宅配通知メール

 日本郵政グループ3社が、11/4の上場を目指し、先週10/8からBB(ブックビルディング)が始まっている。私は余裕資金の無いこともあるが、この株はあまり買おうと思わない。理由は、30-40年前から仕事の関係で、国営の郵政事業に疑問を持っていたからだ。その疑問の説明は省略して、同グループの「日本郵便」の宅配便(ゆうパック)に関するかねての不満を述べる。
1) 荷受人への宅配便配達予定日時の通知サービス
(ヤマト運輸)
 我が家にはヤマト運輸(クロネコ宅急便)での配達が多く、私も「クロネコメンバーズ」の会員にもなっている。これの「宅急便e-お知らせシリーズ」が秀逸で、受取荷物が営業所に届くと、メールで配達予定日時を知らせてくれる。都合が悪ければ、簡便に希望日時に変更できる。http://www.kuronekoyamato.co.jp/webservice_guide/chaku_off.html 
(日本郵便)
 日本郵便にはこのようなサービスは無く、不在の場合は、他社の宅配便と同様、不在連絡票がポストに投函される。「郵便追跡サービス」というのがあるが、これは、荷送り人から「お問合せ番号」の連絡があった場合しか利用できない。気の利いた通信販売業者は、発送直後にこれを教えてくれて、それなりに便利だが、郵便局のHPにアクセスして番号を入力しなければいけない。また、最新時点での配送状況を教えてくれるだけで、配達前に日時を変更できるシステムではないようだ。 https://trackings.post.japanpost.jp/services/srv/search/ 
 従って、何日間か家を空けていると、不在連絡票の再配達が繰り返され、相当無駄だ
(佐川急便)
 佐川急便(飛脚宅急便)にも「配達予定通知メールサービス」というのがあり、私も登録している。 http://www.sagawa-exp.co.jp/service/wts/ 
 ただ、これは少し使いにくく、荷送り人が佐川急便の電子発送システムに準拠しているなどの条件がある(すなわち、発送人が通販の大手企業などに限られるだろう)。従って、先日、富山の兄が梨を送ってきた時も(生産農家が佐川急便を利用)、予定通知メールは来なかった。
(西濃運輸)
 西濃運輸(カンガルー便)のHPには、「マイ セイノー」という会員制度がある。https://net.seino.co.jp/myseino/ しかし、大半が荷送り人向けのサービスだ。荷受人に対するサービスは、「web受取商品状況照会」だけだが、これは法人向けに限られている。
2) ドアフォンワープ
 前述したように、日本郵便などでは何日か不在にすると、何度も無駄な配達をさせることになるので甚だ不合理だ。これに対し、我が家のテレビドアフォンには、「ドアフォンワープ」機能があり、外出先の携帯電話に連絡が来る。仕組は、先ず家の固定電話(テレビドアフォンに連動)を留守番設定にする。それで、来訪者があってドアフォンを押すと、家の固定電話から私の携帯電話に「ドアフォンワープ」ですとの呼び出しがある。それで携帯電話のダイアル画面を表示させ、星印を2回押す。すると来訪者と話ができる。当初は、来訪者になかなか理解してもらえなかった(今でもだが)。
(来訪者)「家にいらっしゃるんでしょう。何か出られないことがあるんですか?」、(私)「いや、詳しい事情は説明しづらいけど、外出しています。夜に再配達してもらえないですか」、(来訪者)「(不承不承げに)そうですか」
 最近は、相当数の配達人が慣れてきて、事務的に対応してくれる。不在連絡票も置いていかないから、紙と(書く)時間の節約になる。余談だが、先日、中央大学の女子大生という人がアンケート調査に来た。外出中ですと言うと、訝しげな反応だがしょうがない。帰宅してから、テレビドアフォンの記録画像(来訪者につき8枚の政治画像)を見ると、可愛らしいお嬢さんだった*1
 ドアフォンワープも万能ではない。飛行機に乗っている時は通じないから、家に帰って不在連絡票を見るまでは対応できない。また、上述したように手順が少し複雑で、失敗することがある(特に最初は多かった)。配達予定通知メールや、事後的でも不在連絡通知メール(不在配達が1回ですむ)がいいと思う。
3) 日本郵便の制約
 日本郵便には、上述したヤマト運輸や佐川急便にあるような会員制度が無いようだ。
(日本郵便もコンビニ受取へ)
 10月になって、日本郵便から、宅配便に関し新しい動きが発表された。2015/10/4付け日本経済新聞の記事「ネット通販、郵便局で受け取り 日本郵便が16年春にも」を参照。 http://www.nikkei.com/article/DGXLASGC03H09_T01C15A0MM8000/ 
 これは、ネット通販の荷物に限り、郵便局やコンビニで受け取ることを可能にするものだ。営業時間が日中に限られている郵便局で受け取ろうという人がどれほどいるか疑問だが、前進とは言える。ちなみに、かねて私はアマゾンの通信販売について時々、コンビニ受取を頼んでいる。何度も自宅に配達してもらうのが申し訳ないとの思いと、コンビニで開封して梱包材をそこに置いてこられる、などからだ。
 記事によれば、「国土交通省の検討会の報告書によると、宅配便の荷物の約2割が再配達されている。コンビニ受け取りの拡大は顧客の利便性だけでなく、コスト削減の面からも物流大手に共通の課題だ」とある。私も全く同感で、度重なる再配達は、省エネルギーの観点からも看過できない、縮減できる方策を考えるべきだと思っている。その意味で、配達予定通知メールを推進すべきだ。このためには、ヤマト運輸や佐川急便のように、住所、メールアドレスを登録する会員制度(任意)の普及が必要だ。
(日本郵便は配達予定通知メール制度を実施できるか)
 記事には、コンビニ受取の他、「荷物が郵便局に届けば、受取人にメールを送る仕組みも設ける方向だ」とあり、日本郵便も配達予定通知メールを始めるのかと思うが、そうではなさそうだ。記事を読む限り、仕組はネット通販に限られている。ということは、受取場所(郵便局、コンビニの店舗)の指定、メールアドレスの登録は、ネット通販の段階で通販業者に対してだけのものだ。日本郵政は、多分顧客の住所やメールアドレスを管理しようとしないのではないかと思われる。
 これは、住所氏名、メールアドレスのリストを膨大に抱えることによる個人情報漏えいリスクを恐れてのことと推測する。顧客の利便と国民経済的な合理性を考えれば、会員制度は有用と思うが、役所意識が抜け切らない日本郵便に可能だろうか。

*1:会えなかったのはドアフォンワープのせいではない。また、ドアフォンワープは声だけで、画像は送ってくれない。