消費税アップに伴う端数小銭の処理

 来る4月から消費税率が5%から8%にアップする。国の財政状況を考えれば遅きに失した措置だと私は思っているが、世の中はそうではない。便乗値上げと批判されるので、企業もおっかなびっくりだ。値上げ幅にも理論武装が必要で、税率の変化に従って1.08/1.05 → 2857%のアップなら問題がないと考えられる。しかし、総額表示方式で従来10円単位に丸めてきた商品では、1円単位の端数が出る。釣りの1円玉がポケットに溢れ、消費者の方も不便だ。
 本稿では、消費者として、1)ポケットの1円玉が増えない工夫の一般論、2)ポイントカード、3)プリペイドカード、関連して4)退蔵切手の活用についての工夫を紹介する。何れもこまかい話だ。最後に参考として、5)欧州では日本のような一斉値上げは無いとの興味深い記事を参考として紹介する。
1) 1円玉を少なくする工夫(一般論)
 現在でもスーパーやコンビニでは1円の端数の付いた価格が多いが、前述の理由により今後更に増加すると思われる。釣り銭をそのままポケットや小銭入れに入れていると、1円玉だらけになる。これを避けるためには、一般論として幾つかの方法がある。
a) スーパーやコンビニで私が従来やってきた方法の1つが、買い物かごに商品を入れる時に価格の1の桁だけを足していって、必要なら適当な価格の品を加えて合計額でバランスさせることだ。この方法は総額表示方式ならいいが、税率アップ後恐らく多くなる税抜き価格表示方式だと使えなくなる。
b) クレジットカードで払う。すなわち端数金額を含めて全額払う。しかし、支払額が2-3千円以下の場合、クレジットカードは嫌がられる。
c) プリペイドカードで、端数金額を含めて全額支払う*1。そのためには、プリペイドカードにあらかじめ相当の額を入金しておく必要があるが、現金払いを無くすためには、複数のプリペイドカードを用意し、何れにも相当の額(現在は、全てに使える汎用的なカードは無い)を入金しておかなければならない。死蔵入金を最小化しつつ残高を管理するのは面倒だ。
d) 釣り銭をレジの横にある寄付ボックスに入れる。→簡便だが、あまり知的じゃないな。
 以下は、私の推奨する方法だ。
2) ポイントカードの利用
 この方法は、現在でも実行していることだが、ポイントカード(現金支払還元型のもの)*2を使う次の方法だ。
 ポイントが適当に貯まっているポイントカードを支払の現金と一緒に出し、小銭の部分をポイントで支払うものだ。例を示すと、252円の商品の場合、2円をポイントカードから引いてくださいと言って250円を出す。私の経験では、2-3年前までは、融通の利かない店員もいたが、最近は大体問題ない。
 更に高等なテクニックがあって、購入金額が252円で、手許の小銭入れに4円あり、その4円を無くしてすっきりさせたいことがある。その場合、8円分のポイントを使うと言って、244円を出せば手許の4円が無くなって気分も晴れやかになる。
(失敗例、共通ポイントカード「Ponta」)
 ところが、最近これ(手許の小銭の処分)がうまくいかないことがあった。コンビニ等の共通ポイントサービスとして「Ponta カード」がある。これは三菱商事系のポイントサービスで最初コンビニのローソンから始まった*3。現在コンビニ以外でも多くの店舗で使える(http://www.ponta.jp/c/partner/ )。
 先日その提携先の1つのケンタッキーフライドチキン(以下、KFC)で、例えば650円の買い物で手持ちの4円を処分するために、Pontaから6ポイント使ってと頼んだら、10ポイント(10円)単位でしか使えないという。しょうがないから全額現金で払った。
 家に帰ってウェブで調べたら、Pontaの総合HPでは、1円単位も可能だと出ている(http://www.ponta.jp/c/about/use.htm)。ところが、KFCのHPを見ると、10p(10円)単位とある(http://www.kfc.co.jp/ponta/kfcpontapoint.html)。これはKFCの商品価格が全て10円単位であり、4月の消費税アップの後も10円単位にすると公告している、ことからであろう(http://japan.kfc.co.jp/news/news140310kfc.html)。そういう店で、私が1円単位の小銭を整理しようと思ったのが間違いだった。
 なお、Pontaの前述のページでは1円単位が可能となっているが、細かく見ると、ポイントの使いかたは加盟企業によって異なる場合があると書いてあったから、KFCの取扱いは問題ないのであろう。
3) プリペイドカードの利用
 プリペイドカードについては、種類によって取扱いが違うのでやや注意を要する。汎用プリペイドカードであるEdyイカについては、かつて使えなかったスーパーやコンビニの一部で、最近使用できるようになってきた。近くのスーパー(サミットストア)とコンビニ(セブンイレブン、ローソン)で確認したところ、商品の価格の全部をこのプリペイドカードで支払うことは可能だが、私の考えているような端数分など一部だけを支払うことはできないという。
 しかし、クオカード図書カードはこの一部払いが可能だ。以下、少しコメントする。
(クオカード)
 クオカードは、汎用のプリペイドカードで多くのコンビニ等で使える。http://www.quocard.com/member/
 Edyとスイカは、繰返しチャージ(入金)が可能だが、クオカードは額面の金額だけでチャージはできない。今問題となっている端数小銭の支払に使うには、一部クオカード、一部現金という支払が可能かということだが、近くのセブンイレブンで確認したら、クオカードは現金との併用支払が可能だった。同じ店でEdyもスイカも前述のとおり、一部の支払には使えなかった。ただ、これは店によって微妙に違う可能性があり、あらかじめ確認した方がいい。
 クオカードはギフトとして受け取ることが多いが、コンビニでも買える。端数小銭用としての価値を見直したらどうか。一方Edyは、楽天に吸収されたために、消費者ニーズへの対応が遅れているのではないかと思う。弊ブログ「楽天Edyへの不安」(id:oginos:20120415)を参照。
(図書カード)
 図書カードは、残りが数百円程度になって、本1冊も買えず使い出が無くなったからといって、最後の買い物で全部使ってしまうのはもったいない。残額を少し維持しておいて、この端数小銭として使えば重宝だ。本はかねて特例で税抜き価格表示を維持しているので、価格に端数は付きものだ。
4) 退蔵郵便切手の処理
 郵便料金も、葉書、封書については、それぞれ50円、80円から52円、82円にアップする。従来の50円、80円切手を使う場合、2円切手を追加して貼ってくださいと当局はPRしている。古い切手の払戻しはしない、新しい切手に交換はできるが、その場合交換前の切手1枚に付き5円の交換手数料を取ると言う。料金を自分で上げておいて少し不合理と思うが、今日はそれは論じない。
 2円切手を追加して貼るのも当初はいいが、半年も経てば古着にパッチを当てて人前に出るようで、ためらわれる。私が今週思いついたのは、郵便小包(ゆうパック)の料金の支払いに切手を使うことだ。クロネコヤマト等の宅配便の普及で、我が家では郵便小包の利用など忘れていた。今週たまたま荷物を送る必要があったので、宅配便ではなく、郵便局に持って行った。600円の料金を、古いお年玉年賀はがきの景品の50円、80円切手シートを4枚と80円切手で支払い、少しすっきりした。
 郵便小包と民間の宅配便との料金格差は、体系が少し違うので厳密な比較はできないが、重くて小さいものは郵便の方が有利なようだ。この古い切手の活用方法は、小包に直接切手が貼り付けられる訳ではないようだ。何時になっても、古い切手を使っていると相手に判らないのがいい。我が家でチェックしたら、切手の買い溜めが数千円分あった。なお、これはあくまで切手だけで、同じ料金だからと言って官制葉書での支払いはできないようだ。
5) 欧州では一斉改定は無い
 端数価格の問題は、消費税アップに合せて商品価格が一斉に改定されることが主原因であろう。この一斉改定について私は当然と思っていたが、欧州ではそうではないという記事を読んで驚いた。森信茂樹氏のさる2月の日経新聞のコラム「経済教室/消費増税の課題(上)/価格の一斉改定、日本特有」(2014/2/24 日本経済新聞) *4 に書いてあったので、紹介する。
 ドイツ、フランス、英国の消費税率アップの例が紹介されている。例えば英国では、2010年と11年の各1月に2.5%ずつ引き上げられた。小売業者は、引上げ前のクリスマス商戦時に大きな価格改定をして、1月は小幅な価格改定だったという。欧州の政府当局者は、日本の一斉価格改定のことを聞いてむしろびっくりすると言う。各商品の価格は、時期等を含め、各企業で戦略的に決定され、消費税は単なるコストの1つと認識されている。インボイス方式(説明略)のため、取引業者間の価格転嫁は容易との背景もあるとのことだ。
 どちらがいいかは判らないが、日本での一斉価格改定による大騒ぎと混乱を見ると欧州方式もいいかと思う。

*1:ポイントカードの場合、常に多額の残額があることは考えにくい

*2:私の造語。一般にポイントカードは、商品の購入金額に応じて顧客にポイントを与えるもので各種ある。相当数のポイントが貯まった段階で特定の商品や商品券に交換できるポイント制(航空会社のマイレージサービスも同様)もある。ここで「現金支払還元型」とは、店や提携店で次回に商品一般を購入する際に現金と同じように使えるものをいう。各スーパー、コンビニのチェーンや提携グループで使われている。

*3:これに対抗するのが、TSUTAYAが始めた「Tカード」のポイントだ。主な提携先は、http://tsite.jp/pc/r/al/list.pl

*4:http://www.nikkei.com/article/DGKDZO67246820S4A220C1KE8000/ ただしこのページは有料会員向けだと思われるので、日経会員以外は見られない可能性あり。