護衛艦衝突事故

 10月27日夜の海上自衛隊護衛艦くらまと韓国のコンテナー船カリナスターとの衝突事故に関し、防衛大臣から報告を受けた鳩山首相の指示が新聞に伝えられている。

韓国籍船が海上保安庁の指示に従い航路を変更していたことを踏まえて首相は「日韓関係にいささかでも差し障りがあるようなことにならないようなことが大事だ」と慎重な対応を指示した。」(日経29日朝刊) http://www.nikkei.co.jp/news/seiji/20091028AT3S2801P28102009.html

 この指示はおかしい。先ず指示すべきは、遭難者の救助、それが終っていれば、事故原因の究明と責任者の解明であろう。日韓関係に頭が及ぶのは、1)韓国政府に頭が上らない事情があるか、2)思いつきの軽口であろう。多分、2)であって、防衛大臣からの報告を聞いて、人の思いつかない視点に触れようとする軽口的発言であると想像する。しかし、海上保安庁防衛庁等が事故調査を進める際に受ける心理的圧力は相当なものであろう。総理の発言としては適当でないと考える。

 この意味で、次のこともやや異常に思える。普通、船籍国程度にこのような連絡をするものだろうか(断言はできないが)。しかも、この在京韓国大使館への連絡は、事故の起きた27日夜の話だから、誠に迅速である。
「首相はコンテナ船が船籍を置く韓国の在京大使館にも連絡。外交上の配慮も見せた。」
http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/scope/CK2009102902000154.html