文具をいくつか

 最近買った文具を幾つか紹介する。1)芯が折れないシャープペンシル、2)消えなくなる、消えるボールペン、3)フリクションの色鉛筆、4)2色蛍光ペン、5)引き切りのハサミ、6)定規3種だ。
 2014/9/6付けの日経新聞のコラム「何でもランキング 使って楽しいお役立ち文具」で見つけたものが多いが、それだけに限らない。桃山透氏のウェブ連載「技あり! 紙の整理術」(最新版第81回2014/9/4は、http://pc.nikkeibp.co.jp/article/column/20140825/1140424/)も毎回目を通しており、参考になる。

1) 不思議なほど芯が折れない「オレンズ」(ペンテル)
 「芯を出さないで書くシャープペンシル」、「不思議なほど芯が折れない」と、製品のパッケージに書いてある。上記の9/6付け日経新聞のコラムで見つけたものだ。ペンテル社のウェブページは次のとおり。
http://www.pentel.co.jp/products/automaticpencils/orenz/
 0.2mmの極細芯だが本当に折れない。次の写真は分解したもの。上は、芯ケース等を抜いた中軸で、下は左から、口金、パイプ、(分解した時に折れた)芯、(芯を固定する)チャック、芯ケース、(芯詰り処置のための)ピン(消しゴムに付属)、ノックカバーだ。

 普通のシャープペンシルはパイプから芯が出るが、これはパイプと芯が一緒に出る。パイプの端が紙に対し滑らかに動くので、かすかに出ている芯と紙との接触の邪魔にならないということらしい。書き続けて芯が減るとパイプの方が引っ込むという、ユニークなものだ。実際に使うと、0.2mm芯から予想されるきゃしゃさはなく、しっかり書ける。優れものだ。
 私は、1-2年ほど前に、1.3mmのB芯の太いボ−ルペンを買い、それ以来愛用している。普通の0.5mm芯と違い、折れにくいことと、本にアンダーラインなどを書き込むときに、太くて明瞭だし、(Bで柔らかいから)ページに痕を残すことがないからだ。今後、1.3mm芯とこの0.2mm芯の2つを持ち運ぶことにしようと考えている。

 余談だが、先週知人2名と飲んでいたら、2人とも(たまたま大学教授)、2mm芯のシャープペンシルの愛好者ということで驚いた。ちなみにwikiによれば、2mm以上の芯又はドロップ式(説明略)の何れかであれば、「芯ホルダー」という*1。こんな太い芯は、もっぱらデザイナー用と思っていたが、メモ用などの字が書きやすいとのことだ。
 字が下手で、かつ大学教授でない私は使う積りはあまり無いが、知人の1人が絶賛していたPencoの2mm芯ホルダー(leadholder)を紹介する*2。このウェブページで「リードホルダー」とあるが頂けない。もっとも、英語では「レッドホルダー」だとしても、「red 赤」を連想させてまずいということだろう。

 閑話休題。オレンズの0.2mm芯は本当に折れないが(今までの所)、折れないのは書いている時で、分解すると(例えば中の様子を調べようと)直ぐ折れる。しかもパイプ等に0.2mm芯が詰るので、付属のピン*3を使ってその詰りを除去しなければいけない。これが老眼には実に苦しく、針に糸を通す(最近たまたませざるを得なくなって苦労した)よりもはるかに難しい。
 伊東屋(二子玉川)で替え芯のコーナーを探すと、0.3mm以上はあるが、0.2mmは無かった。レジで聞いたら、最初無いと言っていたが、そのうち奥から、Bの0.2mmだけ有りましたと言ってわざわざ持ってきてくれた。買う気は当初無かったが、つい買ってしまった。沢山の芯を抱えて、不要の長物になる気がする。
2) 消えなくなる、消えるボールペン「リプレイマックス」(ペーパーメイト)
 消えるボールペン「フリクション」(パイロット)については、弊ブログでも紹介した(「消えるボールペン」 http://d.hatena.ne.jp/oginos/20120531)。特にノック式の発売は画期的で、私は、何色も何本も買った。蛍光ペンも買った。フリクションは何日経っても擦ると消える。ところが、このリブレイマックスは、書いた当座は消えるが、1日ほど経つと消えなくなる。次の写真は、買った3色分。

 Paper Mateとは米国の文具ブランド。日本ブランドのフリクションは、摩擦熱で透明になる(冷蔵庫の冷凍室に入れるとまた発色する)のだが、これは付属の、又は普通の消しゴムで擦って消す。特殊油性インクとのこと(フリクションはゲルインク)。次のウェブページの説明を参照。http://www.kubobun.com/ippin/dotmax.htm
 フリクションは、公文書等では使用禁止というところが出てきたが、字が下手で書き直しの多い私はこそこそと使っている。このリプレイマックスなら堂々と許されるだろうか。

3) フリクションの色鉛筆(パイロット)
 フリクションは、上述のとおり、ボールペン、蛍光ペンといろいろ出ているが、色鉛筆も発売されたとのこと。メーカーのウェブページは次のとおり。
http://www.pilot.co.jp/products/pen/art_pen/art_pen/frixion_iroenpitsu/
 買った当初は書いても薄く、少しいらいらしたが、段々芯が剥けてきたせいか(?)、2-3日経つと書きやすくなった。筆力を加えても、普通のシャープペンシルと違ってびくともしない。小学時代の色鉛筆の書き心地を思い出させて、なかなか調子がいい。消すのも、(他のフリクションと同じく)付属のプラスチックラバーで擦るので、消しゴムのけすり滓が出ないのは気持がいい。冷凍庫に入れるとちゃんと再発色するのも同じだ。
 孫の塗り絵用に12色セットをプレゼントしようかと考えたが、小さい時から、やり直しやリセットを何時もやっていると、人生を甘く見るようになるかも知れないと少し心配だ。私は、塗り絵などやらず、もっぱらマーキング等という趣旨で、赤鉛筆だけを買った。

4) 2色蛍光ペン「ビートルティップ・デュアルカラー」(コクヨ)
 普通の蛍光ペンは、キャップをしておかないと乾いて早く使えなくなる。貧乏性の私は、直ぐキャップをしていたが、上述の弊ブログ「消えるボールペン」でも紹介したノック式の蛍光ペンは(残念ながらフリクションには無い)、乾き防止の簡便さの点で画期的だったと思う。
 ところで、複数の色の蛍光ペンを使いたい時があり、その場合その色数分の蛍光ペンを用意しなければいけない。ボールペンの2色、多色軸に相当するものは見かけなかった。今回紹介する「ビートルティップ・デュアルカラー」(コクヨ)は、1本の軸に2色の蛍光ペンがセットされている。ただし、残念ながらノック式ではない。
http://www.kokuyo-st.co.jp/stationery/beetletip/dualcolor/
 手先で180度回転させると、もう1つの色でマークできる。買ってみたところ、誠に原始的な構造で、ただ2本分並べて挿してあるだけのように見える。塗り分けするたびにキャップを脱着する手間が軽減できると説明にあるが、1色を使っている間は、使わないでいるもう一方の色のキャップを外している訳だから、貧乏性の私としては気に懸る。
 次の写真の上は、この2色蛍光ペンで、下は、次に説明するしなる蛍光ペン

(ペン先がしなる蛍光ペン)「ジャストフィット」(ゼブラ)
 蛍光ペンといえば、もう1つ新しいのがペン先がしなる「ジャストフィット」だ。
http://www.zebra.co.jp/pro/justfit/index.html
 1本買ったが、確かにしなる。辞書など厚手の本にもマークしやすいとのことだが、私はもっぱら電子辞書だ。どう使おうかと思っている。
5) 引き切りのハサミ「スウィングカット」(レイメイ藤井)
 新聞の紹介記事を見ていて興味をひかれたのが、この引き切りをするというハサミ「スウィングカット」だ。
http://www.raymay.co.jp/homestationery/contents/swingcut/movie.html
 両刃の刃渡りの長さが異なり、また支点位置が刃の中心から大きくずれている。このため、切り進むと、長刃がずれて、すなわち「引き切る」という物理的効果が出てくる。包丁で指が切れるのも、ナイフで分厚いステーキが切れるのも、紙で皮膚が切れるのも、その原理は「引き切り」の効果だというのは子供の頃から教えられたことだ*4。素人判りするハサミだ。

 余談だが、最寄駅前の文房具店に無いので、前述の伊東屋(二子玉川)に買いに行ったが、やはり無い。伊東屋に取り寄せを頼んだが、数日経って電話があり、10月にならないと入荷しないという。アマゾンで調べると注文できたので、伊東屋の方はキャンセルした。別の入荷したものを受取りに行った時に、店内を見ると、このハサミが10個ほど陳列されていたのにはびっくりした。数日前には店内に無いと言い、取り寄せを頼むと1か月以上入荷できないと言う。一方で何時入ったか知らないが、店内に並んでいる。店員に言ったら、店の中の連絡不足のようで(在庫補充係と取り寄せ注文係との連絡不足の意か)申し訳ないと言われたが、腑に落ちない。
 上述の0.2mm芯の話もある。考えてみると、伊東屋では今までも、今では取り扱っていませんと言われたことがある。その1つが「新聞クリップ」(説明は省略)だが、今回店内に再登場しているのを見つけた。取扱品目の管理に問題があるのではないかと感じた。

 閑話休題、スウィングカットの切り心地はまあまあいい。しかし、前に私が買った次の2本と比べるとどれもいい感じで、実は顕著な違いは判らない(私の触感が劣っているせいかと思う)。
次の写真の左はスウィングカットで、右が次に説明するベルヌーイ曲線ハサミ、中がその次に説明する糊が付かないハサミだ。

(ベルヌーイ曲線ハサミ) 「フィットカットカーブ」(プラス))
 昨年の弊ブログ「ベルヌーイカーブ刃 (1)、(2)」*5で、ベルヌーイ曲線を利用したハサミを紹介した。理論的で、刃の元と先で同じ切り心地というのが実感できて、いろいろな人に薦めた。
(糊がつかないハサミ)「エアロフィット(グルーレス・タイプ)」(コクヨ)
 半年ほど前に買ったのが、粘着テープを切っても、テープの糊がつかないハサミだ。
http://www.kokuyo-st.co.jp/stationery/scissors/airofit/lineup.html
 両刃の接触部分を細い線状に加工して、切られるテープとハサミとの接触部分を最小にし、ハサミへの糊の付着を避ける構造で、これも判りやすい。ちなみにハサミの説明は、摩訶不思議な化学反応や眼で見えないミクロの構造が無く、動きが眼で解るので、筆者には判りやすくて好きだ。
 余談だが、先日、粘着テープの替りに、手でまっすぐ切れる「スコッチ 透明梱包用テープ」(3M)を買った。テープカッター不要とのことだ。せっかく買った「糊がつかないハサミ」も不要になりそうだ。
http://www.mmm.co.jp/news/2013/info/20130604.html
6) 定規3種
 私が定規に最近関心を持ったのは、このブログに写真を掲載する際には、読者が寸法の見当が付きやすいように、定規をスケール替りに一緒に撮影することがいいと思いついたからだ。3年ほど前、そのための定規を探しに、文房具店を2-3軒ほど回った。選んだ基準は、数字や目盛が大きいこと、透明ではなくコントラストがはっきりしていることなどだ。そのようなものはあまり無かったが、買ったのは、レイメイ藤井の白黒定規だ。撮影例は、上述のハサミのブログにも登場した*6
「白黒定規」(レイメイ藤井)
 上記のような経緯で買った定規を改めて調べると、商品名は「白黒定規」で、ウェブは次のとおり。やはり、コントラストと大きな数字をセールスポイントにしている。
http://www.raymay.co.jp/homestationery/contents/ruler/ruler06/lineup.html
 写真の上はこの白黒定規、中は次の方眼定規、下はその次に説明するカッター定規だ。ちなみに今回のブログの各写真で適当にこれらの定規を登場させている。

 今年になってから、あちこちの文具情報を見ているうちに、次の2つを買ってしまった。何れも、写真上のスケール替りだけでなく、それぞれ機能的特徴がある。
「見やすい方眼定規」(レイメイ藤井)
http://www.raymay.co.jp/homestationery/contents/ruler/ruler02/lineup.html
 滑り止めが付いていること、文字が大きい、方眼罫がある(平行線や直交線の目安になることなどで惹かれた。
「カッター定規」(コクヨ)
http://www.kokuyo-st.co.jp/stationery/manabist/ruler/
 前項の方眼定規に似ているが、片面にステンレスバーが付いているのが売りだ。定規に沿わせてカッターを使う際、私は昔失敗して竹製の定規を削ってしまったことがあった。それがトラウマになり、大きくなっても、カッターを定規からやや神経質に離して使っている。ステンレスバーは実に素晴らしいアイデアと思った。
 しかし、残念ながら買ってからも機会がなく使っていない。上記に紹介した各文具も正直に言うと、殆どが使う機会が少ない。もっと若い時にこのような便利な文具に出会えればよかったのにと思う。

*1:http://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%8A%AF%E3%83%9B%E3%83%AB%E3%83%80%E3%83%BC

*2:http://www.hightide-online.jp/fs/hightide/item-ft050

*3:消しゴムに付いている芯詰り処置用のピン。本文の分解写真に見える。そう言えば最近の普通のシャープペンシルには付いてないのが多い。

*4:ここで「引く」とは、刃渡り方向に平行に動かすことで、前方向に動かすのは「押す」のイメージだが、「引く」に含まれる。この場合「押す」とは刃渡り方向に垂直に動かすことで、普通なかなか切れない。

*5:http://d.hatena.ne.jp/oginos/20130609 http://d.hatena.ne.jp/oginos/20130622

*6:http://d.hatena.ne.jp/oginos/20130622