大雪と特急料金払戻し

 さる2月8日は、東京では45年ぶりと言われる27cmの大雪が降るなど東日本に大きな積雪があった。その日私はたまたま郷里の富山県であった法事に出席し、帰京のため上越新幹線に乗っていた。新幹線は約3時間半遅れ、東京のJR、私鉄も乱れ、私が世田谷区の自宅に着いたのは午前4時だった。本記事では、先ず自宅に辿り着いた顛末を述べ、次に新幹線の遅延の場合の特急料金払戻しに関する不満を述べる。
1) 寒風の中でのタクシー待ち
(上越新幹線が3時間半遅れる)
 今回の帰京の旅程は、先ず高岡駅(富山県)16:44発の北陸線の特急はくたか、越後湯沢で乗り継いで同駅発19:01の上越新幹線で大宮着19:46、大宮から湘南新宿ライン又は埼京線快速で新宿に出て、小田急線に乗り、自宅には21時前後到着というのが予定だった。
 相当の雪だった北陸線(正確には、北陸線+ほくほく線)はほぼ順調だったが、乗継駅の越後湯沢から乗車した上越新幹線の特急が動き出さない。高崎駅のポイント故障ということだったが、2時間遅れで出発、ノロノロ運転で出発遅れも含めて4時間半ほどかけて(定時では45分間)、23時半頃に大宮に到着した。
 湘南新宿ラインは動いていず、埼京線は各駅停車で池袋止まりという。それで池袋まで行き、山手線で新宿。小田急線の終電があるということで、1時頃に出た経堂止まりの電車に乗った。
(経堂駅のタクシー乗り場で2時間半待つ)
 経堂駅からタクシー待ちの列に並んだが、これがひどかった。1時20分頃から並び始め、私の前は当初20人ほどだった(私の後も20人くらい)。タクシーがなかなか来ず、10分から15分ぐらいの間隔で、結局私が乗れたのは2時間半近く経った3時45分頃だ。寒くてみんな震えていたが、3時過ぎになると更に寒風が厳しくなった。タクシーが来るのと始発の電車(5時ちょうど発)が出るのとどちらが早いか、根競べの雰囲気になってきた。
(東京のタクシーは雪道でよろよろ)
 やっと乗れたタクシーの運転手に、経堂駅のタクシーは何時もこんなに来ないのかと聞いた。運転手いわく、何時もは沢山いる(終電は経堂止まり)、今日は土曜日なので比較的少ないという事情もあるが、何よりも雪のせいで早く上がって家に帰った運転手が多かったからとのことだ。もっとプロ意識を持ってほしいと思ったが、この雪では難しいかも知れない。
 プロ意識がある私のタクシーも、運転は少しよろよろしていて危なっかしい。タイヤは何かと聞いたら、昨年11月からスノータイヤに換えているが、今まで雪が降らなかったため少し薄くなっている(タイヤ面が擦れているということか)とのことだ。スリップしそうな時もあり心配になった。最後に我が家の前の道に入ったが、軽い登り坂が登れない。家の前の坂道は、男の自転車なら登れる程度の傾斜だ。しょうがないから家から4-5メートル手前で降りて、雪道を歩いた。タクシーはどうするのかと聞いたら、バックして入って来た道を戻るという。ちゃんとできるか心配だが、凍えていた私は、急いで家に入った。もっとも私がいても何の手助けもできなかったろう。
(反省点)
 寒風に曝された2時間半は災害だった。あと30分待たされたら寒気で倒れていたのではないかと思う。少し反省することはないかと考えたが、あまりいいアイデアは無い。
 先ず、新宿駅でタクシーに乗る選択肢は当初から考えたが、新宿を通った時に見ると長い列ができていたので、経堂を選択。新宿でホテルというのも小田急線の終電が動いているから家に帰ろうと思う。
 経堂でタクシーを待つ行列から抜けて、ホテルに入る、深夜喫茶に入る、飲み屋に入る、なども有力だが、私は経堂は詳しくなく、タクシー待ちの所から周りを見てもよく判らない。探しに行くと列を抜けることになるから勇気がいる。後述するが、スマホのバッテリー切れの恐れがあり、ウェブで調べることも電話することもできない。行列から抜けた人は私の前に3-4人いた。特に、私の直前の4-50代の夫婦は3時過ぎに4番目になったのに、抜けてどこかに行ってしまった。吹きさらしのタクシー乗り場ではなく、建物の蔭で寒風を避け、始発を待つことにしたのだろうか。
 家まで数キロ雪道を歩くのもあるが、危ないし、もう直ぐタクシーが来るかも知れないと思うと踏み出しにくい。家人に電話して車で迎えに来てもらうことは、平時はともかく雪道では考えられない。2次災害の発生の恐れがある。やはり、見通しよく富山でもう1泊するのがよかったのだろう。
 今になって考えると、早めに寒気で倒れてしまい、救急車で病院に運ばれたらよかったかも知れない。
(スマホがバッテリー切れに)
 もう1つ困ったのは、携帯電話のバッテリーが新幹線の中にいる時から切れかかっていたことだ。数か月前に大枚5000円で買った、3回分充電できるというポータブル充電器(id:oginos:20131129 参照)を持っていたが、2回分ほどしか持たなかった。富山に行ったのは前日からだから3回分で間に合うと思っていたのだが、これならコンセントから充電できるコードも持ってくるべきだった。妻にはバッテリーが持ちそうにないと言って、電源を切り、1-2時間に1度くらいの割で電源を入れ、連絡していたが不便極まりない。

2) 特急料金の払戻し
 上述のように、上越新幹線は3時間半遅れた。車内放送でも案内していたが、2時間以上遅延すると特急料金の払戻しがある。今回は高岡から北陸線の特急に乗り、越後湯沢乗継での特急券だ。高岡・越後湯沢間の特急料金も払い戻せないかと、2日後にJRのみどりの窓口に行った。
 窓口の駅員(たまたま女性駅員)は、北陸線は遅れてないからその分は払い戻せないと言う。私は、高岡・大宮間を運んでもらうというサービスを期待して特急券を買い、「乗継」特急券と明示してあることから、その旨JRも約束したことは明らかだと反論した。北陸線特急がほぼ時間通りに越後湯沢に到着したにしても、私は越後湯沢に何の用事もないから意味が無い。また、高岡・大宮(東京でもいい)間乗継特急券(割引)というのは、新幹線が開通する前にあった直行の特急が無くなったことへの補償の意味もある筈だ。直行特急の場合、遅延があればフルに払戻しがある。乗継特急でもフルに払い戻すべきだ。
 暫く論争したが、窓口嬢の権限で払い戻せることでもないし、彼女が「おっしゃることは判ります。しかし、…」と言い振りで少し妥協したので、矛を収めることとした。
 この問題は、実は昔も経験があり、その時は忙しくて、不満だが引き下がった。今回改めてじっくり聞いたが、JRの理屈はおかしいと思う。遅れが原因の各種損害の補償(例えば経堂からのタクシー代)については、国の認可を得た旅客営業規則(約款に相当)に補償の範囲として除外されているそうだから、それは補償の上限を定める意味でしょうがないと思う。だが、乗客へのサービスの観点から払戻しをするならその条件は合理的に定めるべきで、乗継特急料金の払戻しは対象に含めることが適当と思う。
 遅延の払戻しについては、昔は合理的な所があったと思う。かつての新幹線では、1時間以上の遅れの場合に払戻しが行われた。在来線の場合、2時間遅れが条件だったから、私は感激した。東京・新大阪間約3時間の時間では1時間遅れでも払い戻すということで、新幹線運行の信頼性への自信と乗客へのサービス意識に、国鉄(当時)マンの気概を見た気がした*1。ところが、越後湯沢・大宮間は通常なら45分の距離だ。それでも2時間の遅れが条件というのはやや常識に欠けると思う。
 こういう不満も、来春に北陸新幹線が開通すれば、私の場合も殆んど無くなる。楽しみだ。

*1:1時間遅延の払戻しが何時から2時間になったかについては、ウェブを調べてもよく判らない。1時間条件があったことについてもなかなかエビデンスが無いが、東海道新幹線ができた頃はそうだったと、次のブログの中に書かれている。http://shigechan.seesaa.net/s/article/48076385.html しかし、乗継特急券の払戻しが当時あったかについてはよく判らない。