ポストGoogleリーダー

 「Googleリーダー」とは何かについては後で若干説明するが、とにかくこの7月1日限りでこのサービスを終了すると、さる3月に突然Googleが発表した。それでその替りのサービスを探すことが必要になった。以下、1)RSSリーダーについて、2)Googleリーダーの特徴、3)替りのサービスについて紹介する。結果として、4)「NewsBlur」を導入することとしたが、その際にあった予想外のトラブルを紹介する。
1) RSSリーダーとは
 関心のあるブログのページを見たい場合、毎回そのページを見に行くのは結構面倒だ。ブラウザの「お気に入り」に登録しておけばワンタッチでそのページに行けるが、更新されていないとがっかりする。沢山のブログがある場合、更新されたかどうかだけ判ると便利だ。このために用意されているのが「RSSリーダー」で、「Googleリーダー」はその1つだ。
 「RSSリーダー」の仕組は、先ずブログなどの各ウェブサイトで、「RSS(Rich Site Summary/RDF Site Summary)」というウェブサイトの更新情報の提供を行う。次にユーザーのパソコン等の方では、あらかじめ登録したサイトのRSS情報を一定時間ごとに自動的にダウンロードするというソフト(RSSリーダー)を設定しておく。
 通常は、例えばブラウザのインターネットエクスプローラには、「RSSフィード」という名の機能があり、関心あるブログ・サイト(RSS情報の提供をしていることが必要)を登録し、「フィードを表示」のボタンで、各登録ブログ・サイトのRSS情報により概要を表示させる。各ブログ・サイトの名称の横に、そのサイトでの未読の記事の件数を一覧表示させるという機能があるので、未読がある場合にそれだけを開いて読むという段取りで利用する。*1
 RSS情報の提供は、ブログについては、各ブログサービス提供業者が通常行っている機能だ。ニュース・サイトもRSS情報を提供しているし、一部のホームページでも提供している場合がある。これらのサイトを自分のパソコンのRSSリーダーに登録しておけば、更新情報を簡便にチェックできるということだ。
2) Googleリーダー
 RSSリーダーは、従来ブラウザの機能であったため、別のパソコンからは改めて設定しないと利用できなかった。ポータルサイトRSSリーダー機能を設けるものもあったが、ブラウザを通じて読むので、スマートホンの画面からは読みづらい。Googleリーダーは、これに対し、登録したRSS情報をクラウド(ウェブ上)に保存する。また、タブレットスマホ用にもRSSリーダーの機能を持つアプリを用意し、Googleアカウント(無料)を登録しているユーザーに対しては、パソコンだけでなくタブレットスマホからもクラウド上の未読サイトをチェックし、読めるようにしてある。
 Googleリーダーは2005年にベータ版が発表され、2007年から正式版がリリースされた(無料)が、私はその頃から利用し、その便宜を味わってきた。7月にサービス終了との今回の発表を聞いて、Googleリーダーの利用者数が少なかったのかと意外に思った。しかし、ウェブでの反響を見ると、相当数の利用者がいるようで、大きな当惑が拡がっているらしい(当然だ)。終了の理由はよく判らないが、だから無料サービスは危ないとのコメントもある。*2
3) 替りのRSSリーダー
 Googleリーダーの終了に伴い、私も含め、替りのRSSリーダーを探さなければという利用者は多い。各種の代替ソフトを紹介しているサイトもある。私は、7月1日に近くなるまで待てば、代替ソフトの情報も整理されるだろうと思い、のんびり構えていた。6月中旬になり、特集「ポストGoogleリーダーを一挙公開」が掲載されている「MacPeople」2013年7月号を買って、勉強することとした。
 私はRSSリーダーに実は詳しくなく、代替ソフトの条件として考えたことは、せいぜい、a)今のGoogleリーダーに登録してあるサイトを簡単に承継できること、b)私の持っているタブレット、スマートホン(何れもアンドロイド)と連携できること(ブラウザから見るものだと携帯では見にくいのでアプリがあるといい)ぐらいだ。
 この雑誌の特集でよさそうに見え、他のウェブサイトでも一押しとして推薦しているのが多いのが、「feedly」というRSSリーダーだ。私もインストールして使ってみたが、若干違和感(後述)があった。
 それで、上記2条件に該当するものとして、「feedly」に次ぐ候補だった「NewsBlur」を調べて見た。「NewsBlur」は、基本的にフリーソフトだが、無料の場合、登録サイト数に64の上限があり、この上限を越えて利用するには、年24米ドルの使用料を払わなければいけない(いわゆる「フリーミアム*3 )。私には64を越えるようなサイトを登録する積りは無いが、このようなフリーミアムには、使うに従い、つい有料サービスを申し込んでしまうという経験*4が多い。それで、少し躊躇していたが、無料の範囲内でということでトライすることとした。
 「RSSリーダーGoogle リーダーからNewsBlurに乗り換えた」(http://finalbeta.jp/diary/archives/2934)というページが役に立った。この人のfeedlyの評価は、「フィード・フォルダ一覧のサイドバーがポップアップ式で、固定できないのが辛い。・・・そのため、常時サイドバーを表示して未読があるフォルダーと、その未読数が把握できるという状態ができないので、使いにくい」というもので、上述の私の違和感の1つと一致している。ということで、「NewsBlur」をトライすることにした。
4)  「NewsBlur」導入のトラブル
 http://www.newsblur.com/にアクセスし、実際にインストールを始めると、上記の雑誌にも紹介ページにも書いてなかった事態が生じ、極めて当惑した。サインインは、自分のGoogleアカウントを登録することにより無事終ったように見えたので、次の段階であるログインを試みたら、次のような画面が出てきた(3月15日夜10時半頃)。

There are 230 people in front of you (and 1 people behind you), all patiently waiting on their free accounts on NewsBlur.
By going premium you can get full and immediate access to NewsBlur.
 翻訳すれば、「NewsBlur」の無料会員になろうと辛抱強く待っている人が貴方の前には230人いる(貴方の後ろには今のところ1人)。もし有料メンバーになれば即時利用できる、ということだ。その下には、年間24米ドルの使用料を納付するためのクレジットカードの番号の入力画面がある。

 (feedlyもそうだが、基本的に英語でのサポートしか無いのでやり難いという欠点がある。)
 甚だ当惑するのは、この私の前で待機している人の数がなかなか減らないことだ。時々画面を更新してみるが、なかなか減らない(その後の確認では、1時間に10人程度のオーダー)。12時間近く経った翌16日朝の10時に見てみると、私の前に89人、後ろに320人と、前に並ぶ人数は随分減った。しかし、待機人数の合計は、前夜の232人から410人(私の分の1人も含む)と大幅に増加している。*5
 それにしても、1時間に10人程度しか処理しないというのは遅すぎる。機械処理ではなく人間が審査しているのだろうか。Googleリーダーの終了の7月1日が迫ってきたため、処理速度が遅くなっているのだろうか。
 不思議でしょうがないのは、RSSリーダーは無料という常識の中で、このようなやり方で有料利用を勧めるのは異常で、利用希望者の反発を買うのではないかということだ。私の場合は一応調べて、無料の「NewsBlur」を利用しようと決めてからアクセスしているので、辛抱強く待った(24ドル/年は余りにも高い。5ドル程度なら考えるかも知れない)。しかし、普通の人は、この画面では登録しようという気は失せるのではないか。
 時々「NewsBlur」のログインの進捗状況を見ていたが、16日午後5時20分頃に待機者列のトップになったとの表示が出て、2-3分後にOKとのメールが来た。早速若干の軽微な手続きをして利用可能になった。サインインの申込みをしてから何と19時間だ。パソコンでの登録成功を踏まえ、スマホタブレットでも「NewsBlur」のアプリをインストールして設定が完了した。
 当座の使い勝手はよさそうだ。上述の「フィード・フォルダー一覧のサイドバーがポップアップ式」という違和感は無い(固定式)。また、私がfeedlyで感じた別の違和感である、「似た登録サイト(フィード)をまとめたフォルダーを作ると、構成サイトの一覧が表示されにくい」という違和感は、feedlyにおけるユーザー設定のオプションの問題かも知れないが、この「NewsBlur」では、問題なく、Googleリーダーインターネットエクスプローラのように、登録サイトの一覧が表示される。要するに、従来のRSSリーダーの使い勝手との親和性は、feedlyより遥かに優れている。
 現在、私のパソコン、スマホでは、Googleリーダー、NewsBlur、feedlyの3つがインストールされている。7月1日に向け整理していくが、多分NewsBlurとなるだろう。

*1:RSSリーダーについては、例えばIT用語辞典、http://e-words.jp/w/RSSE383AAE383BCE38380E383BC.html

*2:「だからクラウドは信用できない? Google Reader終了が示した課題」 この記事は、RSSの意義も論じていて面白い。 http://cloud.watch.impress.co.jp/docs/column/infostand/20130325_592972.html 

*3:http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%95%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%83%9F%E3%82%A2%E3%83%A0

*4:騙されて買わされたとか、苦い経験というものではなく、本人も納得しての買い物だが。

*5:16日午後1時には前52人、後396人、計449人。午後4時には前17人、後467人、計485人。最後の5時20分には前1人、後492人、計494人。