スマホ用タッチペン

 スマートフォンタブレットを使っていて不便なことは多々あるが、その1つにタッチパネルを指で押す時のトラブルがある。URLのリンク先が小さな字で並べられている時など直ぐ間違って隣をクリックしてしまう。それで何時も所持できるタッチペンがほしいと思い、昨2012年5月の弊ブログ(「消えるボールペン」id:oginos:20120531 中の「3)最近買ったその他のボールペン等」)で述べた「自由に選んで作るペン”ハイテックCコレト”」でも、タッチペン芯を選んだ。ところが、このタッチペン芯は、実は感圧式タッチパネル用で、スマホタブレットで使われている静電容量方式(弊ブログでは、「感熱方式」と書いたが間違い)のタッチパネルには全く役に立たないものだった。
 昨年の暮れに文房具店でたまたま手にした無料の冊子「Bun2、2012年12月号」の特集「2012年Bun2大賞‐ベスト文具30発表」に惹かれ、その冊子を家に持ち帰って読んでいた。「ベスト文具30」も興味深かったが*1、裏表紙の広告に出ていた、スマートフォンに最適という、はんこ・ボールペン付きタッチペン「スタンペンGタッチ」がよさそうで、ウェブで買ってしまった。

 正月休みで配送が遅れ、1月の中旬に届いた。写真の左にあるように若干ずんぐりしていて短く、ポケットに入れやすい。ちなみに写真の右側は、上述の弊ブログで紹介した「ハイテックCコレト」と、装着できる5本の芯のうちのタッチペン芯(繰り返すが感圧式)だ。
 スマホ用タッチペンについて私は知らなかったが、ウェブで調べたら既に相当数発売されている。新しいWindows8もタッチパネル対応だから、関心が高いのだろう。比較サイトもあり、次はその1つ。「スマホ用タッチペンはどれくらい使える? 6製品を集めた」 http://ascii.jp/elem/000/000/690/690347/
 原理は、静電容量方式のタッチパネルに反応できるために、先端が導電スポンジなど、軸が金属製であることなど、導電性がポイントだ(この場合の導電性は、正確に言うと静電気が動く度合)。自作もできるようで、次のYouTubeの画面を見ると、アルミホイールを使っている。 http://www.youtube.com/watch?v=p5dJRpwUp7U
(使い勝手)
 タッチペンは、上述の比較サイトにもあるように、それぞれ使い勝手や使い心地が違い、また何故かは判らないがスマートフォンとの相性があるようだ。
 「スタンペンGタッチ」の使い勝手は、ある意味で快適だ。狭い領域をクリックする時、従来はピンチアウトで拡大してからクリックしていたが、今ではそのままできる。画面のスライドもできるが、やや摩擦が大きく滑りにくい。しかし、ピンチイン/アウトのように2本指を使う操作はできない。そのうち、ピンチができる2本指のタッチペンが開発されるかも知れない。
 問題点としては、先端の導電スポンジの部分が大きいし、滑りにくいので、文字や絵を描く場合使いにくい(私の利用はクリックやスライドが主体なので余り関係ない)。指よりは導電性が低いためか、一般にやや反応が遅いし、それがひどい場合がある。ウェブで見ると、タブレットをずっと非導電体の机の上に置いて使っていると静電気が無くなるせいか、更に反応が遅くなることがあるとしている。
(衛生面の利点)
 タッチペンの衛生面の利点を評価する人もいる。タッチパネルの表面は当然ながら指の油脂や汚れがべったりだ。携帯電話のショップに修理に行くと、女子店員が絶えず布でパネルの表面を拭きながら作業しているのを見る。あれは、お客の持ち物をきれいにしようとするサービス心からだけでなく、潔癖症からという人もいるのではないか。タッチペンなら、他人のスマートフォンタブレットを触る時も、人に自分のパネルを触らせる時も衛生的だ。神経質な人にはいいだろう。
(はんこ付き)
 「はんこ・ボールペン付き」のボールペンの方には関心が無かったが、「はんこ付き」の方は便利だろうと思った。宅配の荷物を玄関で受け取る時も、何時も使うタッチペンと一緒なら、はんこを探す必要はない。12月から始めたアルバイトも出勤簿への押印等、割に印鑑が必要だ。
 はんこのフォントは数種類から選べるので、今まで持ったことのない「ポップ体」にした。写真の上にあるのがその印影だ。普通のフォントもある。いわゆるシャチハタ(インク浸透印)で、印肉が不要なのも便利だ。ただインクが漏れたり、キャップが取れたりする可能性もあるので、ワイシャツの胸ポケットに挿すこととして万が一の事態に備えたい。
(タッチパネル用手袋)

 タッチペンに似た小物として、「タッチパネル用手袋」というものがある。目的が全く違う商品だが、持っているので余談として紹介する。1年前の確かクリスマスに、孫からプレゼントとして貰った。2枚目の写真に出ている。この写真のものの場合、親指、人指し指、中指の指先に導電性繊維が織り込まれている(写真の白っぽい部分)。タッチペンのように狭い領域のポイントには全く不向きだが、寒い季節の外出の際に便利な場合がある。ピンチもできる。注意事項として、やや薄手だからといって、厚い手袋の上に重ねてはめると全く機能を果さない。指先の導電性繊維の部分の裏に直接指が接していることがポイントだからだ。昨今の寒さだと、この薄い手袋だけでは心もとない。デザイン面でも家人からは評判が悪い。
 もう1つ問題があって、携帯電話を片手持ちで使う場合にうまくいかないことだ。写真から判るように、導電性繊維が織り込まれている部分は、指の「末節(指の先から第1関節までの部分)」の上半分だけだ。ところが片手持ちの場合、操作に使うのはもっぱら親指の末節の下半分(第1関節に近い方)の腹部だ。下半分には導電性繊維が無いのでタッチパネルが反応しない。
 外出する時はもっぱらかばんを片手に持っているから、通勤電車の中とか、歩いている場合とかに、スマホの片手操作は極めて便利だ。この手袋の設計者の利用イメージは、両手が空いている人が、片手でスマホを持ち、もう一方の手の指先でパネルを押す場合だけなのであろう。せめて親指の先だけもう少し下まで導電繊維を織り込んでくれていれば、利用場面が格段に拡がっただろうに残念だ。*2
 この手袋をはめてタッチペンを使うとどうなるだろうか、試してみた。ペンを自然に持つと、指先の導電性繊維がペンの金属軸部分に触れるので、一応作動する。しかし、その指先が軸から離れた持ち方に変えると、溜った静電気のためか暫くは作動するが、その後は全く反応しなくなる。私でも理解できる結果だったが、具体的にこのように利用するシチュエーションは想定しづらい。

*1:本記事の筋に外れた余談だが、ベスト文具30の第1位(大賞)は、デコレーション・テープの「デコラッシュ」だったので少しびっくりした。 http://bungu.plus.co.jp/deco/ これは去年の初めごろたまたま文房具店をぶらついていた時、衝動的に買い、その後息子の一家にも買ってやったものだ。しかし、私は飽きて今は引出しの中だし、息子の家でその後どう使われているか知らない。

*2:設計者の詰めの甘さの別の例が、あるウェブ・ページに紹介されている。ある高級(?)タッチパネル用手袋では、手のひら部分に何か所か滑り止め加工がされている。しかし、「スマホを握る場合、実際に手が触れる部分は、親指の付け根と指の内側だけなので余り機能しない。自転車のハンドルや階段の手すりを握るのには効果があるだろうが、スマホ向けの手袋としては詰めが甘い印象」と鋭く指摘している。http://arigato-ipod.com/product-iphone-gloves.html#1