「金融工学」は何をしてきたのか

今野浩「「金融工学」は何をしてきたのか」日本経済新聞出版社2009年10月
前項の記事と同様、9月7日のこのブログで消極的に紹介した「スプートニクの落とし子たち」の著者の本である。港区図書館のネットの検索システムで、著者の新しい本を探し、予約した。
この本は、2008年9月のリーマンショックの後に生じた金融工学悪者論に対して、金融工学者からの一応の反論というか、解説の書である。
リーマンショックの原因は、ウォール街の強欲な金融機関(サブプライムの住宅ローンを拡大)、投資銀行(サブプライム証券化して販売)、格付け機関(安易に高く格付け)にあり、金融工学はその中では中立的な役割しかないとする。しかし、金融工学に全く責任が無い訳ではないとしているのは、一応好感が持てた。
この本へのこれ以上のコメントは省略する。前述の「すべて僕に任せてください」も同じ金融工学を扱っている。両書を読んだ感想として、また、かねて金融工学の端を少しかじった者として、金融工学に踏み込まなくてよかったと思った。数式と各種前提の複雑さは相当なものだ。