白内障手術を受ける

 本稿は、5月の弊ブログ「先進白内障手術」 id:oginos:20180501の、「先進」でない、後日談だ。以下、1)手術の経緯、2)点眼の苦労、3)視界の改善について説明する。
1) 経緯
 5月になって右眼が急速に悪化した。視力の衰えもさることながら、霞がかかったようでうす暗く、両眼で見ている時でも右眼の異常が判る。右眼だけで見ると、少し暗い風景は明らかに見えない。7月下旬からドライブ旅行に出かける予定だったので早く手術することとした。(6月25日実施)
 手術自体は、眼の中に異物を入れられているという違和感があって気持のいいものではなかったが、痛みも無く数分で終った。右眼だけの日帰り手術。これで、70年余お世話になった水晶体とはお別れだと思い、若干の感慨に耽る。翌日の検診の時に、眼帯、ガーゼ等は全て外され、本当に視界が明るくなった。
2) 点眼の苦労
 手術の後、数週間にわたって、点眼を3種類、1日4回しなければいけないという。しかも5分以上間隔を置かなければいけない。忘れそうだし、5分間隔も強迫観念になりそうだ。私は元来諸事に不器用だが、目薬もその1つ。家人などは立ったまま点眼するが、私はベッドやソファーで横にならないと駄目だ。
 調剤された点眼薬の種類は、次の写真のとおり。上列の3本が今回の手術後用で、何れも抗菌用と書かれている。下の1本は、かねて緑内障用に処方されている眼圧降下剤で、この2-3年間1日1回点滴している。今回の手術後は、手術の右眼は休みで、左眼だけと言われた。

(点眼間隔の確保)
 点眼間隔5分を待っていると、次の目薬やその順番を忘れそうだ。それで少し工夫し、先ず4分にセットしたキッチンタイマーを用意した*1。また点眼薬3種に、#1、#2、#3と番号を書き込んだ。
 ところが、早々に失敗。 最初に点滴したのが#1と#2の何れだったか忘れ、結局改めて始めたので、どちらかは2度点滴したことになってしまった。その後は、点滴を終えた薬を少し離れた場所に置くことにした。
(点眼の仕方)
 それにしても不器用なせいで、なかなかうまく目の中に入れられない。それで、ウェブで点眼の仕方を調べた。日本眼科医会の「点眼剤の適正使用ハンドブック−Q&A−」というウェブページがある。その他にも薬品メーカーや眼科医のウェブページは多い。
https://www.rad-ar.or.jp/use/basis/pdf/megusuri02.pdf 
 これを読み、私としては驚いたことが幾つかある。
a) 先ず点眼の前(後も)に手を「流水とせっけんでよく洗え」とある(ハンドブックp.1)。「流水」の語にしびれた。行雲流水の世界かと思う。最近ではテレビでおなじみのシマダヤの「流水麺」だ。流水は水道の蛇口で構わないとして、せっけんは面倒だ。みんなはそれほど目薬や手を汚すのかと少し安心。
b) 下まぶたを引いて点眼しろとある。その趣旨は、下まぶたの所に目薬を入れるとのこと。私は今まで、瞳孔(ひとみ)の真ん中に点眼するものと思い込み、両まぶたを上下に開いていたが違うのだ。
c) 日本眼科医会のハンドブックには書かれていないが、他の目薬メーカーや眼科医のウェブページには、上記の下まぶたを引いた上で、眼を上向きにしろと書いてある。しかし、これをすると点眼容器が見えなくなり、眼の中に入れるのに失敗する。この失敗を避けるために推奨されているのが「げんこつ(点眼)法」(同上p.1)だ。下まぶたを下げる手をげんこつ状にして固定し、それを支えにしてもう一方の手で点眼容器を操作するということだ。
d) 点眼後は瞬きをせずに、まぶたを閉じろという。私は今までは、眼の中の局部に入った点眼剤を眼の中に広く分散させるためという思いで、よく瞬きしていた。しかし、瞬きをすると涙が出て、点眼剤が流し出されるのだそうだ。
 ということで、手は適当に洗い、ベッドないしソファーの上でキッチンタイマーを胸の上に置き、げんこつ点眼法を採用し、下まぶたを引いて目を吊り上げる(ほぼ白目状態)という方法に転じた。
(点眼補助具)
 新しい方法は、下まぶたの位置にぴたっと滴下できると快感だが、何故か2回に1回ぐらいは失敗する(目から相当こぼれる)。困って、ウェブを見ていると、点眼補助具というものを見つけた。
 いろいろな種類があり、次のAmazonのページの1番上の行の3種が典型だ。左から、キャップ式(私の勝手な命名)、にぎり式(私の勝手な命名)、アカンベー式と名付ける。私が買ったのは、真ん中のにぎり式だ。
https://www.amazon.co.jp/s/ref=nb_sb_noss_1?__mk_ja_JP=%E3%82%AB%E3%82%BF%E3%82%AB%E3%83%8A&url=search-alias%3Dhpc&field-keywords=%E7%82%B9%E7%9C%BC%E8%A3%9C%E5%8A%A9%E5%85%B7&rh=n%3A160384011%2Ck%3A%E7%82%B9%E7%9C%BC%E8%A3%9C%E5%8A%A9%E5%85%B7 
 キャップ式は、キャップ部分を固定して点滴するために両手が必要だが、にぎり式は片手で可能だ。アカンベー式は、下まぶたを下に下げて目薬を下まぶたの裏側に滴下するもので、少し痛そう。
 こんなものに1,000円近くも投資するかと、若干自己嫌悪を感じながら、「にぎり式」を注文した。翌日配達。早速トライすると完全ではないが、滴下命中率は6-7割に上った。上記げんこつ点眼法の約5割よりアップしているが、内容が違う。げんこつ点眼法の5割は、的中すると殆ど全て目に入るが、外れると殆どが目の外だ。にぎり式補助具の6-7割は、目を吊り上げていても目の中に入る量が6-7割で、すなわち外れてもある程度は入る。
(点眼補助具の問題点)
 入る確率が上って、投資の甲斐があったと少し満足したが問題点も多い。
a) 各回のセットが面倒だ。次の包装箱上のイラストにあるように、点眼薬をこの補助具にセットするのが少し厄介で、3種類の目薬ごとに(5分ごと)にセットし直す必要がある。毎回1種の場合だとキャップを開け閉めするだけでいいが、3種だと面倒だ。

b) 使用できない点眼容器がある。上記の写真で、上列の最右端の容器は直径がやや小さく、にぎりのレバーを押しても容器に届かず、滴下できない。容器の裏側に紙などのスペーサーを差し込めばいいかも知れない。下列の1容器は、他容器の形状がほぼ円筒形であるのに対し、幅広で薄く、そもそもセットできない。この補助具のウェブの説明書でも、適用できる点眼容器に制約のあることは明記してあるが、それでもがっかりした。これらはげんこつ点眼法を適用せざるを得ない。
 そのうち、げんこつ点眼法に習熟して、補助具もお蔵入りになろうと思う。それにしても私は不器用だ。今は退職後だからベッドもソファーも15分程度の点眼時間も自由だが、勤務していると昼や夕方の点眼は大変だったろう。
3) 明るくなった視界
 眼がよく見えるようになって、感謝している。今まで左眼だけに負担をかけていたようだが、右眼も見えるようになって総合的によく見える。例えば、テレビの番組表は、術前までは近くによらないと読めなかったが、今は座っている定位置からもどうにか読めるようになった。今までの眼鏡がそのまま使えそうなのも有難い。
 白内障は再手術ができないらしいので、この眼を大事にしようと思う。具体的には、「毎日新聞」の(朝夕刊にある)数独パズルはやらない*2ポケモンGOは、歩きスマホの危険もあり、止める。更に、詰らないテレビドラマやテレビ番組は、途中でも見るのを止める*3
 これらの時間を主に読書に使おうと思う。また、久しく聞いてなかった音楽も少し聞き始めようかと思う*4。余談だが、本といえば今まで、図書館とAmazonの安価な中古本に偏り過ぎていた。これにより書店が無くなるという恐れは本当だと思う。これからは、本の何割かはリアルな書店に行って買おう。週刊誌も、スーパーやコンビニではなく、書店で買えば少しは助けになるかも知れない。

*1:5分間隔なのに4分にセットした理由は、a)医者や薬剤師の指示はサバを読んでいると見られる、b)目薬の交換等にロスタイムがある、ことだ。なお、このキッチンタイマーは、昨年の弊ブログ「富士山登山(結果)」 id:oginos:20170710 中の「インターバル速歩トレーニング」でも使ったもので、活躍している。

*2:毎日新聞」に限っている所に若干の逃げ道はある。

*3:従来は、家人との共有時間の大半がテレビだったが。

*4:スマホAmazon MusicSpotifyなど手軽。また息子が去年買ってくれたAmazon Echo Dotは、アレクサと声をかけるだけで演奏してくれるのが不精な私には便利。