電子書籍の2重買い

 この話は私の失敗談だ。しかし、電子書籍の新しいメリットも発見したので、恥を忍んで紹介する。
(電子書籍をリアルの書店で購入)
 電子書籍については、そういうタイトルの記事を昨年7月に書いた(id:oginos:20130714)。その中で、本(紙と電子)の買い方として、ネット、図書館、書店などがあると書いた。探す本や内容、目的がはっきりしている場合はネット(アマゾン等)が便利だが、書店に行くのもいい。書棚の間を散策しつつ読みたいと思う本を発見する楽しみがある。最近は、そのようにして探した本をレジに持って行って電子版があるかを確認し、あれば電子版を買うことが多くなった(後述のとおり三省堂に限る)。そのレジでの手順は後述する。
 昨年7月の弊ブログでは、私は電子書籍としては、主にBook Live! とアマゾンを利用していると書いた。当時はもっぱらネットでの注文だったが、その後三省堂書店がBook Live!と提携し、リアルな書店でも電子書籍の販売を始めた。私の最寄駅に三省堂書店があるので、利用するようになった。
 書店での購入方法は3通りあり、a) 書店にある検索機で探し、そのプリントアウトをレジに持って行く、b) 本の表紙ないし帯に「電子版もあり」との記載がある場合はそれをレジに持って行く、c) 書棚の本を取ってレジで電子版があるか聞く、などだ。a)は面倒、b)はそのような記載のある本は殆ど無い、ということで、私はもっぱらc)だ。何れの方法にしろレジでは、代金(紙の本より少し安い)を払って、「チケットコード」という16桁の英数字より成るコードを書いた紙を貰う。家で端末(タブレット、PC等)からBookLive!のページにアクセスしてそのコードを入力すればいい。
 昨年の夏にこのシステムが導入されて以来、何度もレジで電子書籍版があるか聞いたが殆ど無かった(買ったのは、確か1-2冊程度)。私の関心分野の本とか、新刊本とかが電子化されていないということだろうと思っていた。ところが今月になって久しぶりに行って、3冊をレジに持って行った。そのうち2冊が電子化されているということで感激した。何れも新書で、紙の本での出版は昨年の9月と12月だから新刊本と言っていいだろう。
(2重買い)
 前置きが長くなったが、この購入から2週間ほど経った今週、雑誌の書評で見た本を買いに、同じ三省堂に行った。目的の本は無かったが、書棚を見ているうちに買いたい本があって、レジに行くと電子版があるというので、買った。それで、家に帰ってタブレットから、「チケットコード」を入力すると、駄目ですとのメッセージが出る。もう1度試みても駄目なのでよくメッセージを読むと、「購入済みですからうんぬん」と書いてある。信じられなかったが、改めて「My本棚」という購入済みのリストを見ると、確かにある。2週間前に買ったまま「つん読」にしておいたものだ。
 しょうがないので、また本屋に行き、レジに払戻しを頼んだ。当惑した顔をしていたが、取扱要領か何かを調べて無事全額払い戻してくれた。
 同じ本を2冊も買った自分のボケさ加減にショックを受けた。しかし、教えてくれた電子書籍のシステムにも感謝した。私は若い頃から時々本の2重買いをしてきた(数年に1-2度くらい)。気が付くのは、大体何日か何か月か経って、数十ページほど読んでからだ。レシートは無いし、本には読んだ跡もある。とても払戻しなど期待できない。これからは益々2重買いの恐れが出てくる。電子書籍は年寄りに優しいシステムだ。
 しかし、この2重買い防止システムは限界が多い。他社の電子書籍システム(私の場合主にアマゾン)との照合はできないし、紙の本との2重買いのチェックもしてくれない。三省堂には「クラブ三省堂」というシステムがあり(私も昔から会員)、三省堂で買った紙の本と電子書籍の購入履歴がネットで判る。*1 しかし、2重買いのチェックは、書店のレジではしてくれなかった。
(リアルな書店との連携の他の例)
 リアルな書店と電子書籍との連携は、他にもある。上述の7月の弊ブログでも紹介したhontoだ。これは、丸善ジュンク堂文教堂という複数の書店が加入していて、リアルな書店での紙の本の購入、紙の本の通信販売、ネットでの電子書籍の購入が可能だ (http://honto.jp/ )。このHPだけでは、複数書店とネットでのポイント(購入額の1%)の共通化だけが利点のようだ。
 しかし、私が2年ほど前あるセミナーで、たまたまこのシステムの紹介を聞いた時、興味深い説明があった。すなわち、開発者があまり期待していなかったが、読者に割に好評なメリットとして、honto会員として購入した紙の本、電子書籍のリストが一覧できることがあるということだ。もっとも、自分の読んだ本のリストがサーバーにあるというのは、人によってはプライバシー、セキュリティの観点から不安になるかも知れない。しかし、私は多くの読者に好評ということが十分理解できる。便利のことだと思う。
 リアル店舗電子書籍が買えることについては、次のブログ(昨年12月24日付け)を読む限り、ここで紹介した、BookLive!‐三省堂ラインが先行しているようだ。
リアル書店電子書籍を売るということ」https://www.dotbook.jp/magazine-k/2013/12/24/selling_ebooks_at_brick_and_mortar_stores/
(今後の期待)
 書店としては、今先行している三省堂のシステムが普及し、多くの書店が参加するものに育ってほしい。購入一覧リストが充実するからだ。
 2重買いについては、紙の本でもレジで2重買いを警告するシステムになると安心だ。レジで、「以前同じ本を買われていますが」と警告されるのはちょっと恥かしいが、無駄遣いの方がもったいない。
 電子書籍販売については、紙の本のようにもっとチャンネルが多様化し、中古本等について安価な購入が可能になると嬉しい。
 技術的には、前の弊ブログでも述べた部分コピーや部分印刷が可能になるとともに、集計等若干のプログラムの組込みがあるといいと思う。というのは、最近買った電子書籍に、心理学的な自己診断テストがあった。50近い項目で、集計も項目ごとに評価基準が異なっていて複雑だった。印刷ができないので、自分で紙にメモしていったが、甚だ面倒で判りにくい。そのまま書き込める紙の本に対し、電子書籍だからいっそのこと入力と集計がプログラム化されていれば便利だと感じた。

*1:今回チェックしたら、書店だけでなくネットのBookLive!から購入した電子書籍も表示される。どうでもいいが、このクラブ三省堂のページは、何時も読書で使っているBookLive!とは別にログインしなければならないので不便だ。