評論

観光客の哲学

本記事は、前回のブログ(id:oginos:20171206 「米国の戦後政治思想と日本の政治状況」)の追補である。 上記を脱稿して2か月近く経ってから、ベストセラーの東浩紀『観光客の哲学』*1を読んだ。 実は、この本が政治思想に深く関与しているとは知らなかった。題…

米国の戦後政治思想と日本の政治状況

私としては珍しく、政治思想に関するレポートを書いたので、紹介する。A4版で15ページと長くなったので、別添ファイル(Word)とした。決して面白いものではないので、お勧めしない。 背景を2点説明する。 第1は、今年の春から世田谷区の市民大学のゼミに参加…

自動運転の未来

最近、車の自動運転の話題が盛んだ。外国では、米国のグーグルが自動運転の公道実験を開始したと5年前に発表した時は、夢物語のように思っていた(2010年10月グーグル社発表の報道*1 )。その後欧州のカーメーカーも自動運転に乗り出し、公道実験を始めた。グ…

「ビジネスマンのための歴史問題」と朝日新聞批判

1) 東洋経済の特集 2014/9/27付けの週刊東洋経済のカバー特集は、「(日中韓、不信と憎悪はなぜ続く)ビジネスマンのための歴史問題」だ。従軍慰安婦問題を巡る朝日新聞の検証記事(8月5日)の後、9月11日に木村伊量社長の謝罪記者会見があった。これで、慰安婦の…

同性婚

夏になってから、各国で同性婚を認める法整備が行われたという報道が多くなった(フランス、イギリスなど。詳細は後述)。私としてはどうも理解できない。同性愛者への偏見や差別を無くすべきとの主張はまあ理解できるが、結婚まで認めるとすると、各国の家族…

アルジェリア人質事件の氏名公表問題

1月16日に勃発したアルジェリアでの人質事件で、日揮と関係会社の日本人社員10人が犠牲、7人が生還した。誠に痛ましい。1月25日朝、生存者と遺体が政府専用機で帰国した(遺体のうち1人は1日遅れ)。この事件について、安否不明者の名前が政府と日揮の何れから…

戦後史の正体

新刊というには少し日にちが経ったが、本屋で山積みになっていたので、買った。たまたま戦後思想史について別の本を少し読んでいて*1、戦後史に関心があったからだ。 〇 孫崎享「戦後史の正体 1945-2012」 (創元社、2012年8月10日1版1刷、10月1日7刷発行) 本稿…

石原都知事と橋下市長

今週10月25日(木)に、石原慎太郎 東京都知事が突然の記者会見で、都知事の辞職と国政進出のための新党を立ち上げる旨を発表した。それから、先週から今週にかけて橋下徹大阪市長の出自に関する週刊朝日の記事「ハシシタ 奴の本性」に対する同市長の反論と週刊…

トヨタ産業技術記念館

名古屋に用事で行ったついでに、かねて評判を聞いていたこのトヨタの記念館に行ってきた。正式名称は「トヨタテクノミュージアム 産業技術記念館」という。実は1994年に開館しており、今さら紹介するというものでもないが、この記念館の地でトヨタグループが1…

サンデル教授の災害補償のあり方

1週間前にNHKテレビのサンデル教授の授業を見た。 ○9月10日放送 21:02 - 22:15 NHK総合 マイケル・サンデル 究極の選択「震災復興 誰が金を払うのか」 概要は例えば次のURLにある。 http://datazoo.jp/tv/%E3%83%9E%E3%82%A4%E3%82%B1%E3%83%AB%E3%83%BB%E3%82…

孫への贈与論

先日、孫への贈り物に関する考え方が、家人のそれとの間で基本的違いがあることに気づき、少からずびっくりした。それで贈与について少し勉強しようと思った。以下、1)家人との考え方の違い、2)モースの「贈与論」の概要、3)どうでもいいような若干の考察を紹…

利用者から見た携帯電話の変遷

最近ある機関誌(日本工業大学の「工業技術博物館ニュース」の6月号)に書いた標記の原稿を別添のWordファイルとしてアップする。 2000年以降私が購入した携帯電話10機種について、写真を撮るとともに、利用者としてその歴史を述べたものだ。私としては力作の17…

原発放射能とSI(国際単位系)

福島原発事故との関係で、放射能等を表す単位として、シーベルトとベクレルがしばしば登場するようになった。私としてはかねて不案内な分野なので、当惑することが多い。本稿では、これらの単位が「SI(国際単位系)」により導入された単位であることを紹介し、…

著作物の無許諾引用について

年度末3月の各調査団体は、調査報告書の作成で忙しい。私が所属している団体のある調査委員会で、報告書に他の文献からの図表等を引用する場合に、元の著作権者に許可を取らなければいけないかとの質問が出た。私としては、一定の要件(後述)を満たしていれば…

有料道路障害者割引・その3

去年の11月に次の記事を書いた。 id:oginos:20101106 (有料道路障害者割引制度) 障害者だった友人が、有料道路障害者割引制度の運用について嘆いていて、具体的には、割引制度が適用されるのが、あらかじめ登録した1台に限定されているので、車の故障で代車…

やさしくない日本人

今日の記事は、今月の私の次のブログで紹介している友人故T君(太皷地武君)の主張の紹介である。また、有料道路障害者割引制度に係るこれらのブログの続編でもある。 id:oginos:20101106, id:oginos:20101117 太皷地君が大学のクラス会メンバーへの同報メール…

有料道路障害者割引制度・その2

10月6日に標記の記事を書いた。 id:oginos:20101106 その中に出てくるというか、記事のきっかけとなった友人のT君の訃報が、今朝17日に流れてきてびっくりした。昨16日の夜亡くなったとのことである。彼は、上記の私のブログに丁寧なコメントを11月7日に寄せ…

有料道路障害者割引制度

大学の時の友人T君は、病気で呼吸に困難が生ずるようになり、クラス会にも酸素ボンベをカートで引いて現れる。先日彼が嘆いていた。障害者割引で高速道路料金が半額になるが、この前、車のトラブルで代車を使うことになった。しかし、障害者割引は1台だけな…

航空ビジョン

9月11日に、航空科学会主催の航空ビジョンシンポジウムに参加した。パネルの議論を聞いて思った、航空ビジョンに関するコメントを幾つか。 1) 「将来像の共有」について よく考えられたフレーズと思われるが、①均質な戦略の立案を目指していると思われる危険…