インド雑記(5) インドの数2題

 10月に弊ブログで「インドの数の数え方」(id:oginos:20131021)を紹介した。そのうちの2つをインドで確認してきた。1つは、指での数え方、2つは1,000以上の数の2桁ごとのカンマ区切り(百進法)だ。
(指での数え方)
 冒頭の弊ブログへの友人のコメント(http://d.hatena.ne.jp/oginos/20131021/p1#c)で、インドの指での数の数え方がユニークだという指摘があり、その数え方を示すウェブページが紹介されていた。http://www.sepia.dti.ne.jp/shu/goodidea/indiacount.html
 このページは、片手で12まで数えられるインド人の方法を図示している(以下このやり方を「U」という)。面白そうなので、インドに行って計3人のインド人に確認してみた。全員ほぼ同じ数え方を見せてくれたが、「U」とは少し違っている。特に、Uでは、人差指、中指、薬指、小指の各3つの節に親指を当てて、3×4の12まで数える。私の会ったインド人は更に親指の3つの節に人差指の先を当てて、併せて片手で15まで数えてくれた。両手で30まで数えられると誇らしげな人もいた。ただ1人だけ親指が心なしかずんぐりした人がいて、14までしか数えてくれなかった。そのうち1人に協力をお願いして、動画で撮影させてもらった。*1

http://d.hatena.ne.jp/oginos/files/Countingbyfingers.MOV?d=.mov
 聞いた人3人がすべて同じ数え方をしてくれたので、インドでは一般的な数え方なのだろう。冒頭の友人のコメントでは、この数え方の存在は東大の須藤靖教授の雑文で知ったが、具体的な図(U方式)はウェブで探したものとある。従って、須藤教授の紹介した方法は「U」とは違うものなのかも知れない。
 帰国後、ふと気が付いて片手で24まで数えられる方法を自分で思いついた。上記のインド人の13から15は、人差指の先で親指の3節をポイントする。次いで、中指の先で親指の3節をポイントし、更に薬指、小指の先を用いて親指の3節をポイントすればいい。片手で24、両手で48まで可能だ。自分で動画を撮影したので紹介する。ややぎこちない動きがあるが、慣れていないからなので、そのうちスムーズになるだろう。インド人に見せたら評価してくれるだろうか。
片手で24.3gp 直
(百進法の実際)
 冒頭の弊ブログでは、「大きな数の百進法」と題し、ヒンディー語では、1000のハザールまでは英語などと同じ3桁でカンマだが、その上は、10万がラーク、1000万がクローレ、10億がアラブという風に100倍ごとに新しい数詞が登場し、数字も2桁ごとのカンマ区切りになると紹介した。しかもインド英語でも同じ2桁区切りで表記されると書いてある。
 毎朝ホテルの部屋に配達される英字新聞で確かめた。本文にはなかなか大きな数字が出てないが、何かの銀行の公告で見つけた(全文英文の公告)。
Rs 2,05,84,148/- ( Rs Two Crore Five Lakh Eighty four Thousand one Hundred Forty Eight Rupees) [Rsはルピー(当時1ルピー=1.7円)。2058万4148ルピーの意。Lakhはlacとも。]
 しかし、中にはbillionなどを使っている記事もある。小さな記事だが、日本の安倍首相の写真入りで、日本が、$182 billion ないし18.6 trillion yenの経済対策を発表したと報じている。ヒンディー語の百進法方式と英語の千進法方式が新聞の中で混在している訳だ。
 同じ表記の中で混在している例としては、車の窓から見つけて撮った数字の看板の写真を紹介する。

「Rs 12,500 Crores」 (最初の記号はルピーを示す通貨記号)とある。ガイドにどう発音するのかと聞いたら、twelve thousand five hundred crore と言っていた。1250億ルピーだから大きな額だが、百進、千進混在で書き、発音しているのが面白い。看板によればインド最大の保険会社の95周年のようだ。
 この表現の混在が混乱を産んでいる事例にも遭遇した。プネ市を案内してくれた同市のビジネスマンが、プネの人口(広域)はsixty million (6000万人) と言ったので、友人と2人でのけぞった。本当かと聞き返したら、少し考えてsix million (600万人)と訂正した。私は、彼の間違いの理由が想像できたので、後で、sixty lakh の積りで間違ったのだろうと聞いたら、苦笑して認めていた。

*1:実は3人すべての動画を撮ろうとしたのだが、3人目はカメラのバッテリーが切れていて駄目だった。