大震災

東北復興を撫でる

「群盲象を撫でる」という言葉がある。凡人が大事業や大人物を評しても、単にその一部分にとどまって全体を見渡せないことだ(広辞苑)。本記事のタイトルはこれをもじり、「1人の愚盲、東北復興を撫でる」を省略したもの。差別用語と言われる「盲」がタイトルに表れ…

カウントダウン・メルトダウンの日経書評

たまたま新聞を読み溜めていて古い記事を読んでいたら、2月の弊ブログ(id:oginos:20130216)で紹介した「カウントダウン・メルトダウン」の書評が出ていた(3月24日付け日経新聞)。読むと、私の感想と相当違うポイントで紹介している。誤読ではないかと思われると…

日本人の火葬への執着

日経新聞夕刊で2月26日から始まったルポ連載記事「公共財としての火葬」は、2年前の東日本大震災の多数の犠牲者を火葬にする際の関係者の苦労をレポートしている。その3回目「改葬 知られざる過酷さ」(2月28日(木)夕刊) *1を読んで驚いた。火葬施設の被災と犠牲…

カウントダウン・メルトダウン

1月14日の弊ブログ「原発事故調の訓詁学」(id:oginos:20130114)で紹介したように、昨年12月からこの3月までの臨時雇いで原発事故対策に関連する調査を手伝っている。報告書の提出期限まで1か月余ということで作業は佳境、私にとっては苦境だ。たまたま週刊文…

原発事故調の訓詁学

昨年12月からこの3月までの期間、たまたま頼まれて、今後の原発事故対策に関係する調査の仕事を手伝っている。その関連で、福島原発事故に関連する本を正月休みに何冊か読んだ。福島事故の調査委員会は幾つも設置されていて、このブログでも断片的な感想をい…

放射線測定のウソと官邸の5日間

福島原発事故については、このブログでも何回か取り上げた。これに関連した出版は今でも多い。最近本屋をぶらぶらしていて手軽そうな本を2冊買った。手軽という意味は、短くて読み易そう、安価、タイトルから見て私のかねての考え方に近そうということだ。 ○…

政府事故調報告書

先週7月23日に政府事故調の最終報告書が発表された。これで、民間事故調、国会事故調、東京電力の各事故調査報告書と合せて、4種の報告書が出揃った。4つの報告書の比較が7月29日の日経新聞に2ページに渡って掲載されていた。 http://www.nikkei.com/paper/a…

国会事故調報告書−特に全面撤退問題

7月5日に、国会の「東京電力福島原子力発電所事故調査委員会」(以下「国会事故調」の最終報告書が発表された。これで、福島原発事故については、政府事故調中間報告(2011年12月2日)、民間事故調(2012年2月27日)、東京電力(6月20日)に次いで4つの報告書が出された…

「科学哲学講義」と原発論議

ツイッターやフェイスブックなどの「ソーシャルメディア」で自分の書き込みをアピールするための消費、「ネタ消費」が広がっているとのことだ。習い事も1回で終わる体験型(自分の作品を写真に撮り、ネットにアップすれば終り)に人が集まり、ネットでの話題を目…

福島原発民間事故調

福島原発事故独立検証委員会(いわゆる「民間事故調」)の報告書が2月28日に発表された。約400ページの大作だ。 http://rebuildjpn.org/wp/wp-content/uploads/2012/02/34fc7150633ba79554ff4c9c9d29885a.pdf 昨年末12月26日には、政府の事故調査・検証委員会(畑…

放射線量計測

さる4月の弊ブログ(原発放射能とSI(国際単位系)、id:oginos:20110425)で、ベクレルとシーベルトの計測について疑問があるので、将来調べると書いた。しかし、疑問点を個人的な感想として列挙して判らないままにしておくのでは読者に失礼だと思い、専門家にも…

チャイナシンドローム

あらかじめ断っておくが、このタイトルは竜頭蛇尾で、話は、テレビのニュース番組への私の感想(お辞儀、服装、手話通訳)に発展する。 1) チャイナシンドローム 福島原発事故以来、見たいと思って気に懸っていた映画だったが、しばらく忘れていて、この度やっ…

サンデル教授の災害補償のあり方

1週間前にNHKテレビのサンデル教授の授業を見た。 ○9月10日放送 21:02 - 22:15 NHK総合 マイケル・サンデル 究極の選択「震災復興 誰が金を払うのか」 概要は例えば次のURLにある。 http://datazoo.jp/tv/%E3%83%9E%E3%82%A4%E3%82%B1%E3%83%AB%E3%83%BB%E3%82…

菅前首相の伝言ゲーム

野田新内閣の9月2日の発足により退陣した菅前首相が、今週になってよくマスコミのインタビューに応じている。私としては首相の器量を疑わせるような内容と思うので、以下、1)インタビューの概要を紹介し、次いで2)私の感想、コメントを述べる。 1) インタビ…

東日本大震災復興宝くじ

大震災後ちょうど5か月目の2011/8/11に、仙台市で上記宝くじの当せん番号の発表があった。 http://dokudan.sakura.ne.jp/fukkou2011.html 昨2010年5月の行政刷新会議の事業仕分けで、宝くじ関係団体へ天下った総務省OBの高給ぶり等が問題になり、宝くじは廃…

TIME誌と東日本大震災

6月25日(土)に配達された米国TIME誌の7月4日号に、日本の東日本大震災関係の記事が出ていた。内容は後述する。私の関心は、大震災直後の報道の後、毎号のTIME誌の目次だけを見ていたが、この大震災についてほとんど採り上げられていなかったことだ。久しぶり…

原発危機・事故はなぜ深刻化したのか

6月5日(日)の夜に、NHKの次の番組を見た。 ○ シリーズ「原発危機」第1回「事故はなぜ深刻化したのか」(2011年6月5日(日)午後9時00分〜9時58分 NHK総合テレビ) 3月11日の福島第1原発の事故の後数日間の首相官邸と東京電力の動きを何百人もの証言で構成したとのこ…

スーパークールビズ

福島原発事故による節電対策の一環として、政府は、今年の夏向けにスーパークールビズを提唱した(後述)。 「スーパー」とは大げさだが、基本的にはいいことと思う。これを踏まえ、私の今夏の服装を計画した。昨夏の方針を踏まえて述べる。 1) 昨夏の方針 昨年6…

スマートフォンとモバイルバンキング

3月11日の大震災から今日で2か月経った。震災関係で少し整理してみたいと思っていたことがあったが、この満2か月には間に合わず、それは後日に回すことにして、本稿は、大震災にかこつけて、モバイルバンキングができない不便について述べる。 大震災→福島原…

原発放射能とSI(国際単位系)

福島原発事故との関係で、放射能等を表す単位として、シーベルトとベクレルがしばしば登場するようになった。私としてはかねて不案内な分野なので、当惑することが多い。本稿では、これらの単位が「SI(国際単位系)」により導入された単位であることを紹介し、…

自販機の電力使用量

石原都知事が、4月10日の都知事選勝利前後の街頭演説ないし記者会見で、自販機とパチンコをやり玉に上げて、電気の無駄遣いとして規制の必要を主張したと報道されている。本稿では、自販機の電力消費量に関する混乱について述べ、妥当と思われる水準を分析す…

東日本大震災(田老町と福島原発)

3月11日の東日本大震災から3週間以上が経過した。マグニチュード9.0の大地震の威力には言葉もないが、私にとっては、田老町(現岩手県宮古市田老地区)の巨大堤防と福島原発の被害が、安全に関する今までの前提を覆すものであって、衝撃であった。何れもよく報…