子供への呼びかけ方
先ず前置きから。
あるSNSで次のような話を読んだ。バスの中で泣き始めた子供に対し、知らない人が話しかけてきた。「今日嫌なことがあってね。・・・おじさんの分も泣いてくれる?」
バスの周りの人も明るい気持にさせた一言だとのことだ。私もそう思う。私が最初に見たWebページではないが、ググって出てきたページが次だ(よく出てくるな。Googleは素晴らしい)。
https://news.yahoo.co.jp/articles/7baf3294689b2aafb81d09572ec4979ce09f14db
いい話で、私も言えたらいいなと思った。それでは練習しておこう。慣れないことを言うと、つかえたり、言い間違えたりするかも知れない。いろんなケースへの対応も考えておいた方がいい。例えば泣き止まなかったらどうしよう。十分練習しないと、芝居がかった言い方になって周りがしらけるかも知れない。
てなことで練習を始めたというのが前置きだ。
始めると、最初につっかえた。最初に子供にどう呼びかけようか?
「おじょうちゃん」?
男児なら、「ぼうや」とか「ぼく」できまりだろう。お嬢ちゃんは、相手におもねる響きがないか。対等の人間関係を踏まえての言い方とは思えない。誘拐犯が言いそうだ。「お嬢ちゃん」に対応する言葉は、男児だと「お坊ちゃん」か。抵抗がある。
「子供への呼びかけ」などでググッて見たが芳しい表現は見当たらない。保育園などでは名前で呼びかけるのが自然なようだが、ここでは使えない。
練習の次のフレーズでまたつっかえた。自称の「おじさん」だ。私のような高齢者でおじさんと言うとしょってるとおもわれないか。しかし、「おじいさん、今日嫌なことがあってね…」だと正しく自称として伝わるだろうか。「おじいさん」は、少なくとも知らない人への自称としては自然ではない、「おじさん」でいいだろうということにした。
いろいろ考えていると面倒になって止めた。本当は男児あてだと問題は無いのだが。日本語には、子供への呼びかけにもジェンダー差別がある。
余談だが、上記引用のページの中のポンチ絵を見ていて、問題の子供は生後8か月と書いてあるのに気がついた。8か月で、おじさんの複雑な依頼を理解できるものだろうか。実は、知らない人が話しかけてきたのでびっくりして泣き止んだのかも知れない。それにしても話しかけたおじさんは優しい人だったのだ。