スマートフォンとモバイルバンキング

 3月11日の大震災から今日で2か月経った。震災関係で少し整理してみたいと思っていたことがあったが、この満2か月には間に合わず、それは後日に回すことにして、本稿は、大震災にかこつけて、モバイルバンキングができない不便について述べる。
 大震災→福島原発事故→電力供給制約→節電→銀行業界の協力の一環で、街中で多くのATMがクローズされている。私の場合も通勤路の最寄り駅2か所にある、よく使っているATMが閉鎖された。不便でしょうがない。昨日銀行振込の必要が生じて、久しぶりに携帯電話からのモバイルバンキング*1を試みたがうまく行かなかった。
 私の携帯は、昨2010年11月に機種変更したAndroid系のスマートフォン(auIS03)だ。このAndroidへの機種変は、私としては思い入れのあることだが、ここでは長くなるので省略する。
 結論から言うと、スマートファンはモバイルバンキングに対応していない。モバイルバンキングは、携帯ウェブサイト(携帯電話専用のサイトで、auEZwebdocomoiモードsoftbankYahoo!ケータイなど)上のサービスであり、一般のインターネットにアクセスするスマートフォンは、この携帯ウェブサイトにはアクセスできない。auに限らず、各キャリア共通の事情だ。
 各銀行は、スマートフォンへの対応にそれなりに努力しており、以下紹介するが、不便さは如何ともし難い。予備知識として、各方式の認証方式の概略を説明しておく。

○ パソコンからのインターネットバンキング
a) 預金者のID (口座番号等。入力の省略は、普通許さない)
b) 暗証番号 (4桁の数字が多い)
c) あらかじめ渡される契約者カードに書かれている認証番号の表 (振込などの出金処理の時に、システムから指定される表の位置にある番号を入力して認証する)
○ 携帯からのモバイルバンキング
a)は、携帯電話を特定することにより省略される。c)も簡便のため省略。従って、b)の暗証番号のみで認証。
○ ATMのキャッシュカード
モバイルバンキングと同様、a)、c)はキャッシュカードの特定で代用。b)のみ。

1) じぶん銀行 
 最初に紹介する「じぶん銀行」とは、au三菱東京UFJ銀行(以下「三菱銀行」)とが共同で2008年8月にサービスを開始した、携帯電話を全面的に活用できるネット銀行だ。それほど利用価値があるものではないが、私は、あるマイナーな用途に利用価値を見出していて、2008年の秋から使ってきた。
 従来の携帯ウェブ上では、上述のとおり、4桁数字のパスワードだけでログインできた。しかし、スマートフォンになってからアクセスができないので、不審に思いつつもそのままにしていた。昨日の振込の場合は、本格的にトライした結果、従来方式では駄目ということが判り、スマートフォン用のじぶん銀行アプリをインストールした。
 ところが、これはスマートフォンと言いつつも、パソコンからのインターネットバンキングと同じ方式で、IDのお客様番号、6桁以上の英数字の暗証コードに加え、お客様カードの認証用番号表による入力も必要となった。
 非常に手間が掛かることとなったが、やや意地になって、他行への振込をトライしていたら、振込先の口座番号の入力に加え、振込先の口座名義人の入力*2も必要ときた。かつ、振込み手続きの完了後、もしこれが口座番号名義人と異なっていたら、送金はせずに、しかし振込手数料は頂くとなっている。口座名義は株式会社なので何が正しいか判らないし(「カ)」か「カブ」か、など)、会社名称も長いので面倒くさくてやめた。
2) 三菱銀行
 三菱銀行のウェブページで見ると、モバイルバンキングの対象機種にスマートフォンは入っていない。ただし、2011年3月から、スマートフォン向けインターネットバンキングが可能になったとのことだ。しかし、上記のじぶん銀行と同様、自分のIDをその都度入力しなければならないし、契約者カードの認証番号表を用意しなければいけない。じぶん銀行で断念した上記の振込をこれで行ったが、面倒極まりない。従来の4桁の暗証番号だけで、歩きながらでもできた簡便さが懐かしい。
3) 三井住友銀行
 同行は、スマートフォン対応のウェブページを作ったということで確認した。しかし、そのページはマーケット情報の提供だけで、バンキングはできない。
3) みずほ銀行
 スマートフォンのアプリ検索で、「銀行」を検索すると、バンキングのアプリがあるのは、上記のじぶん銀行みずほ銀行だけのようだ。私のみずほ銀行の利用頻度は低く、わざわざアプリをインストールしようという元気は出ない。
4) 韓国
 ところで、たまたま読んだ記事によれば、韓国では、「携帯の4割がスマートフォン:モバイルバンキングは1年で百倍」と、スマートフォンでのバンキングが増えたとのことだ。
http://nna.jp/free/news/20110125krw002A.html
 使い勝手はどうなのか、セキュリティは大丈夫なのか、興味深い。
5) コメント
 上記のような事情がスマートフォンで生ずる理由を想像するに、携帯ウェブサイトでは、キャリアと利用者との間の密接な契約関係を活かすことで、コンテンツ提供者(この場合銀行)と利用者との間でクローズドなコネクションの構築が容易なのかと思う。オープンな一般サイトの場合、個々の利用者との関係は薄いので、スマートフォンでは冗長な安全確認の手続きが必要となるのであろう。韓国の場合どうなのであろうか。
 以上をネットでいろいろ調べていたら、次の言葉が、グーグルの検索画面に出てきた。

スマートフォン持つ奴って情弱(情報弱者の意味か?)か遊び人だろ、モバイルバンキングもモバイルsuicaも無いし時期尚早.

 出所はよく判らないが(2チャンネルでの発言のようだが不明)、至言だと思う。今スマートフォンがよく売れているらしいが、後悔している人も多いのではないか。バッテリーの持ちも悪いし。私は、いいところと悪いところがあると、他人には言っている。なお、至言の中の「モバイルsuica」について、私のIS03は、発売当初から、2011年上期(夏まで)に対応予定とされており、かねて待ち遠しい。

*1:パソコンからの銀行振込などは「インターネットバンキング」と使い分けられている。

*2:インターネットバンキングでは、相手の口座番号を入れれば相手銀行に問い合わせて口座名義人を表示してくれるのでチェックできる(一部の小さな金融機関では問合せができない場合もある)。