めても惜しくはない。
 一方、夕刊の「森へ行きましょう」は理解しにくい小説で、結末が気になる。主人公は「留津」と「ルツ」という女性で、同じ女性が異世界で別の人生を送るという設定だ。2‐3日ごとに入れ替わり、女生徒から今では50代くらいに大きくなっている。元来どういう関係かよく判らない話が交互に進んできて、結末はどうなるのかと気に懸っていた。1月前ぐらいから、それぞれの話が一層判らなくなり、更に突然殺人事件まで起きたようだ。ネットで調べても事情がよく判らないが、驚いたことに、主人公は「留津」と「ルツ」の2人だけではなく、もっといるらしい。よく調べている読者がいて、ツイッターで次のように紹介している。
留津 ←おなじみ、 ルツ ←おなじみ、 琉都 ←誰だっけ、 るつ ←俊郎と不倫関係だったはず、 流津 ←留津の鏡の向こう、 瑠通 ←バラバラ殺人鬼、 る津 ←初登場で死んでる。
https://twitter.com/hashtag/%E6%A3%AE%E3%81%B8%E8%A1%8C%E3%81%8D%E3%81%BE%E3%81%97%E3%82%87%E3%81%86 
 私は、漢字の留津とカナのルツしか区別していなかったから、本当に驚いた。だからといって連載小説のこれまでの分を読み返すという元気はない。日経の取止めはこれが終るまで待つこととした。そうこうするうちに先週、次回の連載小説の予告が出た。2月20日(月)から新連載が始まる。今の小説は2月18日(土)の夕刊で終了ということだ。
 ということで、18日付けで日経購読を止めることとし、販売店に連絡した。
 この18日の最終回を読んでからだと、コメントしないのは失礼だし、コメントするとネタバレになる(?)と思う。あえて2日前の今日にこのブログをアップした次第。
5) 電子版
 新聞の電子版が始まったのは日経が早かったと記憶している。次のURLによれば、2010年に最初にスタートしたとのことだが、私もその頃早々と申し込んでいた。記事検索、保管、設定したキーワードの記事のメール案内、ニュースメールなど便利だ。
「新聞の電子版・スマホサービス、全国紙5紙の特徴は?」
https://thepage.jp/detail/20161011-00000006-wordleaf
 この紹介ページによれば、電子版は今でも日経が機能的に最高で、朝日がそれに次ぎ、読売の評価は低い。
6) 家庭欄、文化欄等
 日経の家庭欄等は、以下述べるようになかなかいいと思う。
(家庭欄)
 3-40年前の日経の夕刊の家庭欄は評価が高かった。他の新聞は、もっぱら主婦のための家庭欄で、通常のサラリーマン(当時は主として男性)の関心のある記事は殆ど無かった。具体的な例を思い出せないのが申し訳ないが、日経だけは、男性の視点からの家庭欄と言われ、面白かった(今は他紙も似ているかも知れない)。
(夕刊)
 家庭欄の他、囲碁・将棋欄が夕刊にあり、帰宅後の息抜きとしてよかった。数年前だったか、囲碁・将棋欄が他紙と同じく朝刊に移ったのが非常に残念だ。朝忙しい時間に囲碁欄を読む余裕はなく、私の棋力の落ちた原因の1つかと思っている。その他の夕刊の文化欄も楽しい(他紙との比較はできないが)。
(文化欄)
 文化欄が割に面白かった。他の一般紙の最終面はテレビ欄だが、日経は朝夕刊とも最終面は文化欄だ(最終面の他にも立派な文化欄がある)。開き易く、中味も何となくサラリーマン向け。具体例がなく印象論だけで申し訳ないが、朝日などの文化欄は、大学の文学部の先生のマニアックな講義のようだ。一方日経の文化欄は、何となく、素人向けのイントロダクトリーな部分がある。
 読書欄も割に読んでいた。1週間に各1−2回、朝刊と夕刊に書評欄がある。ランキングがついていて参考になる(映画にもある)。この書評ランキングを見て、地元の図書館で予約するのがここ数か月の習慣だ。ただ、ランキングにはがっかりすることがあり、あまり信用してはいけない。特に小説は、人の好みは随分異なる(評者と自分)と思う。
(読者投稿欄)
 日経には読者投稿欄が無いのがかねて気に入っていた。読者投稿は、大半が面白くないし、内容もその新聞の主張に沿ったもので白ける場合が多い。
 ほしいのは、記事、新聞社へのコメント投稿システムだ。掲載記事についての間違い指摘その他の新聞社宛てのコメントをしたくても、受付欄ないしメールアドレスが無い。かつて新聞社にコメントをしたくて探したが、日経には見つからなかった。