東日本大震災復興宝くじ

 大震災後ちょうど5か月目の2011/8/11に、仙台市で上記宝くじの当せん番号の発表があった。
http://dokudan.sakura.ne.jp/fukkou2011.html
 昨2010年5月の行政刷新会議事業仕分けで、宝くじ関係団体へ天下った総務省OBの高給ぶり等が問題になり、宝くじは廃止との結論となった*1。しかし、宝くじは順調に続けられているようだ。
 私は買っていないが、家人が買い、その当せん番号発表が何時どうやって判るのかと気にしていたので、協力ついでにいろいろ調べた。その過程で、発行枚数に関し私としてはびっくりすることが判った。宝くじに詳しい人には常識なのかも知れないが、以下紹介する。
 東日本大震災復興宝くじは、公表資料によると、発売は15ユニットで発売額は300億円とある。各ユニットに各組各番号があり、当せん番号は各ユニット共通だ。家人の買ったくじや発表された当せん番号から見ると番号は6ケタだから1組当り100万枚。組番号は2桁だから100組あると推定される。とすると、発行枚数は、100万枚×100組×15ユニットで15億枚。これに1枚200円を乗ずると3000億円になる。公表の300億円とは1桁違うから、どこかで組数、番号に欠番がありそうだ。
 最初考えたのは、番号にはパリティチェック*2用の余分な桁があるのではないかということ。しかし、1等賞にはその前後賞があるので番号に欠番は無そうそうだ。組番号の欠番の可能性については、1等賞の組違い賞が2,970本ある。これは、1等賞が各ユニットに2本あって15ユニットで30本、組違い賞は、2本×99組×15ユニットで、2970本でピタリと合うから、組でも欠番は無さそうだ。また、6等賞が450万本とある。15ユニット、100組で割ると、1組当り3,000本が当りだ。6等賞は下2桁で決り、当せん番号が3本だから確率は100本当り3本だ。逆算すると、1組には10万個の番号しかないことになる。しかし、番号は6ケタだから99万9999まである。実は公表以上に販売しているのではないか、宝くじ界のスキャンダルかも知れないと考え出した。
 しかし、改めて観察してみると、6ケタの当選番号が出ているのは全て10万の桁が「1」だ(10万台、すなわち100,000から199,999)。家人の買った外れくじを引っぱり出し、番号を確かめるとやはり全て10万台だ。他の宝くじも同じかと思って、みずほ銀行の宝くじの当選番号のウェブページを見てみた*3。掲載されているここ1年間の宝くじの半分以上の当せん番号を見てみたが、6ケタの当せん番号が出ているのは全て10万台だった。不思議になって、2日後の昨日になり、先ほどの外れくじをまた引っぱり出し改めて裏面を読んで見た。「この宝くじは、100,000番から199,999番までの10万通を1組とし、…」と明記してある。これではスキャンダルにならない。
 全くの私の不案内の至りの話で恥かしい限りだが、それでも、どうしてこうなのか不思議だ。疑問は2つある。第1に、何故わざわざ不要な1桁を設けているのだろうか、全ての券に余計な「1」を印刷するためのインク代も掛かるであろう。第2に、1等賞が100,000又は199,999だった場合の前後賞は何番になるのだろうか(前後の組に飛ぶのだろうか*4 )。
 参考までに、今回の復興宝くじについて、概要を説明する。販売総額300億円、それを、被災者・被災自治体への収益金143億円(対販売額比 47.7%)、当せん金総額122億9700万円(筆者算出、41.0%)に配分し、残りが事務、広告費等の経費となる(約34億円、11.3%)。
 Wikipediaによれば、2008年の払い戻し率(当せん金/販売総額)は45.7%、自治体への収益金40.1%、経費14.2%だった。今回の復興宝くじは、払い戻し率は低く、経費も低く(事業仕分けのため、総務省OBが少なくなったか)、それだけ被災者への支援額が多くなっている。
 家人の買ったくじは、残念ながら全部外れだった。負惜しみで、復興に寄付できたからよかったと言っていたが、全額が寄付に回った訳ではない。47.7%が寄付で、他の当せん者への賞金にもなっていると余計なことを言っておいた。

*1:2010年5月21日WG会合、http://www.cao.go.jp/sasshin/data/shiwake/result/B-34.pdf

*2:情報通信理論で使われる。詳細は省略。

*3:http://www.mizuhobank.co.jp/takarakuji/tsujyo/index.html

*4:その場合、最初の組や最後の組だったら、どうなるか。