行く夏

 この夏の残暑はことの外厳しく、何時まで続く「ざんしょ」と思っていたが、台風15号が来襲した9月21日前後から、東京はあっという間に秋となった。ちなみに、9月1日から19日までの間で東京の最高気温が30度を下回ったのは、4日から8日までの5日間しかなく、かつその5日間の何れもが29度台の暑さだ(http://weather.goo.ne.jp/past/2011/09/662/index.html)。10月に入ったので、行く夏を振り返って見ることとしたい。即ち、夏の始まり頃に書いたテーマの幾つかについて、夏の間の進展を振り返る。
 レビューするテーマは、5月の「スーパークールビズ」(id:oginos:20110516)、「おちょこにならない傘」(id:oginos:20110530)、7月の「電線共同溝」(id:oginos:20110717)、その他だ。
1) 先ず余談「行く夏」
 普通ではないが、最初に余談を述べる。「行く夏」と言う語についてだ。私の電子辞書には、歳時記が3種類入っている(ホトトギス俳句季語便覧、合本俳句歳時記、現代俳句歳時記)。何れにも「行く春」、「行く秋」はあるが、「行く夏」、「行く冬」は無い。これはどうしてだろうかとの疑問だ。
 「合本俳句歳時記」には「夏の果て」の見出しがあり、その解説に「日本の詩歌の伝統では、「夏の果」は春秋の終わりを惜しむ言葉ほどこなれていないが、それは秋を迎えることに人々の心がより多く動いたからであろう」ともっともらしく述べてある。おそらく、夏は忌むべき暑さであり、それが終ることは喜ばしいことと思われていたのではないか。
 これに対し、私は、我々の世代にとっての夏は、先ず夏休み、次いで海、山という若人の季節を意味していたと思う。その夏の終りは、種々の想い出との別れを惜しみ、感傷に浸る時期だ*1。「現代」俳句歳時記でも前述のとおり「行く夏」は無い。現代俳句でも、そのような夏を惜しむ感傷の句は無いのだろうか。俳句に関心のある方のコメントをお聞きしたいものだ。
2) 「スーパークールビズ (id:oginos:20110516)
 閑話休題。この5月のブログの概要は、環境省が提唱したポロシャツ、Tシャツ、チノパンを着るキャンペーンに賛同したものだ。それに従って、単色胸ポケット付きのポロシャツを6月初めに3着購入して、来るべき猛暑に備えていた。
 結果は、そのポロシャツをオフィスには着て行ったことは無かった。理由は、昨年以来の半袖シャツ、ノーネクタイだけでもまあ過せたことと、私の周りではポロシャツを着ている人を殆ど見かけなかったことだ。1度だけ、同じオフィスのビルの中で、半ズボンの人を見かけたが、異様だった。霞が関環境省界隈ではポロシャツ等は多かったのだろうか。
 周りを見ると、ノーネクタイは本当に普及した。ネクタイ着用者は見ていて暑苦しい感じだ。上着を着用している人は少なからず見かける。社用車を使える訳でも無さそうな友人に上着では暑かろうと聞くと、女性のハンドバッグ替りで、上着のポケットの中身を捨てられないと言っていた。
3) 「おちょこにならない傘」 (id:oginos:20110530)
 このブログの概要は、風速22メートル/秒でもおちょこにならない傘(オランダ製)を衝動買いしたことだった。
 暴風雨が来るのを秘かに楽しみにしていたが、なかなか機会が無い。9月21日の台風15号は絶好の機会のはずだったが、私の出退勤のタイミングはたまたま風がそれほど強くなく、傘の威力は確かめられなかった。次の機会を待っている。
4) 「電線共同溝」 (id:oginos:20110717)
 自宅の近隣の電線共同溝の工事は7月11日に終ったのに、電柱は無くならないし、無くなる気配も無い。そもそも工事の前からどう変化したのか確認したいと思ったが、昔の写真を撮っている訳でない。
 それで妙案を思いついた。即ちグーグルマップのストリートビューはライブの映像ではないから、以前の撮影した時点の街路の風景が残っているはずだ。確かに街路の写真があり、視点を上に向けると空の電線類もよく見える。しかし撮影されたのは何年前だったのだろうと迷っていると、たまたまある建物の前に選挙の候補者ポスター掲示板が写っていた。「東京都議会議員選挙7月12日投票」とあるのが読めるので、ウェブで確かめると、2009年7月12日に都議会議員選挙があった。ということで、グーグルストリートビューでのこの街路の写真は2年前のものと推定できた*2
 これで見ると、空を架ける電線類の本数は、共同溝工事後の現在と変化があるとは見えない。弊ブログでも述べた、工事途中に撤去された電柱1本が違う程度である。元来架空電線類、電柱を無くするために行われた電線共同溝工事(工事費9500万円)が7月に終って3か月近く経つのに、電線類、電柱の減少につながっていないのは不思議だ。
5) その他
〇 「TIME誌と東日本大震災」(id:oginos:20110629)
 TIME誌での日本の大震災の報道が少ないことを述べた。このブログでは7月4日号だが、その後は8月29日号に出た。「死の灰(fallout)に直面」と題して、福島での放射能計測のボランティアの活動などが報告されている。http://www.time.com/time/magazine/article/0,9171,2089361-1,00.html
 TIMEはたまたま縁があって毎週購読しており、目次のタイトルだけは見ている。震災への関心が薄らいでいくのはしょうがないとして、気になるのは、「日本」関係がタイトルになっているのが殆ど無いことだ。例えば、8月末から9月初にかけての菅前首相の退陣、野田新首相の就任が、記事として見当らないのは衝撃だった*3
〇 「知的余生の方法」(id:oginos:20101209)
 このブログは、今夏の直前ではなく去年の12月。その中で、夜の読書の楽しみのために毎日の晩酌を止める、と立派なことを述べた。元々は、夜に読書やテレビを見ながらうたた寝をしないようにという程度の目的なので、適当ではあるが、一応は取り組んではきた。
 しかし、この夏は暑かった。冷えたビールの誘惑に耐えられず、毎晩帰宅後350ml缶のビールを家人と分け合って飲んでいた。2回に1回は2缶になる*4。それでも9月の台風15号以降はめっきり涼しくなったので、イベントが無い時は飲まない原則に戻り、数日続いている。

*1:例えば、「ひと夏の経験」(山口百恵唄、千家和也作詞、1974年、http://music.goo.ne.jp/lyric/LYRUTND3809/index.html)は、夏の終り以外の季節は考えられない。

*2:厳密を期すなら、その掲示板の場所だけが2009年7月初で、その他の場所は別の時期の撮影かも知れない。対象の街路は200m程度ある。

*3:これは雑誌のタイトル記事としては見当らないようだったということだ。time.comのウェブニュース版では、検索すると、野田首相、その他台風被害のことは適当に報道されている。

*4:また、かねて1週間に1-2度は付合い上ちゃんと飲んでいる。