マイナンバーカードの受取

 本記事は、2本の弊ブログ「公的個人認証の更新(1と2)」(id:oginos:20151203、id:oginos:20151207 ) の後日談だ。昨2015年12/4に申し込んだマイナンバーカードの交付の通知がようやく3/29に来た。区役所として初めての業務のせいか、多忙のせいか、不都合が多い。以下、受取りに関するトラブルと、マイナンバーに関する事業者の混乱に関する私見を述べる。
1) 交付通知書が判りにくい
 「個人番号カード交付通知」という葉書は、葉書大の小さな封筒に入ってきた。封筒の中に、葉書(個人番号カード交付・電子証明書発行通知書兼照会書とある)と、他にA4の紙4枚が4つに折りたたんで入っている。これだけの量であったら、普通はA4を3つ折にして入れられる長形の封筒を使うだろうと思う。その方が入れやすく、読む方も開きやすい。見ていくと原因が推測できた。
 先ず、中の葉書だが、料金後納郵便のマークも印刷され、私の宛名も書かれている。裏面の通知書兼照会書には、一応交付の手続きがごく小さな字で書かれている。当初は、その葉書1枚ですまそうということだったのだろうと想像する。しかしあまりにも判りにくいので、説明の紙を4枚も作った。葉書に書かれている宛先を活かすために、葉書用の封筒(窓開き封筒)を使ったのだろうと推測した。
 問題の1つは、受取場所に行く前に、ウェブ(電話、Faxでも可)で6日以上前に、場所(区内に11か所用意されている)と日時を予約することが必要なことだ。面倒だ。
 書類の説明が判りにくいことについては省略。
2) 受取場所・日時の申込み
 3/31にウェブ申込みをトライした。受取場所は、標準が「世田谷区個人番号カード専用窓口」で、その他に、区の出張所等(10か所)での受取も可能とある。歩いて行ける近くの出張所を受取場所として申し込もうとすると、5月8日まで全て×か−で駄目とある(5月9日以降はまだリストが無い)。驚いて、電車で近い別の出張所に申し込もうとすると、可能なのは5月10日の午後のみだ。近くはあきらめて、前述の「専用窓口」に申し込むこととした。
 自分の都合と合せて、4/11午前10時半にとにかく申し込めて、確認のメールも来た。
 次の問題点をいうと、「世田谷区個人番号カード専用窓口」の場所が判りにくいことだ。こう書いてあると、世田谷区役所本庁舎の中にこの窓口があると思うが、そうではない。住所が「太子堂4-1-1キャロットタワー2階」と書かれてあるだけだ。しかし、最寄り駅も地図も無い。上述の通知書にも封筒にも無い。ウェブ申込みのページにも無く、ウェブ地図へのリンクも無い。
 キャロットタワー(にんじん塔)というと、知らない人は童話に出てくるお城かと思うだろう。実はこの名前は公募され、レンガ調外壁の色が赤く、人参色に見えたという中学生の提案が選ばれたという(wikiによる)。1996年に竣工した27階建ての商業施設だ。私はたまたま知っていたが、知らない区民が多いと思う。最寄り駅は東急田園都市線の「三軒茶屋」。
 「…専用窓口」ではなく、せめて「世田谷区○○センター」とか「世田谷区○○事務所」とか、区庁舎とは別の施設らしい名称にした方が誤解も少ないのではなかろうか。
3) 受取り
 4/11の指定された時間にキャロットタワーに行った。サービスの悪さは覚悟していたが、キャロットタワーの1階の案内板に、問題の専用窓口が書かれていないことに苛立った。上記案内状に書かれていた「キャロットタワー2階」を頼りにエスカレーターで2階に上ると、紙の掲示があり、無事辿りつけた(2階の正式の案内板には記載されていない)。
 担当者は全て美人系の女性ばかりで優しかった。カードを受け取る人達は、私より高齢の人たちも多く、丁寧に説明していた。派遣の人たちだと思う。手続き自体は、待ち時間も含め25分ぐらいで終った。
4) マイナンバーによる中小事業者の混乱
 話はカード受取りとは別になるが、マイナンバーの通知で関係企業は混乱していると思う。例として、外部の専門家への講演料等報酬の支払いの場合を述べる。
 報酬を支払う事業者は、税務署に源泉徴収額を支払うが、その場合、報酬支払先(受取人)のマイナンバーを当人から教えてもらって税務署に通知しなければならない(事業者の義務)。ところが、受取人は教えなければいけないかというとそれが義務ではない。マイナンバーが書かれてなくても、源泉徴収額は税務署では受理されるし、罰則は無い。講演料等の支払先から個人番号の提供を受けられない場合にどのように対応すればいいかという点に関し、国税庁HPのFAQでは、「提供を求めた経過等を記録、保存するなど」すればいいとしている(Q2-10)。
https://www.nta.go.jp/mynumberinfo/FAQ/04kokuzeikankei.htm#a2-10 
 事業者側が支払先(受取人)からマイナンバーを教えてもらう場合に確認することは2つあって、第1はそのマイナンバーが正確なものか、第2はその人がマイナンバーの本当の持ち主であるか(本人確認)である。第1については、マイナンバーの通知カード又はマイナンバーカードを確認(多くはコピーを入手)する、第2は運転免許、パスポート等で確認(多くはコピーを入手)する*1。受取人と事業者の何れにとっても、煩瑣な事務である。
 報酬等の受取人にとって、疑問が2つある。第1は、義務でないなら、マイナンバーを教えたくないと思う場合がある。例えば、小規模な事業者でとても適切な個人情報管理を行っているとは思えず、漏洩の可能性がある場合、また、悪徳業者でないかと推測できる場合などである。このような人に対しては、マイナンバーの無い場合の源泉徴収の率を通常の10%から例えば20%に引き上げるとのアイデアがある。確定申告して合理的に是正できる道を用意すればいい。これでマイナンバー通知を拒否する者は減るのではなかろうか。
 受取人にとっての第2の疑問は、確認書類のコピーの手間が大変だから、本人の申し立てだけでいいのではないかということだ(従来の住所の申し立てのように)。本人や第3者の不正申告の可能性は、動機面から考えにくい。間違いは、どんな場合でも一定の率であり得る。本人のマイナンバーとの違いは税務署で判るはずだから、間違いが判ったらそこから是正手続きを始めればいい。
税理士との雑談でこの話をしたところ、確かに確認事務の手間の負担を事業者側に過大に負わせていると、同感してくれた。
 この申告は、今年内に本格化するが、混乱が増えるのではないかと危惧する。

*1:マイナンバーカードであれば両方できる。ただし、写真、住所は表面、番号は裏面なので、コピーの場合、両面のコピーが必要で面倒。